
身近なスマホや家電の裏側で増え続ける電子ゴミ。この難題に、まったく新しい角度から挑む企業がある。産業用基板をつくる株式会社電産は、捨てるはずの基板を伝統工芸と掛け合わせ、美しく生まれ変わらせる挑戦を始めた。
深刻化する電子ゴミ問題に届ける新しい解決策
電子機器が普及する一方で、使い終わった部品や基板の処分は世界的な問題になっている。リサイクルコストの壁もあり、捨てるしかないケースも多い。
電産はこのもったいない状況に新しい風を吹き込むべく、青森で百年以上続く津軽塗たなかとタッグを組み、廃棄部品をアート作品へと昇華させた。
技を重ねる共通点が生んだ電子基板と津軽塗の出会い

ふたつの共通点は重ねる作業にある。電子基板は何重もの層を重ねて回路をつくる。津軽塗も漆を塗っては研ぐ工程を繰り返し、深い模様を生み出す。
工業製品と伝統工芸という異なる世界でありながら、時間をかけて層を重ねる手技が見事に調和し、これまでにない魅力的なデザインが誕生した。
捨てて終わらせない思いと柔軟な視点の転換
根底にあるのは、50年部品づくりに向き合ってきた電産のものづくりへの愛だ。役目を終えた部品をただ捨てるのではなく、メカメカしい構造をデザイン素材として見つめ直した。
一企業の廃棄量は小さくても、視点を変えれば価値は変わる。堅苦しい環境問題を誰もが楽しめる表現に変換する発想こそ、電産の取り組みの核となっている。
畑違いのパートナーと組むことで見える新しい景色
電産の挑戦は、課題に行き詰まったビジネスパーソンに大きなヒントをくれる。自社だけで頭を抱えるのではなく、あえて遠い世界の技術や価値観に目を向けてみる。
見慣れたはずの技術が新しい魅力を放ち始め、それまで届かなかった人々の心をも動かす力になる。未知の領域と手を取り合うしなやかさこそが、停滞した現場を前進させる一番の原動力なのだ。



