ログイン
ログイン
会員登録
会員登録
お問合せ
お問合せ
MENU

法人のサステナビリティ情報を紹介するWEBメディア coki

栄屋製パンが耕作放棄地から造る環境配慮のクラフトビール

サステナブルな取り組み SDGsの取り組み
コラム&ニュース コラム ニュース
リンクをコピー
栄屋製パンが耕作放棄地から造る環境配慮のクラフトビール
提供:株式会社 栄屋製パン

未利用の食材を新たな価値へと転換するアップサイクルが、地域経済の活性化と環境保護を両立する切り札として注目を集めている。

 
 

小田原の規格外果実から生まれた爽快なシトラスエール

初夏の風が通り抜ける神奈川県小田原市の傾斜地。そこには、かつての輝きを取り戻した美しいみかん畑が広がっている。この地で無農薬栽培された希少な柑橘類「湘南ゴールド」の規格外品が、装いも新たに生まれ変わることとなった。

この試みを実らせたのは、大正創業の老舗ベーカリーである。株式会社栄屋製パンが運営するクラフトビール醸造所「Better life with upcycle」が展開する、新星「Oriental Citrus Ale」だ。

この爽快なシトラスエールに用いられているのは、市場に流通できなくなった果実たちである。近年の異常気象や傷によって、外見の不揃いだけで見捨てられてしまうはずだった自然の恵み。そこに最先端の醸造技術が、まったく新しい価値を吹き込んだ。

中国原産のスパイス「青花椒」をアクセントに加えた、爽快なシトラスの香り。それは、これからの鬱陶しい梅雨や厳しい夏の盛りに向けて、多くの人々の喉を潤すに違いない。

企業の自社ロスと地域の課題を繋ぐ前例なき三位一体モデル

提供:株式会社 栄屋製パン

この試みが、他社の一般的な環境配慮型商品と決定的に異なる理由。それは、素材の調達背景に隠された深い社会的な仕組みにある。

原材料となる湘南ゴールドを育てたのは、地元のシニア団体「シニアネットワークおだわら&あしがら」だ。

深刻な高齢化と後継者不足により、相模湾を望む美しいみかん畑は次々と耕作放棄地へ姿を変えていた。その危機的な現状に対して立ち上がったのが、地域のシニアたちであった。行政の支援を受けながら荒れ果てた土地を開墾し、見事に再生させた農園で、この果実は実を結んだのである。

さらに、このビールには栄屋製パンの主力事業から出る「パンのミミ」も麦芽の代替えとして使用されている。

企業の自社ロス、地域の環境課題、そしてシニアの生きがい創出。三つの要素が美しく絡み合うことで、単なるエコを超えた独自の循環モデルが、いまここに構築された。

大正創業の老舗ベーカリーが貫く素材への畏敬と職人魂

 
 

1923年という大正時代に創業し、100年の歴史を重ねてきた栄屋製パン。彼らはなぜ、これほどまでに徹底してアップサイクルにこだわるのだろうか。その根底にあるのは、主食であるパンを焼き続けてきた企業としての、食材に対する深い畏敬の念だ。

どれだけ丁寧に作っても、流通の規格や工程上の都合により、現場ではどうしても未使用の素材が発生してしまう。

「まだ十分に価値があるものを、このまま終わらせたくない」

当時の製造現場が抱いていた強い葛藤こそが、現在のビール事業を突き動かす原動力となった。形が変わっても、素材の本質的な価値を信じ抜き、別のかたちでおいしさに変えて消費者へ届ける。

この姿勢は、同社が培ってきた「命ある食べ物を大切にする」という職人としての倫理観そのものなのだ。

足元の未利用資源を再定義して新市場を切り拓く視点

栄屋製パンの先進的な挑戦から、現代のビジネスパーソンが学ぶべき教訓は極めて多い。最大の示唆は、自社の経営資源や地域の課題を多角的な視点で「再定義」することの重要性である。一見すると廃棄するしかないゴミや、解決困難に見える耕作放棄地。

しかし、組み合わせ次第で、それは高い付加価値を持つ魅力的な商品へと昇華する。ただ単に環境に優しいという大義名分を掲げるだけではない。

シニア層のコミュニティ形成や、伝統的な景観維持といったストーリーを商品に組み込む。それこそが、消費者の深い共感を生む持続可能なビジネスの核心だ。

既存の価値観にとらわれず、足元にある未利用の資源に目を向けること。その飽くなき探求心こそが、次世代の市場を切り拓く強固な鍵となるだろう。

Tags

ライター:

サステナブル情報を紹介するWEBメディアcokiの編集部です。主にニュースや解説記事などを担当するチームです。

関連記事

タグ

To Top