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本田圭佑のNHK解説に話題 「1にガクポ、2にガクポ」でも鋭い“本田節”が刺さる理由

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本田圭佑
DALLーEで作成

サッカー北中米ワールドカップの日本代表初戦で、ピッチ上の攻防と同じくらい視聴者の耳を奪ったのが、本田圭佑氏の解説だった。日本時間15日、NHK中継でオランダ戦の解説を務めた本田氏は、開始直後から独特の言葉を連発。相手の危険人物を「めっちゃうざい」と評し、「1にガクポ、2にガクポ、3にガクポ」と畳みかけた。整った解説ではない。だが、妙に試合が見えてくる。そこに本田氏の異様な強さがあった。


 

 

本田圭佑の「うざい」は、ただの悪口ではない

日本対オランダ戦は、序盤から相手の左サイドが不穏だった。前半3分、オランダの背番号11、コディ・ガクポが絡む形で日本ゴールに迫る。ボールを持てば仕掛け、前を向けば何かが起きそうな気配を漂わせる。日本の守備陣にとっては、目を離すだけで傷口を広げられかねない存在だった。そこで本田氏は、きれいな分析用語を並べなかった。「11番がめっちゃうざいんですよ」。この一言で、視聴者はガクポの危険度を理解した。

普通の解説なら、「左サイドの対応が重要になる」「ガクポの突破力を警戒したい」といった言い方になるだろう。それは正しい。だが、少し遠い。本田氏の「うざい」は、守る側が感じる嫌な圧力を、いちばん短い言葉で言い切ったものだった。何度も顔を出し、嫌な位置で受け、仕掛けてくる。そういう選手を相手にしたときの苛立ちや警戒心が、そのまま乗っていた。言葉だけを切り取れば乱暴に聞こえるが、試合の見方としてはかなり鋭い。視聴者はその瞬間、オランダの攻撃を見る目を一つ手に入れた。「今日のオランダは、この11番を見ておけばいい」。それが一発で伝わった。

 

「1にガクポ、2にガクポ」で名前を刻み込む解説

その後も、本田氏はガクポへの警戒を緩めなかった。相手の攻撃の中心がどこにあるのかを見ながら、「相手は今日ガクポや。1にガクポ、2にガクポ、3にガクポ」と口にした。ここでSNSは一気に反応した。「ガクポの名前だけは覚えた」「どんな解説やねん」「本田のガクポ評価が高すぎる」といった声が相次いだ。笑いを誘ったのは確かだが、それだけで終わる言葉ではなかった。

W杯の中継では、相手国の選手名、ポジション、システム、戦術が次々に流れていく。普段から海外サッカーを追っている人ならともかく、代表戦だけを見る人にとって、オランダ代表の選手名をすぐ覚えるのは簡単ではない。だが、「1にガクポ、2にガクポ」と言われれば、嫌でも耳に残る。

本田氏の解説は、専門的な視点を視聴者の記憶に残る言葉へ変換する。ここが強い。難しいことを難しいまま語らず、少し雑で、少し荒くて、それでも状況がすっと入ってくる言葉に変える。整った言葉ではないからこそ、試合の熱が落ちない。サッカーを詳しく知る人には、「そこがポイントだ」と伝わる。詳しくない人には、「あの選手が危ないのか」と伝わる。この両方を同時に成立させるのは、簡単ではない。

 

「ナイス、彩艶さん」ににじむ距離感

本田氏の解説がただの毒舌に聞こえないのは、選手への距離感が独特だからでもある。前半早々、オランダに強烈なシュートを打たれた場面で、GK鈴木彩艶が好セーブを見せると、本田氏はすぐに「ナイス、彩艶さん!」と称えた。堂安律の守備にも「ナイス、堂安さん」と反応している。

サッカー中継では、選手を呼び捨てにする解説が珍しくない。むしろ、それが長く当たり前のように続いてきた。だが本田氏は、後輩世代の選手にも基本的に「さん」をつける。そこには、体育会的な上下関係や呼び捨て文化への違和感があるのだろう。ピッチ上の選手を、一人のプロとして扱う。その姿勢が、解説席でも崩れない。

だからこそ、「うざい」「穴やから」といった強い表現を使っても、選手を雑に扱っている印象になりにくい。言葉は荒い。しかし、根っこには敬意がある。相手の危険性を認め、日本の選手のプレーにはすぐ反応する。その切り替えが早い。ここを見誤ると、本田氏の解説はただの騒がしいコメントに見えてしまう。だが実際には、感情を出しながらも、ピッチ上の選手を軽く見てはいない。むしろ、現役時代に同じ舞台を知る人間だからこそ、良いプレーにも嫌なプレーにも、体が先に反応しているように聞こえる。

 

飲水タイムに「これなんすか?」と言える強さ

前半途中、ハイドレーションブレークが取られた場面では、本田氏が「これなんすか?」と素直に反応した。解説者なら知っていて当然、という空気のなかで、知らないことをそのまま口にする。これもまた、本田氏らしい場面だった。

この一言は、視聴者の疑問を代弁していた。W杯を見る人の全員が、細かな大会ルールや運用を知っているわけではない。代表戦だけを見る人もいる。そうした視聴者にとって、「これなんすか?」と聞いてくれる解説者は、むしろありがたい存在になる。知ったかぶりをしない。わからないことを、わからないまま流さない。実況席にいながら、視聴者席にも片足を置いている。その距離感が、本田氏の言葉を近く感じさせる。

解説者は、何でも知っている人でなければならない。そんな思い込みがある。しかし、視聴者が本当に求めているのは、知識を誇る人ではなく、試合を見る手がかりを渡してくれる人だ。本田氏は、その役割を妙な形で果たしている。

 

本田圭佑の解説は、試合を邪魔しているのか

もちろん、本田氏の解説には好き嫌いが分かれる部分もある。落ち着いた分析を求める人にとっては、言葉が強すぎると感じる場面もあるだろう。実況席での熱量が高く、時に視聴者の感情を先回りしすぎるようにも聞こえる。

ただ、W杯のような大会では、整った解説だけでは拾いきれない熱がある。強豪オランダを相手に、日本がどこまで耐え、どこで仕掛けるのか。視聴者は画面の前で息を詰める。その空気のなかで、本田氏は評論家の顔だけをしない。驚けば驚くし、怒れば怒る。いいプレーにはすぐ反応する。危険な選手は、何度でも名前を出す。

本田氏の言葉は時に荒っぽく聞こえるが、試合の温度を下げることはない。むしろ、危険な場面で声を荒らげ、好プレーにすぐ反応することで、画面の前の視聴者をもう一段試合に引き込んでいく。一方で、解説者が目立ちすぎれば、ピッチ上の選手よりも言葉のほうが前に出てしまう危うさもある。サッカーの解説は、正確であればいいというものでもない。正確なだけで熱が消えることもある。本田氏の言葉は、その逆をいく。少し危うく、少し雑で、しかし試合の鼓動に近い。

 

「本田の解説」が話題になる理由

前回大会でも、本田氏の解説は大きな話題になった。アディショナルタイムをめぐる独特の反応や、選手への「さん付け」は、試合の記憶とともに残った。そして今回も、NHKの地上波中継でその存在感は変わらなかった。SNSで「本田の解説」が話題になるのは、珍しい言葉を言うからだけではない。視聴者が心の中で思ったことを、少し早く、少し強く、少し面白く言ってくれるからだ。解説者でありながら、同時に一緒に試合を見ている人でもある。その感覚が、観戦に妙な一体感を生む。

きれいに整えられた言葉だけなら、ここまで残らない。ガクポの怖さも、鈴木彩艶の好守も、飲水タイムへの素朴な疑問も、本田氏の口を通ると、一つひとつが視聴者の記憶に引っかかる。試合を見たあとに残るのは、スコアや展開だけではない。あの場面で誰が何を言ったかも、W杯の記憶の一部になる。本田圭佑の解説は、うるさいのかもしれない。言葉も決して上品ではない。それでも、日本の視聴者に「ガクポ」という名前を刻み込んだのは、間違いなくあの声だった。サッカーをきれいな言葉だけで包んでも、熱は伝わらない。本田氏はそれを知っている。だから今日も、少し乱暴で、少し笑えて、妙に鋭い。

 

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ライター:

Webライター。きれいごとだけでは済まない現実を、少し距離を置いて綴っています。

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