ログイン
ログイン
会員登録
会員登録
お問合せ
お問合せ
MENU
一般社団法人ネクストプレナー協会

https://association.nextpreneur.jp/

事業承継で起業する|一般社団法人ネクストプレナー協会 代表理事 河本和真

ステークホルダーVOICE 経営インタビュー
リンクをコピー

事業承継で起業する|一般社団法人ネクストプレナー協会 代表理事 河本和真氏「失われた30年」と呼ばれて久しい日本経済を背景に、減少傾向に歯止めがかからない日本の中小企業。しかも、事業承継の成功率はわずか36%とも言われます。そんな現状に強い危機感を抱くのが、一般社団法人ネクストプレナー協会 代表理事 河本和真さんです。未来の日本のために、「今こそ事業を引き継ぐ経営人材の育成が急務」と語ります。

日本の中小企業は、全企業中の99.7%、総雇用人口の約7割を占める約3200万人の雇用を支える、日本経済の土台となる存在です。1999年には483.7万社を数えた中小企業も、長引く不況の中で2016年には357.8万社にまで減少。2020年から巻き起こっている新型コロナウィルスの猛威と、それに伴う非常事態宣言の発出によってさらにその傾向は加速度を増し、2020年の休廃業・解散件数は前年比6350件増の4万9698件に上っています(東京商工リサーチ調べ)。

しかし、廃業した中小企業のおよそ6割の企業が前期純利益黒字を計上しているのです(同調べ)。「多くの企業が黒字であるにもかかわらず、後継者がいないから廃業せざるを得ないのが実情です。現在のペースで進むと、2025年までに約127万社もの企業が、後継者不在が理由で廃業してしまう。これは全中小企業の3分の1にあたり、約650万人分もの雇用が失われることを意味しています」と河本さんは危惧します。

では、河本さんの考える後継者不在問題への解決策とはどのような方策になるのでしょうか。

「後継者不在の企業と経営者の道を歩もうとしている人材をマッチングし、ファイナンスを付けて事業承継を推進するという新たなスキームです。価値ある企業を有望な人材に受け継いでもらうことで、『大廃業時代』を食い止めていきたい」

「好景気の時代を知らない失われた30年世代の私たちだからこそ、これからの日本経済を変えていきたい」と話す河本さんが考える新たな経営者像、そしてその意志に賛同し協力を申し出てくれているステークホルダーについて伺いました。

事業承継を起業のファーストステップにする

Q.まず、御団体の名前にあるネクストプレナーとはどのような意味なのでしょうか?

アントレプレナーやイントレプレナーなど、実業家としての「プレナー」は、日本にも浸透してきていると思います。この「プレナー」に次の承継者・次の起業のスタイルとして「ネクスト」を付け、「ネクストプレナー」と呼んでいます。

私が提案しているのは新しい起業のモデルです。起業はゼロからの立ち上げるのが一般的なイメージだと思います。しかしそうではなく、後継者不在に悩んでいる企業の経営を引き継ぎ、そこから自分の経営をスタートさせる。つまり事業承継を起業のファーストステップとして取り入れているのです。

Q.企業の経営をいきなり引き継ぐのには、難しい点も多いと思います。

現在、当団体では「ネクストプレナー大学」を開設し、研修体制の充実を図っています。そこで経営者としてのマインドセットや事業承継のポイント・ノウハウの他、事業承継は形としてはM&Aになりますから、M&Aの知識やスキルも学びます。そこでの座学や実地研修を経て、改めて後継者不在企業とのマッチングをします。

その際に必要となる資金についても、マッチングした企業価値に応じて当団体から資金提供する体制になっています。

Q.実際に後継者不在企業とマッチングする時、どのように対象企業を見つけてくるのでしょうか。

まず、私が取締役CFOを務めているM&Aコンサルティング会社のGrowthix Capital株式会社からの案件があります。

そしてもう1つがこちらも私が理事兼社員を務めるサステナ社団(一般社団日本事業継続支援機構)から。サステナ社団では対象企業自体が承継しやすい形になるためのパッケージを作っています。これらでデューデリジェンスなど事業承継の準備を整えています。

また7月にはファンドを立ち上げますが、これによって様々な仲介業者からも案件依頼の問い合わせがくるでしょう。これも1つのルートになると考えています。

次世代を育成する「ネクストプレナー大学」

Q.ネクストプレナー大学について詳しくお聞きします。現在学んでいる方にはどのようなキャリアの方が多いのでしょうか。

大手の会社で会社員をされていた方が多いですね。心のどこかで起業したいと思っていたのに、日々の仕事に忙殺されて30代・40代になってしまった方々です。その歳になってから改めて起業するとなるとエネルギーが必要だし、なかなかきっかけやチャンスも巡ってこない。そこでネクストプレナーの事業承継モデルに目を付けてくれた。そういった方々が全体の6割ほどを占めています。

他にもゼロからの起業を考えているけれども、こちらのモデルも効率がいいのではと嗅覚を持ってきた方が1割、そして残りの3割がすでに自分で経営をしているけれども伸び悩んでいて、新しいモデルを立ち上げたいと思っている方です。

実はネクストプレナーの概念を思い立ったのは昨年2020年の10月で、そこから候補者を集めて第0期生として13名を選抜しました。彼らはこれから実地研修に入ります。そして2021年6月には第1期生40名が入学します。

Q.研修プログラムにはどういったものがあるのでしょうか?

ネクストプレナー協会が想定している実地研修では、実際に中小企業に入り込んでその会社の経営企画室を組成します。

中小企業の経営は、基本的に社長の頭の中だけにノウハウが詰まっていて、それが見える化されないままになっている。それをそのままにして経営権を次の世代に引き渡したりM&Aをしたりすると、今まで通りの経営ができずガタガタになってしまう。このためにM&Aや事業承継の成功率はわずか36%になっているのです。

この問題を打開するために、まず経営企画室を設けて社長の頭の中を見える化し、仕組みの中に落とし込んでいきます。そしてさらに各部署に権限委譲する。こうすることによって会社を他の人たちでも稼働させていけるようにする。「社長以外の司令塔を作る」のがこの研修の意図です。

また現在、ネクストプレナー協会は公益財団法人澤田経営道場さんと提携し様々な事業の展開を考えています。澤田経営道場さんには起業家としてのマインドの高い方が数多くいらっしゃいます。彼らが行う実地研修にも参加させてもらい、お互いに刺激してより高め合っていきたいと考えています。

「新しい温故知新」で会社をイノベーションする

Q.そもそも河本さんが事業承継に着目したきっかけは何だったのでしょうか。

1つめは私自身がネクストプレナーとして保育園を事業承継した経験があることです。その時すでにできあがっている企業に自分が入っていって信頼関係を構築しなければならないことなど、事業承継にはゼロからのスタートとは違った難しさがあることを実感しました。その経験から、まず私が重要だと感じた点をネクストプレナーに伝えていかなければと思ったのです。

そしてもう1つが、黒字経営であり世界にも稀な技術を持つ企業が、後継者不在で幕を下ろすのを数多く目にしたこと。店じまいを決めた経営者の方の多くは言いました。これから業界がシュリンクしていくから子供に会社を継がせたくない、今辞めれば誰にも迷惑をかけないから、と。しかし会社を閉めることによって、その企業が世に示している価値=コアバリューも永遠に失われてしまう。それが私は残念でなりません。

私が1番最初にM&Aのディールを組んだのは創業170年の和菓子屋さんでした。美味しいお菓子を製造する会社でしたがブランディングや販売網などの売り方に課題がありました。当社を買収したのはブランディングが得意な会社で、買収後は店の内外装を変えたりインスタグラムを活用したりして、若い人を呼び込む活動を積極的に行うようになりました。結果、2年で黒字に回復し、さらに工場の増設を自己資金で行い、店舗数を増やすなど大いに業績を拡大できた。

しかもそのプロジェクトマネージャーを担当したのは、大学卒業後まだ2年目の女性社員でした。彼女はその会社が持っているコアバリュー、ここでいえば和菓子を作る丁寧な工程や鮮度などの強みを活かしながら、イノベーションにひと手間加えることで全く新しい会社にしてしまった。いうなれば「新しい温故知新」です。だから私は店じまいしようとしている社長に、「御社の本当の価値=コアバリューは何ですか」と常に問いかけるようにしているのです。

感謝を伝えたいステークホルダー

一般社団法人日本CEO協会さん

日本CEO協会さんは、日本にCEOを数多く輩出することを目的として啓蒙活動を盛んに行っている団体で、学生の方など若い人たちに、経営や仕事の面白さを伝えていこうとしています。日本CEO協会さんにはネクストプレナー大学の大阪校の事務局を委託することになっています。お伺いしたいこととしては、ネクストプレナーという概念についてどういう点を期待してくれているのか、そしてネクストプレナー協会自体についてどういう役割を求めているのか、という点です。

株式会社batton代表取締役 川人寛徳さん

株式会社battonの創業者で同社の代表取締役をされている川人寛徳さんにも感謝を伝えたいですね。彼は業務のRPA化、ロボットによる業務自動化を事業にしています。株式会社battonさんとは今後、ネクストプレナーたちが事業承継したのち、その会社をバリューアップしていく過程でお手伝いいただく、いわば業務提携先の1つです。
 
川人さんはネクストプレナー協会の事業の提案をした時、二つ返事で「いいですね、一緒にやりましょう」と言ってくださいました。前例のない当団体のスキームに賛同いただけただけでなく、「世の中にとって良いことなので」とも共感していただけました。研修にマネジメントゲームを導入したらどうですか、と言ってくれたのも川人さんです。
 
マネジメントゲームは40年ほど前にソニーで開発されたもので、ボードゲームをしながら遊び感覚で経営を学べるゲームです。今ではひろく企業のマネジメント研修で活用されています。このゲームを用いた研修には研修講師が必要になるのですが、川人さんは自分は研修講師ができるから、その時は私がやりますよ、とまで言ってくれました。
 
川人さんは本当に視座の高い方で、私たちがやろうとしていることに対して、これを取り入れたらどうですか、と様々提案をいただけています。とても心強いパートナーです。

岩田松雄さん(元スターバックスコーヒー・ジャパン株式会社CEO)

岩田さんは「これからの日本にはリーダー的な存在が圧倒的に必要になる。だからそのための人材を育成していかなければならない」というミッションをお持ちです。当団体の理念にも大変共感をしていただき、当団体の顧問にも就任いただけました。
 
岩田さんはこれまでも日本コカ・コーラの常務やスターバックスのCEOを歴任されており、プロ経営者として様々な企業を見てこられた方です。規模こそ違えど、経営基盤が確立されている会社のトップとして経営を執行するという観点でいえば、ネクストプレナーと近い役割を果たされていたのです。岩田さんはそのご自身の持っているノウハウを提供したい、とまでおっしゃってくれました。それで私も是非お願いします、と。
 
岩田さんには、ご自身のリーダーを育てるというミッションに対して、様々なプラットフォームがある中で、なぜネクストプレナー協会を選んでくれたのか、ということをお伺いできればと思います。

キャンバス社会保険労務士事務所 五味田匡功さん

五味田さんがいなくては、ネクストプレナーのモデルが成立しなかった、と思っている恩人です。五味田さんは当団体と提携しているH.I.F株式会社の東小薗さんからの紹介で、現在は当団体の理事に就任いただいています。
 
彼は大阪のキャンバス社会保険労務士事務所に所属している社労士さんなのですが、社労士の業務をかなり超越していて、色々な人と人を繋いで新しいプロジェクトを作り上げていくスーパーコンテンツメーカーのような人。現在当団体のアンバサダーの多くは五味田さんからご紹介いただきました。
 
この事業を立ち上げの段階から五味田さんにメンターになっていただき、本当に感謝しています。五味田さんは無報酬で事業を手伝ってくれています。当初は毎日といっていいほど連絡をとらせていただきました。私としては、なぜそれほどまでに協力してくださるのですか、と深い感謝を込めて思っています。

Growthix Capital株式会社社員 松崎さん

松崎さんは元々三菱UFJ銀行に勤務されていて、いわゆるエリート街道を歩んできた方です。彼と始めて会った時、私が考えている事業承継の可能性や日本の今後について話をしたら「社会にとって大変良いことをしている」と共感し、ジョインしてくれました。非常に難しいネクストプレナー協会の事務局を一手に担って、実務面を請け負ってくれているのでとても感謝しています。

Growthix Capital株式会社員 森さん

森さんは現在のモデルが全く無かった頃からジョインしてくれています。若いのですが、すごく頭が切れて、要件定義も上手。こういうことをやろうと思っているのだが、足りないところを洗い出してほしい、と言うと森さんが多角的な視点で課題やタスクをリストアップしてくれる。PDCAサイクルを回すにあたっても、大変ありがたい存在です。

Growthix Capital株式会社CEO 中島光夫さん

私がCFOも務めているGrowthix Capital株式会社の創業者でありCEOの中島光夫さんは、私の前職株式会社FUNDBOOKの時から同じチームで仕事をさせていただいています。株式会社FUNDBOOKは元々、株式会社BuySell Technologiesというネット型リユース事業会社が立ち上げたM&A事業部からスタートしています。5、6人で立ち上げた事業なのですが、中島さんと私は、その創業メンバーだったのです。その後わずか2年ほどで急速に事業が拡大し株式会社FUNDBOOKの設立に至ったのですが、中島さんと共に仕事をしていく中で、彼からM&Aのノウハウなどを教えていただきました。
 
そして、彼がGrowthix Capital株式会社を立ち上げる時に取締役CFOに就任してくれないかと引っ張り上げてくれた。その後ネクストプレナー協会を立ち上げるにあたっても「代表理事を任せるから好きにやっていいよ」と言ってくれた。
 
中島さんは私の人生を変えていただいた恩人の1人だと思っていますし、いくら申し上げても言い足りないくらいの感謝があります。
 
面と向かっては聞きにくいのですが、なぜGrowthix Capital株式会社を立ち上げる時に私を引っ張ってくれたのか。そしてGrowthix Capital株式会社やネクストプレナー協会の成長ビジョンについてもお聞きしてみたいですね。

最後に

2025年、「大廃業時代」が訪れるといわれています。中小企業127万社が黒字廃業を余儀なくされ、650万人の雇用が喪失されるともなれば、22兆円ものGDPが消失すると試算されています。

安心して事業を託すことができる次世代の経営人材を数多く育てなければ、この「後継者不足」の流れを変えることはできません。今まさにネクストプレナーの存在が求められていると思うのです。

これまでお世話になってきた数々のステークホルダーへの感謝と共に、これから出会うべき未来世代と輝ける日本の未来を創っていきたいと考えています。

<プロフィール>

河本 和真(かわもと・かずま)

一般社団法人ネクストプレナー協会 代表理事

Growthix Capital株式会社 取締役

大学院在学中に、学業と並行してベンチャー企業の立ち上げに従事。2014年4月、野村證券株式会社入社。入社後3年間、東京都内の支店にて証券リテール営業に従事。社内最速2年目での職位昇格を果たす。2017年にテック系M&Aアドバイザリーに参画。M&Aによる事業再生案件等を手掛けた後、2019年6月より、Growthix Capitalの創業メンバーに参画。譲渡に備えた財政状態の整備や、譲受後の戦略コンサルティング等エグゼキューションのみならず幅広くお客様のニーズにお応えする。

<団体概要>
一般社団法人ネクストプレナー協会
https://association.nextpreneur.jp/

所在地:〒103-0026 東京都中央区⽇本橋兜町22-6 東京セントラルプレイス6階

代表者:河本 和真

設立:令和2年9月1日

事業内容
・事業承継コンサルティング

・補助金活用

・各種専門家紹介

・権限移譲におけるアドバイザリーサービス

・経営企画室構築支援

・事業承継者育成のための「ネクストプレナー協会」の運営

Tags

ライター:

1980年千葉県生まれ 筑波大学大学院博士課程中退(台湾留学経験有り)。専門は中国近代政治外交史。その他、F1、アイドル、プロレス、ガンダムなどのジャンルに幅広く執筆。特にガンダムに関しては『機動戦士Vガンダム』blu-ray Box封入ブックレットのキャラクター・メカニック設定解説を執筆(藤津亮太氏と共著)。

タグ