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ブロックチェーンでお金に色をつける?(企業価値とESG #11)

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本稿では、ブロックチェーン技術でお金に色をつける方法とメリット等について解説します。「お金に色をつける」とは、お金の出自や来歴によって、お金に社会的な価値や意味を与えることです。

ESG投資や消費の促進にもつながるこの技術について、具体的な事例や展望をご紹介します。お金の色づけによって、社会的インパクトを創出することはできるのでしょうか?

「お金に色をつける」とは何を意味するのか? ESG投資の背景と目的

「お金に色をつける」とは、お金(法定通貨、CBDC、暗号資産を含む)の使い方や流れによって、お金に社会的な価値や意味を与えることを言います。例えば、環境や社会に配慮した企業に投資することで、お金に「緑色」をつけるというイメージです。お金に色をつけることで、お金の持つ経済的な価値だけでなく、社会的な価値も高めることができます。

お金に色をつけるための一つの手法が、環境(Environment)、社会(Social)、企業統治(Governance)の3つの要素を考慮したESG投資です。ESG投資は、投資先の企業の財務情報だけでなく、非財務情報も評価することで、企業の持続可能性や社会的責任を重視する投資手法です。

ESG投資の背景には、環境問題や社会問題への関心の高まりがあります。世界では、気候変動や資源枯渇などの環境問題、人権や労働基準などの社会問題に直面しており、これらの問題の解決には、企業や投資家の協力が必要です。また、消費者やステークホルダーも、企業の社会的責任やガバナンスに対する要求を高めています。これらの動きに応えるために、ESG投資は企業や投資家にとって有効な手段となっています。

ESG投資の目的は、単に投資のリターンを追求するだけでなく、社会的インパクトを創出することです。ESG投資を通じて企業は、環境や社会に配慮した経営を行うことで、リスクの低減やイノベーションの促進、ブランドイメージの向上などのメリットを得ることができます。
また投資家は、ESG投資を行うことで自らの資産形成とともに、社会貢献や個人的価値の実現にもつなげることができます。ESG投資は、国連が採択したSDGs(持続可能な開発目標)の達成にも貢献することができるでしょう。

ブロックチェーン技術でお金に色をつける方法とメリット

ブロックチェーン技術は、分散型のデータベースであり、取引や契約などの情報を暗号化して記録する技術です。ブロックチェーン技術の特徴は、「改ざんが困難であること」「透明性が高いこと」「仲介者が不要であること」などが挙げられます。

ブロックチェーン技術でお金に色をつける方法とは、ブロックチェーン上にお金の出自や来歴を記録することです。例えば、法定通貨やCBDC、暗号資産をブロックチェーンで管理することで、そのお金がどこから来たか、デジタル通貨であればどんな発電方法を用いた電気で発行されたか、どこでなにに使われたか、どのような目的で使われたかなどを追跡できるようになります。これにより、お金の流れに対する信頼性や透明性が高まるでしょう。

ブロックチェーン技術でお金に色をつけるメリットには、以下が考えられます。

ブロックチェーン技術でお金に色をつけるメリット①

環境や社会に配慮したお金の流れを促進することができます。例えば、再生可能エネルギーを活用したマイニングを行った暗号資産には、「緑色」のラベルをつけることで、その暗号資産が環境に優しいことを証明できます。また、社会的な課題を解決するために使われたお金には、「青色」のラベルを付けることで、そのお金が社会的なインパクトを生み出したことを証明できます。 これらのラベルつきのお金は、ESG投資家や消費者にとって魅力的なものとなるでしょう。どんな出自・来歴のお金を好むかは、人それぞれです。

ブロックチェーン技術でお金に色をつけるメリット②

不正や脱税などのお金の悪用を防ぐことができます。例えば、ブロックチェーンにお金の流れを記録することで、そのお金がどのような経路で移動したか、どのような目的で使われたかを確認できます。これにより、お金の出所や使途に疑問がある場合には、そのお金に「赤色」のラベルをつけることで、そのお金が不正や脱税などの悪用に使われたことを警告できます。 これらのラベルつきのお金は、法執行機関や監査機関にとって有用なものとなるでしょう。

ブロックチェーン技術でお金に色をつけるメリット③

お金の価値や意味を高めることができます。例えば、ブロックチェーンにお金の色を記録することで、そのお金が持つ社会的な価値や意味を可視化できます。これにより、お金の所有者や利用者は、自らのお金の使い方や流れに対する責任や誇りを感じることができるでしょう。また、お金の色によって、お金の交換や取引の条件や価格を変えることもできます。 これらのことは、お金の価値や意味を高めることにつながります。

再生可能エネルギーを活用したマイニングとは何か? その仕組みと効果

マイニングとは、ブロックチェーンにおいて、取引の正当性を検証し、新たなブロックを生成するために必要な計算処理(承認作業)のことです。マイニングには高い計算能力と電力が必要で、世界中のマイナー(マイニングを行う人や組織)が競争しながら報酬として暗号資産を得ています。しかし、マイニングによる電力消費は環境に悪影響を及ぼすという問題があります。

そこで、再生可能エネルギーを活用したマイニングという方法が注目されています。再生可能エネルギーとは、太陽光、風力、水力、地熱、バイオマスなど、自然のエネルギー源から発電する方法のことです。再生可能エネルギーは、化石燃料に比べて二酸化炭素の排出量が少なく、環境に優しいという特徴があります。また、再生可能エネルギーは、地域によっては余剰に発電される場合があります。例えば、太陽光発電は昼間にピークを迎えますが、夜間には需要が低下します。このような余剰電力をマイニングに利用することで、電力の有効活用とマイニングのコスト削減が可能です。

再生可能エネルギーを活用したマイニングの仕組みとしては、以下があります。

モバイル型データセンター

再生可能エネルギー発電所の近くに設置されたコンテナ型のデータセンターで、マイニング機器を収容しています。余剰電力が発生した場合に、その電力を利用してマイニングを行います。電力の供給が不安定な場合には、バッテリーや発電機を併用します。また、データセンターは移動できるので、電力の安価な場所に移動させることが可能です。

P2P電力取引

再生可能エネルギーを発電する個人や企業と、マイニングを行う個人や企業との間で、直接電力を売買する仕組みです。ブロックチェーン技術を用いて、電力の需要と供給をマッチングし、スマートコントラクトで取引を自動化します。これにより、中間業者のコストや手数料を省き、電力の価格を低く抑えることができます。

再生可能エネルギーを活用したマイニングの効果としては、以下が期待できます。

環境負荷の低減

再生可能エネルギーは、化石燃料に比べて二酸化炭素の排出量が少ないため、マイニングによる温室効果ガスの排出を抑えることができます。また、再生可能エネルギーは、地球上に無限に存在するエネルギー源であるため、資源の枯渇のリスクも低減できます。

経済効果の向上

再生可能エネルギーは、地域によっては余剰に発電される場合がありますが、その電力をマイニングに利用することで、電力の有効活用と収益化が可能になります。また、マイニングに必要な電力コストを削減することで、マイニングの収益性を高めることが可能です。さらに、マイニングによって得られた暗号資産は、地域経済の活性化や金融包摂の促進にも貢献できます。

ブロックチェーン技術によるお金の色づけ事例

ブロックチェーン技術によるお金の色づけに関する事例としては、以下があります。

グリーンビットコイン

グリーンビットコインとは、再生可能エネルギーを活用したマイニングによって生成されたビットコインのことです。グリーンビットコインは、通常のビットコインとは別のブロックチェーンに記録され、その出自や来歴を証明できます。グリーンビットコインは、環境に優しいビットコインとして、ESG投資家や消費者にとって魅力的なものとなるでしょう。グリーンビットコインの代表的な事例としては、カナダのブロックチェーン企業であるDMG Blockchain Solutionsが、再生可能エネルギーを利用したマイニング施設を建設し、グリーンビットコインを発行するプロジェクトがあります。

ソーシャルコイン

ソーシャルコインとは、社会的な課題の解決に貢献することで発行や取得ができる暗号資産のことです。ソーシャルコインは、社会的なインパクトを生み出したことを証明できます。ソーシャルコインは、社会的な価値を持つ暗号資産として、ESG投資家や消費者にとって魅力的なものとなるでしょう。ソーシャルコインの代表的な事例としては、スペインのNPOであるSocial Coinが、市民の社会的な行動や貢献に対してソーシャルコインを付与し、そのソーシャルコインで商品やサービスを購入できるプラットフォームを運営しているプロジェクトがあります。

ブロックチェーン技術が企業価値とESGに与える影響と展望

ブロックチェーンは、ESGに取り組む企業にとって有効なツールとなる可能性があります。ブロックチェーン技術は、以下のようなESGに関連する課題を解決することができるでしょう。

環境

ブロックチェーン技術は、環境に関するデータの収集や共有、検証を容易にすることで、企業の環境負荷の把握や削減に貢献できます。例えば、二酸化炭素の排出量やエネルギーの消費量などのデータをブロックチェーンに記録し、第三者による監査や報告を可能にすることで、企業の環境パフォーマンスを向上させることができます。また、ブロックチェーン技術は、再生可能エネルギーの利用や配分を促進することで、エネルギーの効率化や低炭素化にも貢献できるでしょう。

社会

ブロックチェーン技術は、社会に関するデータの信頼性や追跡性を高めることで、企業の社会的な責任や影響を可視化することができます。例えば、サプライチェーンにおいて、原材料の産地や品質、労働条件などの情報をブロックチェーンに記録し、消費者やステークホルダーに公開することで、企業の社会的な配慮や倫理を証明することができます。また、ブロックチェーン技術は、金融サービスの普及やアイデンティティの管理など、社会的な課題の解決にも貢献できるでしょう。

ガバナンス

ブロックチェーン技術は、ガバナンスに関するデータの透明性や効率性を向上させることで、企業のガバナンスの強化に貢献できます。例えば、株主総会や投票などのコーポレートアクションをブロックチェーン上で行うことで、株主の参加や意思表示を容易にし、企業の意思決定プロセスをスムーズにすることができます。また、ブロックチェーン技術は、内部統制やコンプライアンスなど、企業のリスク管理にも貢献できると考えられます。

出典・参考:

再生可能エネルギーを活用した仮想通貨マイニングのためのデータセンター | Techable(テッカブル)
ビットコインのエネルギー消費量を誤解していないか 地球環境に与える負荷を正確に見極める | 戦略|DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー
マイニングには太陽光発電とのセットがおすすめ?メリットや関連サービスについても – とくとくマガジン (wajo-holdings.jp)
次回のコラムでは、「グリーンフィンテックとサスティナビリティ」について解説します。

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ライター:

1986年、埼玉県生まれ。2012年より、大手人材会社のアウトソーシングプロジェクトに参加。 プロジェクトが軌道に乗ったことから2014年に独立し、その後は主にフリーランスとして活動中。 2014年、一時インドネシア・バリ島へ移住し、その前後から暗号資産投資、不動産投資、事業投資を始める。 現在は、複数の企業で経営戦略チームの一員としてM&Aや企業価値向上、海外進出等に携わるほか、バリ島ではアパート開発と運営を行っている。

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