
7月28日に発生した令和8年熊本地震の直後、イオンモール熊本で起きた大規模な爆発事故。テレビのニュースで連日大きく報じられ、犠牲となったテナントの雑貨店「ハビタ」の22歳女性社員・大竹玖瑠美さんの悲痛な最期に言葉を失った人も多いのではないだろうか。
報道を通じてこの痛ましい事故を知り、なぜ彼女が危険な店内へ戻らざるを得なかったのか、そして店舗を運営するハビタやその親会社は現在どう対応しているのかと、強い疑問と不信感を抱いて検索した読者も少なくないはずだ。
助かったはずの命…親族の制止を振り切らせた「指示」の有無
被害者女性は地震発生後、一度は安全な店外へと無事に避難していた。しかし、駐車場で偶然顔を合わせた親族に対し「会社の人から頼まれた」「レジのお金を金庫に入れに行かないといけないの」と語り、親族の必死の制止を振り切って再び店内へ戻ってしまった。
そしてそのおよそ5分後、無情にもあの大規模な爆発が彼女を襲い、帰らぬ人となってしまったのである。残された母親は「入金のために、お金のために…。会社には真実をはっきり話してほしい」と涙ながらに訴えており、店側からの指示があった可能性を強く指摘している。
事故自体は「想定外」でも許されない企業の沈黙
地震直後の混乱下で起きたLPガス漏れと見られる爆発事故そのものは、過酷な自然災害の真っ只中での出来事であり、ハビタ側にとってもまさに想定外の悲劇だったと言えるだろう。いつ爆発が起きるかなど誰にも予見することは困難であり、事故が起きてしまったこと自体を一方的に責めるのは酷な側面もある。
しかし、世間が今激しい怒りを向け、真相解明を求めているのは、不可抗力とも言える事故そのものへの責任以上に、その後のハビタという企業の逃げの姿勢に対してである。遺族が真実の説明を求めているにもかかわらず、運営会社は一切の取材を拒否し、沈黙を貫いているのだ。
なぜHPを削除するのか。同仁グループは一刻も早く説明責任を
さらに世間の不信感を決定づけたのが、親会社の不可解な行動である。ハビタの親会社であり、上野景真氏が代表取締役を務める「同仁グループ」の公式ウェブサイトから、これまで掲載されていた株式会社ハビタへのリンクが突如として削除されたのである。

かつてはグループ会社として明確に記載されていたページから、まるで最初から存在しなかったかのようにその名をコソコソと消し去る行為は、隠蔽や責任からの逃亡を疑われても当然の行動だ。
同仁グループは熊本で有名な薬局「同仁堂」の企業再編によって誕生し、医療や製薬など人の命に関わる事業も手掛けている。そのような企業が、都合が悪くなるとウェブサイトから証拠を消して黙り込む姿勢はあまりに無責任である。事故が想定外の不運であったからといって、その後の説明から逃げていい理由には決してならない。なぜ将来ある22歳の若き店員が死地に舞い戻らなければならなかったのか。
同仁グループならびに経営陣は、不自然な隠蔽工作をやめ、遺族と社会に対して一刻も早く表に出て誠実な説明責任を果たすべきである。
ハビタの親会社である同仁グループは、熊本で有名な薬局「同仁堂」からの企業再編によって誕生した企業体だ。薬品開発や病院運営など、人命に深く関わる事業も展開している。
そもそも「同仁」とは、すべての人を平等に愛し、思いやるといった意味を持つ。社名に堂々と「仁」の字を掲げている以上、そこには他者への慈しみや、すなわち「仁義」を重んじる精神があるはずである。
しかし、今回の一連の対応はどうだろうか。若き従業員が命を落とし、遺族が真実を求めているにもかかわらず、説明から逃げ回り、自社サイトからハビタのリンクをひっそりと消し去った。人の命を扱う企業でありながら、その振る舞いには遺族への思いやりも、誠実さも、そして「仁義」の欠片すら見当たらない。
立派な理念を名前に冠しておきながら、いざという時に見せた無責任な保身の姿は、あまりにも皮肉である。



