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『ファイアーエムブレム 万紫千紅』発売日に有給続々 なぜ「ゲームで休む」が堂々と言えるようになったのか

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ゲーム 有給
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9月17日発売のNintendo Switch 2専用ソフト『ファイアーエムブレム 万紫千紅』を前に、Xでは「発売日に有給を取った」「翌日も休みにした」といった投稿が目立っている。ゲームのために仕事を休むという行動が、以前より堂々と語られるようになった。

そもそも有給休暇は、旅行でも趣味でも利用目的を問わず取得できる。それでも「ゲームで休む」が話題になるのは、日本の職場に「休むなら理由が必要」という感覚がまだ残っているからだろう。

今回の“ゲーム有給”は、単なるファンの熱量だけではない。SNSによる休み方の可視化や、ゲーム発売日のイベント化まで含めて見ると、日本人の「仕事と余暇」の境界が変わり始めていることが見えてくる。

 

『万紫千紅』発売日に有給 数カ月前から休みを確保するファン

任天堂の『ファイアーエムブレム 万紫千紅』は9月17日発売。シリーズ最新作で、Nintendo Switch 2専用タイトルとして登場する。6月に発売日が発表され、8月には約20分の専用Directも公開された。Xでは発売日に合わせて有給休暇を取得したという投稿のほか、翌日も休みにして連休化するという声も見られる。

興味深いのは、発売直前になって慌てて休むのではなく、数カ月前から有給を予定に入れている人がいることだ。新作ゲームの発売日が、単なる「商品が店頭に並ぶ日」ではなく、ライブや旅行と同じように、あらかじめ時間を空けて待つイベントになっている。

 

ゲームで休んでも制度上は何もおかしくない

そもそも、有給休暇をゲームに使うことに制度上の問題はない。厚生労働省は、年次有給休暇について、休養だけでなくレジャーでも利用目的を問わず取得できるとしている。事業の正常な運営に支障が出る場合には、会社側が別の日への変更を求められることはあるが、「旅行ならよくてゲームなら駄目」という制度ではない。

それでも「ゲームの発売日に有給」という言葉がニュースになる。ここに、法律と職場の感覚のずれがある。制度としては自由に使える休暇でも、職場では「休むなら何か理由が必要」「忙しいときに遊びで休むのは申し訳ない」と考える人が少なくない。問題は有給制度そのものではなく、休むことに理由を求めてきた空気だ。

 

なぜ「遊びで休む」ことには説明が必要だったのか

病院、冠婚葬祭、家族の行事であれば、仕事を休んでも理解されやすい。一方でゲームや映画、ライブとなると、「そこまでして休むのか」と見られることがある。休暇の理由に、無意識のうちに優先順位がつけられてきたからだ。

だが、本人にとって何が大切かは他人には決められない。年に一度の旅行を楽しみにする人もいれば、好きなアーティストの公演を最優先する人もいる。ゲームの新作を発売直後から遊ぶことに大きな価値を感じる人もいる。「ゲームで休む」が注目される背景には、こうした個人の価値観と、従来の職場文化とのズレが見えている。

 

SNSが「ゲーム有給」を増やしたとは限らない

注意したいのは、Xで投稿が目立つからといって、ゲームのために有給を取る人そのものが以前より急増したとは言い切れないことだ。新作ゲームの発売日に休む人は、SNSが普及する以前から存在しただろう。

大きく変わったのは、その行動が見えるようになったことである。「有給取った」「発売日から遊ぶ」と投稿すれば、同じ予定を立てている人が次々と見つかる。それを見た別の人が「それなら自分も休もう」と考えることもある。SNSは趣味を共有するだけでなく、「こういう理由でも仕事を休んでいい」という感覚まで広げる場所になっている。

 

ゲーム発売日は「みんなと同時に体験する日」になった

“ゲーム有給”を考えるうえで、もう一つ重要なのがゲームの売られ方の変化だ。現在の大型タイトルは、発売日に突然登場するわけではない。数カ月前から映像やキャラクター、ゲームシステムが少しずつ公開され、公式配信やSNSを通じて期待が積み上げられていく。『万紫千紅』でも、任天堂は発売前から専用Directなどを通じて情報を発信してきた。

さらに発売直後には、感想、攻略情報、考察、実況動画が一気にSNSへ流れ込む。数週間後に遊んでもゲームの内容は変わらないが、「誰も展開を知らない時期に遊ぶ」という体験には期限がある。人気ドラマをリアルタイムで見る、スポーツの決勝戦を生中継で見るのと同じように、ゲームにも「その瞬間に参加する価値」が生まれている。

 

発売日に休ませるほど強いコンテンツは企業にも価値がある

これはゲーム会社にとっても重要な変化だ。発売日に多くのユーザーが同時に遊べば、SNSには感想や画像、動画が集中する。それ自体が宣伝となり、「話題になっているから遊んでみよう」という新たな購入につながる可能性もある。

発売前から情報を小出しにし、発売日に熱量のピークをつくる。ゲーム会社が作品を一日限りの商品ではなく、数カ月続くイベントとして育てるほど、ファンもその日に参加するため時間を確保するようになる。ゲーム発売日に有給を取る行動は、働き方の変化だけでなく、コンテンツビジネスの変化ともつながっている。

 

変わったのは「休める制度」ではなく「休むことを隠さない感覚」

『ファイアーエムブレム 万紫千紅』のために有給を取る人たちが、新しい権利を手に入れたわけではない。有給休暇の制度は以前からあり、レジャーに使うことも認められてきた。

変わりつつあるのは、「何のために休むのか」を周囲に納得してもらわなければならないという感覚だ。ゲームでもライブでも旅行でも、本人にとって大切なら休む。その理由を隠さずSNSで語る人が増えている。9月17日に並ぶ「有給を取った」という投稿は、人気ゲームへの期待だけではなく、仕事の外にある時間を自分で決めるという価値観が、少しずつ当たり前になってきたことを映している。

 

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ライター:

Webライター。きれいごとだけでは済まない現実を、少し距離を置いて綴っています。

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