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約61万本の使用済み割り箸が万博家具に再生 ChopValue Japanが大阪・関西万博カナダ館で循環型デザインを体現

サステナブルな取り組み SDGsの取り組み
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使用済み割り箸606,597本をアップサイクル 万博会場でカナダの技術と美意識が融合した空間を創出

ChopValue Manufacturing Japan
提供:ChopValue Manufacturing Japan

使用済み割り箸を資源に変えるカナダ発のアップサイクル企業、ChopValue Manufacturing Japan株式会社(東京都港区)は、2025年大阪・関西万博のカナダパビリオンにおいて、再生素材を活用した家具や空間設計を手がけた。同社がアップサイクルした割り箸の総数は606,597本にのぼり、二酸化炭素排出量で約29,864キロの削減効果を生んだという。

この取り組みは、廃棄物を価値ある資源へと転換する「クローズドループ(循環型)製造」の実践例として、国内外の注目を集めている。

 

コラボレーションスペースに7メートルの会議テーブルを設置

ChopValue Japanが今回製作したのは、22名が着席できる全長7メートルの特大サイズ会議テーブル。同パビリオン内の「コラボレーションスペース」に設置され、商談や交流イベント、公式パーティーなど多目的に利用されている。収納キャビネットも併せて製作され、すべてがアップサイクル素材による構成だ。

ChopValue Manufacturing Japan の大阪万博の出し物
提供:ChopValue Manufacturing Japan

また、Air Canada(エア・カナダ)が展開する飲食エリア「Destination Poutine by Air Canada」では、注文カウンターから調理スペース、受取カウンターまで、設計・製作・施工をChopValueが一手に担当。木材の風合いを活かしたデザインで、来場者が直接触れられる空間としての完成度を高めている。

スタッフ名札まで“再生素材”で一貫

さらに、来場者を迎えるカナダ館のスタッフが着用する名札までもがChopValue製の特注品。表面の質感、加工の細やかさに至るまで、環境配慮と高いデザイン性の融合が図られている。

同社は「サステナビリティの実装は、空間すべてに宿るべきもの」とし、名札のような小さなアイテムにも徹底して「循環型」を追求した。

 

「再生」をテーマに、カナダの哲学を具現化

カナダパビリオンのテーマは「再生(Regeneration)」。春の訪れとともに氷が溶け出す川の流れをモチーフに、パビリオン外観はカナダの自然現象「水路氷結」を表現。対照的に内部では、カナダ社会が掲げる温かさ、開放性、革新性が空間デザインを通じて体現されている。

ChopValueが提供したプロダクト群もまた、素材の温もりや技術的先進性、サステナブルなビジョンを込めたものであり、カナダパビリオンの理念と強く呼応している。

政府代表のローリー・ピーターズ氏は「ChopValueのプロジェクトは、カナダの“ローカル製造の意義”をグローバルに提示するものであり、持続可能性に根ざしたイノベーションの象徴だ」とコメントした。

“都市の資源”を再収穫するマイクロファクトリー

ChopValueは2016年、カナダ・バンクーバーで創業。使用済み割り箸を地域で回収し、地域で製造する「マイクロファクトリー方式」を導入した世界初の企業で、現在では9カ国・80以上のマイクロファクトリーを展開している。

日本法人となるChopValue Japanは、2024年7月に設立。2025年4月には神奈川県川崎市に国内初のマイクロファクトリーを稼働させ、日本で年間200億膳以上が廃棄されているとされる割り箸の資源化に本格的に乗り出している。

創業者でCEOのフェリックス・ベック氏は、「私たちの取り組みは単なる製品開発ではない。文化と循環を結びつけ、地域ごとのストーリーを紡ぐ試みだ」と述べ、循環型経済の象徴的事例として本プロジェクトを位置づけた。

 

「メイド・ローカル」が描く持続可能な未来

ChopValueの技術と哲学が融合したこの取り組みは、グローバルな視点でありながらも、“地域で回収し、地域でつくる”というローカル経済の再定義にもつながっている。

大阪・関西万博の開催期間中(~10月13日)、このプロジェクトは世界中から訪れる来場者に、資源循環と都市型製造の可能性を実感させるショーケースとなりそうだ。

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ライター:

サステナブル情報を紹介するWEBメディアcokiの編集部です。主にニュースや解説記事などを担当するチームです。

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