
読売テレビの新番組ニュースtoで10月15日、脳科学者の中野信子氏が生放送中に高市早苗首相について「夜の飲み付き合いができないから性接待ぐらいしかない」と発言し、スタジオが凍りついた。
ミヤネ屋後継番組の開始直後というタイミングで起きたこの一言は、SNS上で「放送事故」「女性差別」として急速に拡散されている。
中野信子氏が生放送で口にした言葉
10月15日のニュースtoでは、簗和生前農相の辞任などを取り上げた後、高市首相の組閣や人脈に話題が移った。
他の出演者から「高市総理は仲間が少ないとの噂がある」との指摘が出ると、中野氏は「もし女性でなく男性だったらどうかと考える」と切り出した。
中野氏の発言はこうだった。「男性総理みたいに夜の飲み付き合いができないから、性接待ぐらいしかですよね」。
政治の世界に夜の飲み会などで人脈を築く側面があるとした上で、女性はそのプラットフォームを使えないため、「ほぼ性接待みたいなところがある」と続けた。
高市首相の人脈の少なさを、性別に起因する制約として説明しようとした内容だった。
この発言は、高市首相の能力や政策ではなく、女性であること自体を「夜のネットワークが使えない」という制約に結びつけた点で、視聴者に強い違和感を与えた。
番組側が事前に調整した内容だったのか、中野氏のアドリブだったのかは明らかになっていないが、生放送でさらっと出てきた言葉として、直後から大きな波紋を呼ぶことになった。
黒木アナの即否定とスタジオの空気が凍りついた瞬間
中野氏の発言に対し、MCの黒木千晶アナは即座に「いや、それはないのでは」「そういうことはないと思います」と否定した。
同席していた峯村健司氏も「そこに性差は関係ないと思う」と話を引き取り、高市首相が今回の大臣選びでアンケートを活用した点に触れ、政策重視の姿勢を補足した。
黒木アナのフォローは素早いものだったが、中野氏が「無いと思うけど、無いと思うけど」と曖昧に返したことで、スタジオの空気は一気に重くなった。
それまで進行していた議論の流れが途絶え、出席者たちの表情が硬くなる様子が視聴者にも伝わった。
黒木アナが女性首相に対する性的な役割の言及を明確に否定したことで、番組内では一定の収拾が図られたものの、発言そのものの衝撃は収まることはなかった。
この一連のやり取りは、番組開始直後の生放送というタイミングで起きたこともあり、「お通夜ムードになった」と指摘する声がSNS上で相次いだ。
黒木アナの対応がなければ、放送はさらに混乱した可能性が高いと見る向きもある。
「女性は夜のネットワークを使えない」発言の論理とその問題点
中野氏の発言の核心は、「男性なら夜の飲み会で人脈を築けるが、女性はそれができない。だから性接待しかない」という対比にあった。
政治の世界に夜の社交場が存在する実態を前提にしつつ、女性政治家がその場に参加すること自体を性的な接待に結びつけてしまった点が、強い批判を招いた。
この論理は、女性政治家や官僚が夜の会食や人脈構築を行う際に、性的な役割を強いられるというステレオタイプを強化するものだ。
実際の政治現場では、性別に関わらず政策や実績で評価される場面が増えている中で、こうした発言は時代遅れの偏見を助長すると指摘されている。
高市首相がアンケートを活用して大臣を選んだ背景を「夜のネットワークが使えないから」と解釈した点も、政策重視の姿勢を矮小化する内容だった。
峯村氏が「性差は関係ない」と引き取ったように、番組内でもこの論理に同調する声は出なかった。
中野氏の発言は、女性首相の存在を「夜の付き合いができない」という制約の中でしか語れない視点を露呈したと受け止められている。
SNSで一気に広がった「放送事故」「女性差別」批判
放送後、X上では中野氏の発言を切り取った投稿が急速に拡散した。
代表的な投稿では「サラッととんでもねぇ女性差別発言しやがったな」とのコメントが付き、数千のいいねと大量のリポストを集めた。
番組のハッシュタグ「ニュースto」とともに「放送事故」との表現が飛び交い、黒木アナが即座に否定した点を評価する声も目立った。
批判の主な論点は、「女性首相に性接待という役割を結びつけるのは差別だ」「政策や能力ではなく性差で語るのは不適切」というものだった。
「女の敵は女」といった厳しい表現や、「BPO行きでは」との指摘も相次いだ。
一方で、中野氏のこれまでの辛辣なコメントスタイルを知る層からは「いつものパターン」との受け止めもあったが、今回は性的な表現が直接的だった点で、過去の発言とは一線を画すとの見方が優勢だった。
番組開始から日が浅いタイミングでの出来事だったことも、批判の火に油を注いだ。
ミヤネ屋の後継として期待されていたニュースtoが、初動でこのような話題を呼んだことで、番組の方向性に対する疑問も浮上している。
中野氏のこれまでの発言傾向
中野信子氏は1975年東京都生まれ。
東京大学工学部応用化学科を卒業後、同大学院医学系研究科で医学博士号を取得し、フランス国立研究所ニューロスピンで博士研究員を務めた。
東日本国際大学特任教授、京都芸術大学客員教授、森美術館理事などを歴任し、脳科学の知見を基にした解説でテレビコメンテーターとして活躍してきた。
『サイコパス』など著書も複数出版されている。
これまでにも、京都の男児遺体遺棄事件の報道に対して「再婚家庭への偏見になるのでは」と苦言を呈したり、Instagramで「賢い女」批判を展開したりと、率直で時に強い表現を使うスタイルが特徴だった。
しかし今回の発言は、女性政治家を「性接待」という具体的な性的役割に結びつけてしまった点で、これまでの辛辣さとは性質が異なる。
過去の発言が報道のあり方や社会心理への指摘に留まっていたのに対し、今回は性別そのものを制約として強調した内容だった。
本人からの説明や謝罪は、放送当日夜の時点では確認されていない。
中野氏の「空気を読まない」スタイルが、今回は特に強い反発を招いた格好だ。
ニュースtoの今後の出演や番組の対応が注目される。



