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「ひなたフェス2026」中止でも宮崎にファン集結 43.3億円を生んだ「推し活地方創生」

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日向坂46
DALLーEで作成

ライブが中止になれば、遠征も取りやめる。普通ならそう考える。ところが、日向坂46の「ひなたフェス2026」が悪天候の影響で中止になった宮崎では、公演がなくなった後も現地を訪れるファンの姿があった。宮崎市ではファンを歓迎するグルメイベントも開かれ、「おひさま」と呼ばれるファンが街を歩いた。

なぜ、ライブがなくなっても人は宮崎へ向かったのか。そこには、日向坂46が数年かけて宮崎との間に築いてきた関係がある。ひなたフェスは、単なる地方開催の大型ライブではない。ファンの「推し活」を、宿泊や飲食、観光へつなげる仕組みとして育ってきた。その強さは、2026年の中止によってむしろ鮮明になった。

 

4万人が動き、43.3億円を生んだ2024年

日向坂46と宮崎の関係は2019年にさかのぼる。グループ名の「日向」と、宮崎県が掲げる「日本のひなた」という共通点をきっかけに交流が始まり、番組ロケや県内での企画を通じて接点を増やしてきた。その集大成となったのが、2024年9月にひなたサンマリンスタジアム宮崎を中心に開催された初の「ひなたフェス」だ。2日間で約4万人が来場した。

九州経済調査協会の試算では、このイベントによる経済波及効果は九州全体で43.3億円、このうち宮崎県内だけで32.7億円に達した。大きかったのはチケット収入だけではない。来場者は宿泊し、交通機関を使い、飲食店を利用し、観光地を巡った。複数泊する人も多く、宮崎市以外へ足を延ばす動きもあった。フェスが街の中に消費を広げる装置として機能したのである。

 

2026年の中止で表面化した地域経済への影響

「ひなたフェス2026」は9月5、6日に開催予定だったが、悪天候や公共交通機関への影響などを考慮し、直前で中止が決まった。公式発表後は県内各地で予定されていた関連企画にも中止や変更が広がり、観光や宿泊の現場にも影響が出た。

オリコンニュースによると、宮崎市内のホテルでは200~300室規模のキャンセルが出た施設もあったという。もちろん、今回も2024年と同じ規模の経済効果が見込まれていたとは断定できない。ただ、大型イベントは当日の売り上げだけで成り立っているわけではない。数カ月前からホテル予約が入り、飲食店が仕入れを考え、交通事業者や小売店が来訪者を見込んで準備する。中止は、そうした地域側の動きまで止める。

 

それでも宮崎へ向かった「おひさま」

一方で、今回もっとも象徴的だったのは、公演がなくなった後も宮崎を訪れたファンがいたことだ。宮崎市では日向坂46のファンを歓迎するグルメイベントが開催され、中止決定後も現地を訪れた人たちが地元の飲食を楽しんだ。ライブを見るという最大の目的が失われても、旅行そのものを取りやめない人がいた。

これは、宮崎が単なる「ライブ会場のある場所」ではなくなっていたことを示している。日向市駅を「日向坂46駅」として展開するなど、県内各地にはグループとの接点が積み重ねられてきた。ファンにとっては、メンバーが訪れた場所を巡ることや、ゆかりの地域で時間を過ごすこと自体が推し活になる。ライブがなくても成立する目的地へと、宮崎の意味が変わっていた。

 

なぜ「推し活」は地方創生と相性がいいのか

地方の観光PRでは、「景色がきれい」「食事がおいしい」「温泉がある」といった魅力が並びやすい。ただ、それだけでは他地域との差をつくりにくい。推し活が強いのは、「ここでなければならない理由」を生みやすい点にある。推しが訪れた店だから行く。ゆかりの駅だから写真を撮る。イベントをきっかけに初めて訪れた土地が、次からは思い出の場所になる。

その結果、ファンは広告を見て受け身で動くのではなく、自ら交通費や宿泊費を払い、地域へ向かう。自治体にとって重要なのは、人気タレントを一度呼ぶことではなく、その来訪を「地域との継続的な関係」に変えられるかどうかだ。ひなたフェスが注目されるのは、ライブの動員数だけでなく、その前後に街を歩く理由まで設計されていたからだ。

 

大型イベント依存にはリスクもある

ただし、「推し活×地方創生」が万能というわけではない。今回のように天候でイベントが中止になれば、地域経済への打撃は避けられない。グループの人気や活動状況が変われば、同じ集客力が続く保証もない。特定のアーティストに地域振興を依存しすぎれば、長期的には不安定さも抱える。

だからこそ、本当に重要なのはイベント当日に何万人集めたかではなく、その後も地域を訪れる理由が残るかどうかだ。ライブがあるときだけ消費される街ではなく、ライブをきっかけに知り、また来たいと思われる街へ変えられるか。今回の中止は、その仕組みがどこまで育っていたのかを測る機会にもなった。

 

「ライブがないのに来る人」が示したもの

日向坂46は9月6日夜、フェス中止を受けて公式YouTubeで緊急生配信を行い、本来会場でファンと共有する予定だった時間を別の形で届けた。現地ではフェスそのものは開かれなかったが、グループとファン、そして宮崎との接点まで消えたわけではない。

2024年の43.3億円という数字は、ひなたフェスの大きさを分かりやすく示した。しかし、2026年により印象的だったのは、数字ではなく「ライブがなくても宮崎へ行った人がいた」という事実かもしれない。大型イベントで一度人を集めることと、その街にもう一度来たいと思わせることは別物だ。ひなたフェスが宮崎に残した本当の価値は、その二つをつなげ始めていることにある。

 

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ライター:

Webライター。きれいごとだけでは済まない現実を、少し距離を置いて綴っています。

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