
北海道・根室警察署は2026年7月10日、SNSで「精子提供の報酬として3000万円を支払う」と持ちかけられた40代男性が、税金や手数料などの名目で約396万円をだまし取られたと発表した。STV札幌テレビが翌11日に報じた。男性は7月3日から5日間で8回送金し、報酬が振り込まれなかったため警察に相談した。
「夫がゲイで子どもができず」LINEへ誘導 裸の写真も
STV札幌テレビによると、7月2日、ファッションデザイナーを名乗る女が男性のSNSをフォローし、LINEで「会いたい」などと恋愛感情を示す言葉を送った。女は裸の写真とともに、「夫がゲイで子どもができず、親からも急かされ困っている」「夫と第三者からの精子提供で一致したので精子をもらえないか」などと持ちかけた。
男性はその後、LINEグループへ誘導され、弁護士や税理士を名乗る男女と機密保持契約を結んだ。3000万円の報酬を受け取るための税金や手数料として、7月3日から5日間に8回、指定口座へ計約396万円を送金した。報酬が振り込まれなかったため警察に相談し、女らとは連絡が取れなくなったという。
7月に三重・兵庫・北海道で公表 被害額は計約1498万円
同様の手口は以前から確認されている。
チューリップテレビは2024年11月、富山市の50代男性が「精子提供の第2候補者として3万ドルを受け取れる」と持ちかけられ、税金として98万円分の暗号資産を送金したと報じた。
山陰放送は2025年12月、松江市の50代男性が「精子を提供すれば600万円を支払う」と誘われ、118万円をだまし取られたと伝えている。
2026年7月には、中京テレビNEWSが三重県多気町の70代男性の約290万円被害を報道した。神戸新聞によると、兵庫県姫路市の会社員男性(51)も「精子提供をしてくれたら3000万円」とSNSで持ちかけられ、約812万円をだまし取られたとして7月6日に飾磨署へ被害を届け出た。北海道を含む7月公表の3件だけで、被害額は計約1498万円となる。
「3000万円」と専門家の肩書 弁護士法人もなりすましを警告
弁護士法人琉球スフィアは2026年5月22日、同法人と所属弁護士の名を無断使用し、精子提供の契約や金銭の授受を仲介しているように装う不審な連絡を確認したと公表した。確認された事例では「成功報酬3000万円、手付金900万円」などを提示し、契約手続きや本人確認を理由に身分証画像や署名済み書類を要求していた。
北海道の事案でも弁護士や税理士を名乗る人物がLINEグループに加わっており、高額報酬、専門家の肩書、契約手続き、報酬受領前の送金要求が共通している。
警察庁が示す「SNS型ロマンス詐欺」の類型
警察庁は、SNSなどの非対面の連絡手段で複数回やり取りし、恋愛感情や親近感を抱かせて金銭をだまし取る手口を「SNS型ロマンス詐欺」と定義している。北海道の事案でも「会いたい」との言葉で近づいた後、LINEグループ内の専門家役が税金や手数料を要求していた。
根室署は、SNSで知り合った相手から現金を要求された場合は詐欺を疑い、警察相談専用電話「#9110」に連絡するよう呼びかけている。警察庁のSOS47では、消費者ホットライン「188」も案内している。



