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公益財団法人ミダス財団

https://midas-foundation.org/

〒107-0052 東京都港区赤坂八丁目11番37号 いちご乃木坂ビル5階

ミダス財団と食品メーカーが取り組む子ども食堂への食品寄付 フードロス削減と支援を両立させる仕組みとは

サステナブルな取り組み ESGの取り組み
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ミダス財団とマリンフード
ミダス財団とマリンフードが取り組む食品寄付の現場(画像提供:マリンフード株式会社)

環境問題や貧困、企業活動など多くの社会課題と関わるテーマとして、近年注目が高まる「フードロス」。2019年に「食品ロスの削減の推進に関する法律」が施行され、国や自治体、企業による取り組みは広がってきました。

環境省と農林水産省の推計によると食品ロス量は減少傾向にあるものの、依然として年間数百万トン規模で発生しています。

このフードロスという社会課題について、「流通や寄付の仕組みといった構造的な課題が残る」と指摘するのが、公益財団法人ミダス財団(以下、ミダス財団) 事務局長 吉村 裕子さんです。

「2050年までに1億人にポジティブな人生選択の機会を提供する」ことを目指すミダス財団は、食品メーカーのマリンフード株式会社(以下、マリンフード)と連携し、規格や流通の制約によって市場に出せない食品を、支援が必要な人々へ届ける取り組みを2022年から進めています。

フードロス削減に取り組むその現場で見えてきた、構造的な課題とは何か。吉村さんに話を聞きました。

流通できない食品を、必要な人へ届けたい

─まず、ミダス財団とマリンフードの関係性から教えてください。

吉村:私たちミダス財団とマリンフードは、いずれもミダスキャピタルというプライベートエクイティファンドでつながっています。ミダス財団はミダスキャピタルから毎年一定割合の拠出を受けて運営している財団であり、マリンフードはミダスキャピタルの投資先企業の一つです。

そうした関係性の中で、財団の社会的な取り組みと、食品メーカーとしてのCSR活動を連動できる機会を考えるようになりました。

ミダス財団とマリンフード
ミダス財団 事務局長 吉村 裕子さん(画像提供:ミダス財団)

─今回の寄付の取り組みは、どのように始まったのでしょうか。

吉村:マリンフードはもともと地域に根ざした企業で、社会貢献活動に長年取り組んできました。

本社の所在地である大阪府豊中市への寄付を27年継続しているほか、地域の子どもたちへの教育支援なども行っています。さらに、様々な事情で食べられるけれど販売が難しい商品を地元地域に届ける「ふれあいセール」など、地域貢献と食品ロスの削減につながる活動も長年続けてきています。

私は外部顧問としてマリンフードのブランド戦略プロジェクトに参加させていただく中で、食べられる食品を廃棄しなければならない現状を伺いました。

ちょうどミダス財団が支援をさせていただいている子ども食堂へお繋ぎすることで、これまでマリンフードが継続してきたCSR活動とともに、社会にインパクトを残す取り組みを一緒にできないかと提案したことがきっかけです。

─数ある社会課題の中で、フードロスに着目された理由を教えてください。

吉村:フードロスは環境問題や貧困、企業コストとも深く関わる社会課題です。国連食糧農業機関(FAO)によると、世界では年間約13億トンの食品が廃棄されています。

日本でも2023年度の推計で約464万トンが発生しており、そのうち約231万トンが製造や流通など事業活動の過程で生じています。近年は減少傾向にあるものの、依然として大きな社会課題となっています。

多くは品質に問題がないにもかかわらず、規格や流通の制約によって市場に出せない食品です。さらには、食品メーカーはそれらを産業廃棄物として処理するために廃棄コストを支払わねばなりません。

こうした実態を知る中で、廃棄にかかるコストや社会の循環の仕組みにテコ入れすることで、必要としている人に食品を届ける方向へ転換できるのではないかと考えるようになりました。

ミダス財団とマリンフード
画像提供:マリンフード株式会社
 

「届け先が見つからない」食品寄付の思わぬ壁

─取り組みが具体化していくまで、どのようなプロセスがありましたか。

吉村:2019年に国内で「食品ロスの削減の推進に関する法律」が施行され、一定の要件を満たせば、フードバンク等への食品提供を税制上の寄付金控除として扱える可能性が示されました。

寄付を通じて企業側にもメリットがある制度である一方で、従来と比べて手間の面で合理性が見えにくい部分もありました。それでも「ぜひやりたい」と社内の賛同を得て寄付先を探し始めました。

─寄付先はどのように探していったのでしょうか。

吉村:まず、近隣の子ども食堂やフードバンクを調べたものの、冷蔵設備や搬送距離などの条件が合うところがなかなか見つかりませんでした。

農林水産省が公開する食品寄付先リストも確認しましたが、当時は本社から1時間以上かかる場所が多く、輸送が大きな負担になります。

調べ続ける中で、丁度ミダス財団でクリスマス会や設備投資の支援をさせていただいていた大阪府の西成区のNPO法人西成チャイルド・ケア・センターが運営する「にしなり☆こども食堂」さんにフードバンク機能があると知りお繋ぎさせて頂き支援が開始しました。

ミダス財団とマリンフード
画像提供:マリンフード株式会社

寄付は2022年10月から開始し、2025年12月時点でチーズや味付きマーガリンなど累計13トンの食品を寄付しています。大阪市子どもの生活に関する実態調査(2023年度)によると、大阪市24区の平均と比べて西成区は母子家庭が多い地域です。

内閣府の調査では、ひとり親家庭の相対的貧困率は50.8%と高いことが分かっています。「にしなり☆こども食堂」は子どもたちが徒歩で通える住宅街の立地にあります。

学習支援や食事支援も行われており、放課後の居場所として重要な役割を果たすこの食堂への寄付で、地域に根ざした支援へつなげていけることには大きな意義があると感じています。

寄付させていただいた食品は、西成チャイルド・ケア・センターのフードバンク機能を通して周辺地域の子ども食堂にも届けていただいています。

子ども食堂では、子どもの育ちに重要なタンパク質が不足しているという声を聞きます。マリンフードが寄付を行うチーズはタンパク質の他に、カルシウムも多く含み、子どもや高齢者の健康維持に重要な栄養素です。栄養価の面でも、チルド・冷凍品の寄付は重要な意義を感じています。

取り組みから見えた3つの課題とは?

─実際に寄付の取り組みを進めた経験から見えてきた課題はありましたか?

吉村:フードロスという重要な社会課題解決のためには、賛同と協力をいただける食品メーカーを増やすこと、仲介を担うフードバンクを日本各地に広げて生活者に届きやすくすること、またそのサイクルをより円滑にさせること、この三つを実現させる仕組みが必要です。

その仕組みを構築するにあたり、見えた課題が3つあります。

ミダス財団とマリンフード
画像提供:マリンフード株式会社

第一に挙げられるのは、距離と輸送の問題です。農林水産省によると2025年時点で約300のフードバンクが報告されていますが、寄付者側が輸送を担うのが基本とされています。

その場合、自社商品の輸送後の空き便を活用する手段が候補となりますが、その場合には寄付先が輸送元から30分から1時間圏内であることが現実的な条件であり、制約にもなります。

第二には、受け入れ側の事情です。大手メーカーでは突発的に大量のロスが出ることがあります。

しかし、それを受け入れられる大型フードバンクが不足しています。工場などにある広い空きスペースを一時的に活用するなど、柔軟な受け皿づくりが必要です。

第三には、衛生管理のための設備問題です。例えば、マリンフードの商品は9割以上がチルド・冷凍品です。輸送や保管には冷凍冷蔵設備が必要となるため、寄付先の選定にも大きく影響します。

今回の寄付先は設備や、大きなトラックを横付けできる接道など立地条件が整っていたため、大量寄付が可能となりました。

─財団としては、その課題にどのように向き合っていますか。

吉村:ミダス財団としては、食品メーカー、飲食業などのミダスキャピタル企業群の企業と連携しつつ、フードバンク様との連携を通して、この問題に取り組んでいこうと新しい取り組みを始めています。

今年度は、実証実験をしつつ、具体的な解決策を見出せたらと思っております。現状の解決案では、メーカーの集積地域の近くに中間拠点を設け、トラックを用意してつなぐなど、ボトルネックを解消し資源の再循環システムを改善する役割が必要だと考えています。

ミダス財団とマリンフード
画像提供:マリンフード株式会社
 

ミダス財団が投資先企業群と連携して臨む「子ども食堂」

─今後の展開について教えてください。

吉村:私たちミダス財団は、2050年までに1億人に深いポジティブな影響を与えることを目標にしています。現在のフードロスの取り組みは、寄付企業の立地からまずは大阪府が中心となっていますが、見据えるのは全国規模での解決です。

そのためには、上記に挙げたようなより多くのステークホルダーの方と一緒に課題解決に取り組む必要があります。

2026年には、ミダス財団として子ども食堂の事業を立ち上げる予定です。週5日程度の運営を想定し、放課後の居場所や学校の長期休暇中の食事支援など、多様な役割を担えたらと考えています。

ミダスキャピタルの投資先企業群のAViCや飲食業の加納コーポレーションとも連携し、地域の皆様に愛され頼っていただける新しい子ども食堂を展開していく予定です。この子ども食堂を通して、生活者様の視点、メーカー側の視点、双方の視点から、この問題に主体的に取り組んでいけたらと考えております。

─最後に、読者へのメッセージをお願いします。

吉村:食事は人間にとって欠かせないものです。そのロスを減らすことは、社会全体の課題です。

フードロス削減は、国内で生産した食品を廃棄ではなく寄付に繋げることで、活用される食品の総量を増やし、社会のセーフティーネットにつなげるだけではなく、食料安全保障の上でも重要な。食品の再活用は温室効果ガス削減にもつながることなど、企業にとってもさまざまなメリットがあります。

ミダス財団だけではなく、食品メーカーや流通、NPO法人などのステークホルダーが協力し合うことで、より大きな仕組みでこの課題に大きな成果を残すことができると感じています。この思いに賛同いただける方は、ぜひご連絡をいただけるとうれしいです。

マリンフード株式会社 吉村 厚美専務のコメント

当社では食品寄付の取り組み以外にも、子ども支援や地域貢献活動を行っています。1999年から、毎年豊中市の教育委員会へ寄付をさせていただいております。

2008年からは、小中学生の放課後学習支援に使途を限定しています。豊中市は中学受験率が高い地域です。塾に通う子と、経済的な事情で通えない子との差が広がらないようにしたいという思いからです。

具体的には週に1回、公立の小中学校に塾講師を派遣し、放課後学習を行っています。小学校では高学年が国語、算数、英語、中学校では数学と英語を教えます。2025年には小学生は695人、中学校は550人が参加しました。

分からない問題が分かるようになると大きな自信が持てます。一人でも多くの子が将来の選択肢を広げてほしいと願っています。また、2023年からは工場がある大阪府泉大津市、滋賀県長浜市、埼玉県狭山市の教育行政にも寄付し、これまで紺綬褒章を8回受けております。今後もCSRの取り組みを進めて参ります。

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ライター:

人のあらゆる営みを有機的に描くことを目指す、ライター・編集者。ブランディングエージェンシーにてプランナー・ディレクターとしてプロモーション企画やコンテンツ制作に従事。やがて自身の文章への執着心に気づき、PR会社勤務を経てライター・編集者として独立。人の動機や感情に焦点を合わせながら、伝わる言葉を紡ぐことを目指している。

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