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株式会社ナカノ

https://na-ka-no.co.jp/

〒938-0043富山県黒部市犬山213-1

0765-52-1896

ゴミステーションの製品を通じて社会貢献を|株式会社ナカノ

サステナブルな取り組み SDGsの取り組み
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株式会社ナカノ 代表取締役社長中野隆志さん(画像提供:ナカノ)

株式会社ナカノは、1967年に製造ラインの保守・メンテナンスを行う中野鉄工として創業し、製缶加工や板金加工をはじめとした各種金属製品加工の設計・製作・組立に取り組んできました。

ナカノが開発した次世代ゴミステーションのDUSPONは、耐久性や審美性に優れ、都市景観と調和するデザインを評価され、2018年にグッドデザイン賞を受賞しました。

人気商品のDUSPONを生み出すまでに至った経緯や、今後の展望、社会課題解決への取り組みなどについて、代表取締役社長中野隆志さんに話を聞きました。

どのような要望でも必ず提案を返すことで信頼を呼び込む

御社について教えてください。

中野

1967年、中野鉄工として、私の父親である先代が立ち上げた会社です。当時の事業としては、地元にある吉田工業(現・YKK)の製造ラインの保守・メンテナンスを担当していました。

1969年に黒部工場を立ち上げ、今日までに滑川工場を加えた2拠点として、主要取引先も少しずつ増やしながら、自社商品であるゴミステーションの製造・販売も手掛ける会社に成長しました。

創業当時は、24時間稼働をしているYKKさんの工場が主たる顧客でしたので、夜中に電話がかかってくることもありました。

先代は数年間、大好きなお酒を飲まずに、緊張感を持ちながらしっかりと真面目に勤め上げました。そういった姿勢から信頼していただき、少しずつ図面などの仕事も依頼されるようになりました。

どんな依頼にも真剣に向き合い、妥協せずに投入することが先代からの会社の信条でしたので、私もそういう気持ちで毎回取り組んできました。この姿勢が弊社の根っこの部分にあると思います。

仕事の中で、お客さまからさまざまな要望を聞かせていただくようになり、弊社からも分かりやすく提案を説明するため、スケッチ図のようなものを描いて、正式に見積もりを取るという仕事の流れに変わっていきました。

どのような要望でも、提案をしっかりと返して、必ず要望に応えていくところが、他社にはない強みになっていると思います。さまざまな現場がありますので、いろいろなお声が出てきます。

初めて聞くようなことでも、しっかりと自分たちで考えながら提案していくことの繰り返しが、さらに信頼を呼び込むことを信じながら取り組んでいます。

お客さまと誠実に向き合う点が、御社の強みだということですね。

中野

そうですね。そこはしっかりと最後まで貫き通したいと思っています。

ゴミステーションのカラス問題を解決したDUSPON 1号機

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富山県魚津市住吉地区に設置されたDUSPON 1号機(画像提供:ナカノ)

御社の製品のDUSPONは、どのようなきっかけで製作したのですか。

中野

平成7年に、YKKの課長さんが、先代に相談したことがきっかけです。

その課長さんが魚津市住吉地区の町内会長になり、ゴミステーションにカラスが来ることが問題になっているので、良いゴミ箱を作ってほしいというのです。

先代の社長が1カ月かけて10案を提示し、オールステンレスでシャッターパイプ状のゴミステーションが採用されました。これがDUSPONの1号機です。

当時、オールステンレスは珍しかったのですか。

中野

珍しかったです。ステンレスの加工自体が、TIG溶接(タングステン-不活性ガス溶接)といって、鉄とは違う溶接をしなければなりません。

金属といっても全く違う仕上げ方をしなければいけないので、今ほど普及していなかったと思います。当時、鉄の5倍ぐらいの価格だったステンレス製が採用されたことは画期的でした。

10案も提示したので、そういった熱意も感じてくれたのかもしれないですね。

中野

それもあったかもしれません。魚津市の住吉町内会に1号機を設置したところ、カラスがゴミを荒らせなくなりました。それが話題となって、地元の新聞等にも記事になり、注文が広がっていきました。

理想のゴミステーションを追求したSLIDE DUSPON

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2018年、グッドデザイン賞を受賞したSLIDE DUSPON(画像提供:ナカノ)

DUSPONの強みをお聞かせください。

中野

ステンレスを使っているので、高耐食性が挙げられます。当時、鉄のゴミステーションが当たり前でしたが、塗装が劣化して、いずれ剥がれ落ちて錆になっていくので、数年に1回、メンテナンスが必要でした。

その煩わしさがなくなるという点が1つ目です。また、鉄は錆びていくと動きが悪くなり、扉が重くなって、非常に危険です。

そもそも鉄製の扉自体も重かったので、軽量化ができて、非常に安全にお使いいただけます。さらに、カラスにいたずらされないデザインもあります。初期のDUSPONはこの3つをテーマに打ち出しました。

さらに、私の知り合いにゴミの回収をしている社長さんがいたので、弊社の社員を1週間働かせてもらって、黒部市のゴミステーション、六百数十カ所回らせてもらいました。

そこから、誰もが簡単に利用できる理想のゴミステーションを突き詰めていったところ、今のSLIDE DUSPONにたどり着きました。

この特徴は、L字型のスライド扉です。持ち上げることなく、2キロ程度の力で横にスライドできます。ゴミを出す側、回収する側の双方にメリットがあります。

2015年に企画を始めて、試作機も6台ほどつぶし、形になったのは2018年です。グッドデザイン賞にも受賞いただきました。

24色のカラーバリエーションがある点も評価が高いです。さまざまな景観の中で、多様性を持つ商品のほうが好まれるだろうと考え、思い切ってどこのメーカーにもないカラーバリエーションにしました。

例えば、こだわりを持って家を建てる方も多いと思うので、そこに寄せていける商品でありたいと思います。気に入った色がない場合は、カスタマイズに対応することもあります。

社会課題解決への貢献を目指すSLIDE DUSPON HIGHSLIM

今後の展望をお聞かせください。

中野

これまでは富山県でしか販売してこなかったのですけれども、2019年から東京ビックサイトの展示会に出させていただき、全国展開をしたいと考えています。

展示会で、都内のアパートを管理している方から、「入れたいけれども、設置する場所がない」という話を聞きました。

「奥行きが全然取れない」とか、「500ミリ以内ではないと設置できない」という話がたくさんありました。それでスリムタイプのSLIDE DUSPON HIGHSLIMを作りました。

今度の7月の展示会では、これにスマートキーを付けたタイプを出そうとしています。登録している人だけが、ゴミを出せることになります。

スマートキー付きのゴミステーションは、これまでどこにもなかった物になります。

これまでは、オーナーさんがゴミ出しの日に毎回開けて、準備をしています。また、管理会社がメンテナンスをする際に鍵の開け閉めをしています。

しかし、これからの時代は人手不足になりますので、スマートキー付きの物で対応できると思います。少子高齢化、人口減少という社会課題解決の一助になる商品だと考えています。

さらに、このスマートキー付きのタイプは女性も安心して出せるゴミステーションになります。女性専用の賃貸物件の話を聞くと、特にセキュリティーを守る物がなくて困っているという声を多く聞きます。

この課題が解決できる商品なので、何名かの社長さんに「出たらすぐに買います」と喜んでいただいています。

まずは、このスマートキー付きのゴミステーションを日本のスタンダードにすることが、大きな夢です。

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宅配ボックスとしての活用も進んでいる(画像提供:ナカノ)

その他、社会課題を解決する取り組みはありますか。

中野

SDGsについては、まず素材を見直していき、できるだけリサイクル等が可能な物にしようと考えています。富山県SDGs宣言にも登録されています。

また、DUSPONを宅配ボックスとして使っていただき、宅配業者さんに少しでも楽にしてもらいたいです。
そのことによって、再配達に関わるCO2削減などにもつなげていきたいです。

物流の2024年問題は、われわれが解決できるレベルではありませんが、DUSPONを通じて少しでも貢献していきたいと考えています。

◎企業概要
社名:株式会社ナカノ
URL:https://na-ka-no.co.jp/
代表:中野隆志
所在地:
本社/黒部工場
〒938-0043富山県黒部市犬山213-1
TEL(0765)52-1896 FAX(0765)54-0352
滑川工場
〒936-0836富山県滑川市改養寺10-1
TEL(076)474-1851FAX(076)474-1853

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ライター:

1964年生まれ、群馬県出身。国立群馬高専卒。専攻は水理学と水文学。卒業後、日刊紙『東京タイムズ』をはじめ、各種新聞・雑誌の記者・編集者を務める。その後、映像クリエーターを経て、マルチメディア・コンテンツ制作会社の社長を6年務める。現在は独立し、執筆と映像制作に専念している。執筆は理系の読み物が多い。 研究論文に『景観設計の解析手法』、『遊水モデルによる流出解析手法』、著書に科学哲学啓蒙書『科学盲信警報発令中!』(日本橋出版)、SFコメディー法廷小説『科学の黒幕』(新風舎文庫、筆名・大森浩太郎)などがある。

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