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特定非営利活動法人 キーパーソン21

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〒211-0004 神奈川県川崎市中原区新丸子東2-907-25 ハイツ武蔵小杉704

キーパーソン21で学生のやる気スイッチを押せる先生をつくりたい

ステークホルダーVOICE お客様 未来世代
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福岡外語専門学校(FFLC)は2022年で創立120周年を迎え、日本人学生を含む延べ63カ国からの留学生を受け入れてきました。

留学生は日本で働きたいという明確な目的を持って入学しますが、日本人学生にも能動的に動いてほしい。

そのような時に出会ったキーパーソン21のプログラムを通じて、課題解決のきっかけを与えてもらったと言う、FFLCの岩本仁理事長と岩本順子顧問に、これまでの取り組みと今後の展望について語っていただきました。

「4つの100」でグローバル人財の輩出を目指す

加藤

FFLCの概要を聞かせてください。

岩本仁

本校は開校して121年になる学校です。明治35年に創立した福岡裁縫女学校が前身です。創立当時の日本は繊維産業が強い国でした。また、女性は花嫁修業をするものという風習もありました。

ただ、時代が移り変わるうちに需要は減り、第二次世界大戦後に、福岡外語専門学校という英語を勉強する学校になり今日に続いています。

現在は、日本人学生を対象とした英語学科と、留学生を対象とした日本語学科、および進路に合わせた専門的なスキルを身に付ける専門コースを要する専門学校となっています。

当校の特徴としてよく人に言ってもらえるのが、数十か国にも及ぶ多国籍の学生を受け入れていることです。現在42カ国からの留学生が一つの空間で一緒に勉強しています。

本来、語学学校の経営の効率からいえば、中国やアジアなど特定の1~2カ国から集中して多くの学生を呼んだほうがいいんです。事実、多くの語学学校がそうしていますから。

私たちのように数多くの国から学生を受け入れるということは、それだけたくさんの関係各所を回らなければならないことを意味しますので。

でも、特定の国や地域の学生間だけの交流では、私たちが育てたいグローバルで活躍できる人財を育てることはできないという考えで、学校運営を行っています。

結果的に見れば今日には、福岡で数十か国にも及ぶ多国籍の学生を受けいれている学校は本校しかないので、差別化ができるようになりました。

本校の日本人学生は、海外留学に行けなくても42カ国の学生と交流できます。

福岡にいながら本当の意味の多国籍・国際交流ができる環境が醸成できていて、そのことを本校を見学に訪れる多くの方に驚きをもって見てもらっています。

学校のコンセプトは「We are a Global Family!」でして、国際交流がはかれる本校をベースに世界平和を実現していくんだ、という願いを込めています。

このコンセプトの下に「世界の架け橋として活躍できる人財を育成する」ことを実践しています。

また、私たちがパーパスを現実化するためには今後達成しなければならない目標値「4つの100」プロジェクトというものがあり、現在進行形で取り組んでいます。

1つ目は100カ国の学生が集う学校にすること
2つ目は年間100件の交流イベントを開催すること
3つ目は100の提携校をつくること
4つ目は学生の定着率を100%にすることです。

加藤

4つの100はわかりやすいですね。2つ目の「年間100件の交流イベント開催」についてどういった交流を行っているのか教えてください。

福岡外語専門学校
福岡外語専門学校には、さまざまな国の留学生がいる。提供:福岡外語専門学校
岩本仁

年間100の交流イベント開催は大きな効果を得ています。これまで63か国もの学生を延べで受け入れてきた本校ですが、当初はクラスを跨いでの横串の交流の機会があまりありませんでした。

せっかくこれだけの数の国の人間が一堂に集まるという稀有な場を醸成できているのですから、これは学生の生きた学びの機会としても有効活用していきたい。

そこで留学生同士が交流しあえるような「遊びの場」であれば自然と仲良くなれるだろうということで自国の文化を紹介するイベントを開催するようにしたんです。

大変好評でして、いまでは「あの国はこういった習慣があるのか」「この食事は美味しい」といったように、日本人をはじめお互いがお互いを知る絶好の機会となっています。

先生たちがわくわくすれば、学生たちもわくわくする

加藤

キーパーソン21さんとの出会いの経緯をお聞かせください。

岩本仁

コロナ禍当初は海外からの留学生が日本に来ることが難しかったのです。一方で、逆に海外留学に行けない日本人学生が本校に入ってくるようになって、英語科の学生が30人弱から150~160人に増えました。

海外留学生たちは日本で学びたい・働きたいという明確な目的を持って本校に入学してきますので、本当に勉学意識が強く、本校も彼らのニーズは十分に果たせていました。

しかし、日本人学生は留学生に比べると、絶対に海外で働かなければならないといった事情はありませんので、どうしても主体性に欠けがちな学生が散見しました。

今の日本の若者は、高校生や大学生になっても自分の将来を明瞭に描ける人は少数派です。

就職を考える段になっても、自分がどういった会社に行きたいのか決めきれないまま、取りあえずさまざまな会社の試験を受けて、「何となく」という漠然とした状態で入社してしまう。

結果として相当数のミスマッチが起こり、「やっぱり違った」と辞めている人がたくさん生まれてしまっています。

私たちとしてもどうすれば学生の「やる気」を喚起できるのか、ずっと考えて色々な手法を実践してきたのです。

そんな折に、懇意にしていた植松電機の植松努社長を通じて、キーパーソン21さんの存在を知りました。

岩本順子

2019~2020年ぐらいでした。理事長が親しくしていた福岡大学の※阿比留正弘教授が本校に来校された際に、植松社長を紹介してくださいました。

植松社長は会った人皆さんわかると思いますが、エネルギーに満ち溢れている人です。

何かしらのヒントが見つかるのではないかとおもって何気なく、インターネットで植松社長のことをフォローをしていたら、関連のレコメンデーションで色々な情報が上がってくるようになりました。

その情報群にキーパーソン21さんがあったのです。そこで植松社長にキーパーソン21さんのことをお訊きしたら、「いいと思いますよ。僕たちも呼んで講座をしてもらいましたよ」と言ってくださったのです。

植松社長がいいと言っている団体であれば、いい団体なのだろうと思い、それでご連絡をしました。

※阿比留正弘先生。福岡大学経済学部ベンチャー起業論で、超実践型アクティブラーニングを運営https://shuharibt.wixsite.com/kigyouron

岩本仁

私は2022年7月までの7年間、一般社団法人福岡県専修学校各種学校協会(専門学校協会)の会長をしてきました。多くの学校に共通する悩みが、学生が目標を見失ってしまい、学校を退学していくという問題です。

キーパーソン21 の代表の朝山あつこさんと話して、この問題の解決の糸口があるのではないかと思いましたので、まずは協会で研修会を開いてもらいました。

参加者の多くに好評でした。やはり学生のやる気を喚起するためには、教える側の学校の職員・教員の意識が変わっていかなければなりません。

加藤

そういった経緯でFFLCにも来てもらうようになったのですね。

岩本仁

はい。本校でも、学生のやる気スイッチを押せる先生たちをつくりたいと思って、朝山さんに来てもらいました。

私は学生の前に先生たちだと思うのです。時代は移り変わり、いまは上からモノを教える教育から、同じ目線で伴走する教育に変わってきています。

情報化社会は進み、多くの知識の類はGoogleで検索すれば瞬時にアクセスできるようになっています。学生は昔のように図書館に行かなくても、最新のアップデートされた情報を調べることができます。

こうした時代だからこそ、アイデアを生む発想力や思いやりを育むことに注力すべきと考えています。

朝山さんの言葉を借りれば、「一人一人のわくわくエンジンが未来をつくる」とあります。深く共感します。まずは学生を見る先生たちにわくわくしてもらうことを考えています。

先生たちも毎日の業務がありますから大変でしょうが、わくわくの連鎖をつくっていきたい、これがキーパーソン21さんのプログラムを受けるようになった動機です。

今の若者が人生を考える一つのポイントになる考え方

取材はZoomで
取材はZoomで行いました。
加藤

キーパーソン21さんの「わくわくナビゲーター養成講座」を受けた先生たちは、実際にどのような感想をもったのでしょうか。

岩本順子

これまで約30人の専任教師に受講してもらいました。

ポジティブな意見とネガティブな意見の両方があります。キーパーソン21のプログラム内容に関しては、先生たちは学校の授業では与えることのできない「いい内容だね」と言っています。

ただし、実際に本校のカリキュラムの中に落とし込むことの難しさを指摘する方もいました。

確かにいろいろな障害があります。現時点では、まずはモデルで1クラスずつモニタリングしながら進めていこうとしています。というのも、本校の留学生には、70歳近い人もいます。

日本人でも学び直しで、サンリオの本社で働いていた50代の方が退職して「中国語をスキルアップしたいので、中国の大学に編入するために来ました」という人もいます。

8割を占める留学生は自分の考えを明確に持っています。

日本人の若い学生は、理事長が言ったようにさまよっている子が多いです。このようにいろいろな学生がいるので、やり方を変えないと合わないことが分かってきました。

そこで先日も専門学校協会に来られたついで、朝山さんと藤谷仁美理事に本校へ来てもらって、どのような課題があるのかということを先生たちと共有してもらいました。

今後は解決策を一緒につくっていこうということで合意し、プロジェクトを前進させるべく動き出しています。

岩本仁

朝山さんは、例えば「子どもの時に将来は何になりたかったか」、「医者だったが、勉強が大変だよね」、「でも、何のために医者になるのか」、「人を助ける」、「人を助けるのは別に医者でなくてもできるよね」という徹底的になぜを繰り返し、深堀していく授業をしてくださいます。

これは先生だけでなく、その先にいる学生にぶつけたい問いですし、自分の将来を考えさせることを、学校が持っていてもいい一つの引き出しだと思っています。

先生たちも、学生たちが「何のためにこの学校に来ているのか、将来は何になりたいか」ということが分からなかったら、指導のしようがありません。

そういう面では、キーパーソン21さんの考え方は、今の若者が人生を考える一つのポイントになるのではないかと思います。

「わくわくエンジン」を絡めて学生が成長するきっかけにしたい

福岡外語専門学校
授業の様子
加藤

貴校にとってキーパーソン21さんはどういった存在ですか。

岩本順子

前進するきっかけをくださった存在です。

特に英語科の日本人学生を担当している先生たちは「どうやったら学生が能動的に動きだすのだろう」と悩んできました。

もちろん、その必要がない自主的な学生も一部にはいるのですが、せっかくお金も時間もかけているのにもかかわらず、もったいないと思う学生に対して、先生たちも一番時間を使ってしまうのです。

本来の目的である「多様性を身に付ける、英語を身に付ける、仲間をつくる」というところへいく以前の問題があるのですが、これまでは先生個人に問題解決を委ねてきたため、学校全体として見た時に、「これだ」という解決方法を見いだせてはいませんでした。

加藤

今後、キーパーソン21さんと共にどのような取り組みをしていこうと考えていますか。

岩本順子

プログラムを一緒に作っていこうというよりも、既にあるものをどれぐらいカスタマイズするか、どこまでできるかというイメージです。

朝山さんたちも本校としても、ゼロからイチをつくろうということではなく、そもそもある「わくわくエンジン」のプログラムを用いて、お互いにウィンウィンになるような形にしようと考えています。

今は「わくわくエンジン」の高校受験の面接対策としてのプログラムをもう少し大人バージョンにしようとしています。

岩本仁

本校で2年間学んで、大学3年生に編入することは、本校の売りでもあります。本校から関西外国語大学などに行った学生たちに聞くと、本校にいたからこそ英語を話すことができたと言います。

岩本順子

ある学生がMARCHのある大学を不合格になって、本校に来ました。

同級生は皆現役で大学に入ったので、自分はずっと浪人だというコンプレックスを持つのは嫌だということで、本校を卒業してからフランスのEMBAという教育機関に編入しました。

フランスは3年制なので、たった1年で学位を取得できたのです。それは地方限定の学位なのですが、それを持って今度はタイのバンコクにある大きな有名大学の大学院に入ったのです。

つまり、世界を股に掛けて同級生を一気に追い越したのです。そういうことができるのは本校に入ったからだと学生も感謝してくれたのです。

※2019年から2021年の間、FFLCを卒業して海外提携大学編入した学生人数は、合計15人。
ちなみに2020年、2021年はコロナ禍で、殆ど編入していないとのこと。内訳は、アメリカ 6人 フランス 5人 タイ 2人 韓国1人 中国 1人

岩本仁

本当にたくましいです。

岩本順子

生き抜く力が身に付いていました。

岩本仁

本校はたくさんメニューを作ってあげて、学生が成長するきっかけになればいいと思っています。

岩本順子

それには本人の動きだしが欠かせません。私たちは環境をつくってあげることはできますが、取り組むのは本人です。

環境を最大限に活用できるのは、動きだす学生だけです。そこに「わくわくエンジン」を絡めていきたいと思っています。

企業概要
社名:学校法人福岡成蹊学園 福岡外語専門学校
URL:https://www.fflc.ac.jp/
代表:岩本仁
所在地:〒812-0054 福岡県福岡市東区馬出1-8-27
連絡先:092-631-0147

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ライター:

1964年生まれ、群馬県出身。国立群馬高専卒。専攻は水理学と水文学。卒業後、日刊紙『東京タイムズ』をはじめ、各種新聞・雑誌の記者・編集者を務める。その後、映像クリエーターを経て、マルチメディア・コンテンツ制作会社の社長を6年務める。現在は独立し、執筆と映像制作に専念している。執筆は理系の読み物が多い。 研究論文に『景観設計の解析手法』、『遊水モデルによる流出解析手法』、著書に科学哲学啓蒙書『科学盲信警報発令中!』(日本橋出版)、SFコメディー法廷小説『科学の黒幕』(新風舎文庫、筆名・大森浩太郎)などがある。

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