ログイン
ログイン
会員登録
会員登録
お問合せ
お問合せ
MENU

法人のサステナビリティ情報を紹介するWEBメディア coki

福岡外語専門学校

https://www.fflc.ac.jp/

〒 812-0054福岡県福岡市東区馬出1-8-27

092-631-0147

「We are a Global Family!」世界の懸け橋として活躍できる人財を育成する

ステークホルダーVOICE 経営インタビュー
リンクをコピー

2023年で開校121年となる福岡外語専門学校(FFLC)は、英語を学ぶ日本人学生と、延べ63カ国からの留学生を受け入れている外国語専門学校です。

キャンパスはまさに世界の縮図となっており、これまで多くのグローバル人財を輩出してきています。

20年前に経営危機に陥ったFFLC を引き継ぎ、見事に立て直した岩本仁理事長と、岩本順子顧問に、この事業に懸ける思いを伺いました。

常に時代の流れにうまく乗ることで120年の歴史を築いた

加藤

FFLCは創立120周年を迎えたということですが、これまでの歴史を説明していただけますか。

岩本仁

本校は、明治35年に福岡裁縫女学校からスタートしました。
第二次世界大戦後には花嫁修業というニーズが薄れ、学生数が減っていきました。

福岡空港がまだ米軍の空港だった頃、アメリカ人が降りてくるのを見て、当時の理事長が「今から英語が必要だ」と思い、福岡外語専門学校という英語を勉強する学校になりました。

ただし、昔は大学受験に失敗した子たちが専門学校に来るという風潮でした。

それでも、当時は子どもたちがたくさんいたので、本校も大学受験に失敗した子たちの受け皿になり、一時期は日本人学生だけでも500人以上いました。

しかし2002年、ちょうどこの学校が100周年の時、学生が28人、先生が3人、職員が3人という、学校としてはなかなかに寂しい状態に陥っていました。

その時に私が呼ばれたのです。当時の理事長に「この学校は何を目指しているのですか」と聞いたのですが、ビジョンがありませんでした。

ある企業体がつぶれかかる時はそういう雰囲気です。そのような状況で、私がこの学校の後を継がないといけなくなりました。

加藤

経営危機の学校をどのように立て直したのでしょうか。

岩本仁

私は海外の大学を出て、日本に帰ってきてミノルタカメラ株式会社(現在のコニカミノルタ株式会社)に入りました。

そこで、グローバル化からはかけ離れた日本人職員があまりにも多かったことに驚き、日本人のグローバル化をしたいということを夢に持っていました。

FFLCの経営を引き継いだ時に、福岡の日中友好協会の副会長から、「中国では空前の日本語ブームだから日本語学科を立ち上げたらいい」と言われました。

20年前はまだ留学生を日本に入れるということがメジャーではありませんでしたが、国の留学生30万人計画というものも立ち上がり、日本でも留学生を増やそうという流れができました。

欧米諸国では、高等教育機関の学生数の25%が留学生です。その当時、英語圏ではないフランスやドイツでさえも約10%の留学生がいたのです。

当時の文部科学省もドイツ・フランス並みの10%を目指そうということになりました。

その時の推定では、2020年ぐらいには日本の大学以上の高等教育機関にいく人口が約300万人になるので、その10%を留学生にしようという「30万人計画」が持ち上がっていました。

私は藁をもすがる思いで2004年に文部科学省に日本語学科の申請をしました。やがて中国人留学生は約200人になり、学校の経営は安定するようになりました。

しかし、特定の国の学生が集中してしまうのは、グローバルな人財を育てる際には、足枷になってしまうことや、もし仮に何かあった場合、1カ国だけではリスクヘッジできないと考え、多国籍化に舵を切ろうとしました。

これは大変苦労しましたが、あの時選択していたからこそ、その後の尖閣問題で日中関係がこじれてしまった時も、学校が潰れずに済んだと言えそうです。

徐々に留学生が増えてきましたが、一方日本人の学生は30人弱までしか伸びませんでした。

内部では「英語科をつぶして日本人募集をやめて、全部留学生にシフトしよう」という声もありましたが、日本人のグローバル化をしたいという夢がありましたので、英語科は存続しました。

すると今度はコロナ禍で海外からの留学生が入ってこなくなり、逆に海外留学に行けない日本人学生が本校に入ってくるようになって、英語科の学生が150~160人に増えました。

振り返ると、常に時代の流れにうまく乗ってきたことが、本校の120年の歴史を築いてきたと痛感しています。

世界平和を実現するための「4つの100」

福岡外語専門学校
福岡外語専門学校には、さまざまな国の留学生がいる。提供:福岡外語専門学校
加藤

貴校では「4つの100」を目指しているそうですが、具体的に教えてください。

岩本仁

私はビジネスマンだったので、ある事業を運営する際、ずっと調子良くいくわけがないと思っています。

次に来る150周年、200周年にも本校が存続していけるよう強靭化をはかるため、先だって学校全体のリブランディングをしました。

まずは、学校の事業内容の見直しを行いましたが、結局、人が人である限り、言葉は最重要なコミュニケーションツールなので、どれだけITツールが進んでも語学習得のニーズがなくなることはないということで、次の50年も語学の学校でいいのではないかという結論が出ました。

次にどういう学校を目指すのかといったことを考えました。今後も日本はどんどん少子化になるので、日本で製品を作っても外に売りに行く必要があります。

その時にグローバル化の波には絶対に乗っておかないといけません。本校には現在44カ国からの留学生がいるので、海外留学に行けなくても国際交流ができます。これを継続していこうと考えました。

こうした前提をもとに、次代のコンセプトを「We are a Global Family!」にしたのです。この学校をベースに世界平和を実現しようということです。

このコンセプトの下には、「世界の架け橋として活躍できる人財を育成する」という柱があります。これを現実化するためには、「4つの100」に取り組もうと決めました。

1つ目は、100カ国からの留学生が集う学校にしようということです。

2つ目は、年間100の交流イベントを開催することです。本校はもともと縦割り組織なので、先生が自分の科しか見ることができず、横串の交流が醸成されにくい環境でした。

先生同士が交流しないと、学生も交流しない現実がありました。しかし先生たちも忙しく、自分の学科のことばかり考えてしまいがちです。

そこで、遊び事であれば交流するだろうということで100の交流イベントを開催するようにしました。

そうすることで日本人といろいろな国から来た留学生が交流できるのではないかと考えたのです。これが大変上手くいっており、多国間の交流が図れるようになりました。

3つ目は、世界各国にある100校の学校と提携をつくることです。そうすれば、本校から出すこともできるし、向こうから迎え入れることもできます。

4つ目は、学生の定着率を100%にすることです。ドロップアウトをゼロにするということです。

加藤

現在はどの程度まで実現できていますか。

岩本順子

1つ目の100カ国は、今までの累計で延べ63の国と地域です。来年度も新しい国が3つあるので、延べになると66の国と地域ということは実績として上がっています。

岩本仁

2つ目の交流イベントは、3日に1回ぐらい行っています。昨年は100イベントを達成しました。

国際交流の様子
国際交流の様子
岩本仁

3つ目の提携校は、留学業者や小さな日本語学校も入れれば達成しています。

4つ目の定着率が問題で、なかなか100%にはなりません。日本人の学生はやはり途中でドロップアウトしてしまう人もいます。就職するとか、いきなり海外へ行くとか、前向きなものはいいのですが、何となく辞めていくのが寂しいです。

エリートではなく普通の人が人財になっていく環境が整っている

加藤

100の交流イベントはすてきですね。学生たちの交流は実際に生まれていますか。

岩本順子

国際結婚も何組もいます。ある意味、マッチングプレースになっているのではないかと思います。

キャンパスがこじんまりとしているということも、一つの戦略になっています。今はコロナの関係で出入り口も1つしかありません。

集まる共有スペースもエントランスだけになるということが実はキーポイントで、座っているだけで毎日いろいろな国の人と顔見知りになることができます。

何度も会っていると、声を掛けるチャンスは山ほどあるのです。

一方で大きな大学を見てください。グローバルキャンパスといわれていますが、広いので、1週間も会っていないという人は珍しくありません。

そのような環境で、しかも皆さんが忙しい中で、声を掛ける勇気があるのでしょうか。
声を掛けたとしても、継続性があるのでしょうか。

しかし本校ではとても距離が近くなって、友達になるチャンスが山ほどあります。

座っているだけでもそうなるのですが、さらに交流イベントを仕掛けていくと、より多角的にチャンスを広げることができるようになっています。

実は本校の中では英語力の差がとても大きいです。日本人の1年生で英検1級を取る学生もいれば、ABCも分からない学生もいます。

普通は英語が話せなかったら、欧米の学生に声を掛ける勇気がない日本人が多いのではないですか。それが日本人に最も足りない部分です。

しかし本校では、まだ英語力が低い日本人の学生が「ヘーイ!」と話しかけていけるのです。グローバルな活動をするのはエリートのイメージがありますが、そうではありません。

本校では、普通の人がグローバル人財になっていくための架け橋になろうとしています。

加藤

それだけ多くの国の人たちと触れ合って友達になれる機会があることが高校生たちに知れ渡っていくと、そういう所に行きたいと思う子たちは多く現れるでしょうね。

岩本順子

そうです。そこで壁になるのが両親の世間体です。息子・娘が専門学校に行ったなどと言うのが嫌だというのです。

あとは学校の進路の先生です。自分の学校からこれだけの学生が有名大学に行ったと出さなければいけないのだから、専門学校に行かないでくれというのです。いろいろと邪魔するものがあります。

ここが本当に「穴場」なのにもかかわらず認知できません。毎日世界中の人とキャンパスで触れ合っているのですから、机上の英語では決して得られない英語力が身に付きます。

キッザニア福岡のグローバル人財は、ほぼ本校なしではあり得ないです。

キッザニアの人事担当者が、わざわざ本校に2回リクルートに来てくださって、「こんなに素晴らしい学生さんが集っている学校があるのですね」と言う状況になっています。

岩本仁

専門学校はいまだに社会的な地位はかなり低いです。学校教育法第124条で定められている専修学校ですが、公文書などは「大学等」で表現されます。

しかし専門学校もきちんとした高等教育機関です。特に専門学校の卒業生がエッセンシャルワーカーになっています。

コロナ禍でも大卒はホワイトワーカーといって、家でリモートワークをしてきましたが、専門学校の卒業生は、看護師、歯科衛生士、自動車整備工、レストランなど、現場で社会を2年間支えてきました。

専門学校とはそういう所です。「大学等」で済ませてほしくありませんね。

岩本順子

福岡大学の阿比留正弘教授と私たちが目指しているのは、フランスやドイツの専門学校です。そこでは大学よりもレベルが高いといわれる専門学校があるのです。そもそも世間の捉え方が全然違うのです。

株式会社植松電機の植松努社長も「目的があって大学に入るのはいいが、目的がないのであれば専門学校のほうがコストパフォーマンスはいいと思う」とはっきり言われています。

専門学校の概念を変えてほしいです。もっと大きな視点に立って物事を見てほしいです。

授業の様子
授業の様子

日本で学んだ技術や知恵を自国の発展のために使ってもらいたい

加藤

植松社長もFFLCで授業をしているのですね。

岩本順子

「お金とは」、「仕事とか」、「企業とは」というテーマを決めて、今、授業が4回終わりました。とても感動しました。あのような授業は植松社長しかできません。

自分の体験談を通じて話をされるので説得力もあります。

そこで「開発に一番必要なものは何か分かる?」と投げ掛けられたのですが、学生たちの意見を聞いた後、植松社長は次のように言われました。

「それは優しさです。周りを見てください。困っている人、悲しんでいる人、本当に苦しんでいる人がたくさんいるはずです。同じように自分が困っていることもあると思います。それをメモに必ず書き留めておいてください。それがビジネスになるのです」

今、私の背景にロケットのショーケースがありますが、これは植松社長と本校との連携事業です。それを受けているのは、留学生と日本人の合同事業の方々です。

本当に私たちは世界平和を真剣に考えています。大きなことをしなくても、友達に少し温かい言葉を掛けるだけで、実はもう世界の架け橋になっているのです。

国に戻るとフェイクニュースの嵐ですが、実体験で「FFLCに留学している時に○○の国の人は僕にこんなに優しい言葉を掛けてくれた。

これはフェイクじゃないの?」と家族に言ってくれるだけでも、実は世界の架け橋なのです。それを地道にやっていこうと、私たちは真剣に考えて取り組んでいます。

福岡外語専門学校
植松電機の植松社長を囲んで。
福岡外語専門学校
植松社長の授業の様子
加藤

最後に今後の展望をお聞かせください。

岩本仁

福岡の街は素晴らしいです。本校の留学生も、来るまでは福岡といってもピンときていませんでしたが、来てみたら「この街はいい」と言ってもらえる、それだけの魅力をもつ街です。

海もある、山もある、Jリーグのチームもあれば、プロ野球チームもある、相撲も歌舞伎も、全てあります。福岡国際空港があるので、アジアへもすぐに行けます。福岡の地の利に文句を言う人はいません。

私は、福岡の街で日本の文化を理解させ、なじませて、その文化の上に立ったマンパワーを社会に送り出していくことも、学校の一つの役目ではないかと思っています。

本校の先生たちにも、何のためにこの仕事をやるのかということを考えてもらっています。

それを引き出しとして留学生を指導してもらって、将来、彼らが日本で学んだ技術や知恵を自国の発展のために使ってもらいたいと思っています。

岩本順子

私や理事長は、営利目的ではないことにかなり力を使っていることが多いのですが、その姿や思いに賛同してくださる方も多いです。

長寿企業の共通点は公益性といわれているので、本校が目指して取り組んでいることはぶらさずに、この先、150年、200年続けていきたいです。

その時代に合わせて事業内容は変えていきますけれども、「We are a Global Family!」と世界平和という軸はぶらさずに、いろいろな展開をしていこうと思っています。

◎企業概要
社名:学校法人福岡成蹊学園 福岡外語専門学校
URL:https://www.fflc.ac.jp/
代表:岩本仁
所在地:〒812-0054 福岡県福岡市東区馬出1-8-27
連絡先:092-631-0147

Tags

ライター:

1964年生まれ、群馬県出身。国立群馬高専卒。専攻は水理学と水文学。卒業後、日刊紙『東京タイムズ』をはじめ、各種新聞・雑誌の記者・編集者を務める。その後、映像クリエーターを経て、マルチメディア・コンテンツ制作会社の社長を6年務める。現在は独立し、執筆と映像制作に専念している。執筆は理系の読み物が多い。 研究論文に『景観設計の解析手法』、『遊水モデルによる流出解析手法』、著書に科学哲学啓蒙書『科学盲信警報発令中!』(日本橋出版)、SFコメディー法廷小説『科学の黒幕』(新風舎文庫、筆名・大森浩太郎)などがある。

関連記事

タグ