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freee株式会社

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〒141-0031 東京都品川区西五反田2-8-1 五反田ファーストビル 9F

「freeeらしさ」の探求が持続可能な組織と社会をつくる~SDGsを超えた未来へ|freee株式会社ムーブメント研究所

サステナブルな取り組み SDGsの取り組み
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「スモールビジネスを、世界の主役に。」をミッションに掲げ、2019年12月、クラウド会計・人事労務などを主に統合型の経営プラットフォーム提供を目指し上場したfreee株式会社(東証マザーズ4478、代表:佐々木大輔)。有料ユーザー約31万企業(2021年6月時点)を誇る日本を代表するバックオフィスクラウドのプラットフォーマーだ。

今回は、同社のさらなる飛躍に向けた企業カルチャーの言語化や浸透に取り組む同社ムーブメント研究所の辻本祐佳さん、野本篤則さん、成田美和さんに、社会と組織の持続可能な成長を育む「freeeらしさ」とは何か、多様な個性が活躍する「インクルージョン組織」の成功の鍵と、同社のSDGsへの取り組みを語っていただいた。(画像提供:freee株式会社)

「freeeらしさ」を次世代につなぐために

――

本日はfreee株式会社のムーブメント研究所の皆さんにお話しを伺います。よろしくお願いします。では、皆さまの自己紹介からお願いします。

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freee株式会社CCO(Chief Culture Officer)辻本祐佳さん
辻本

 CCO(チーフ・カルチャー・オフィサー)の辻本です。一般企業で言うところの人事・総務部門に該当する「ムーブメント研究所」と労務部門に該当する「メンバーサクセス」の責任者をしています。freeeは組織のあり方として「ムーブメント型チーム」を掲げているのですが、この「ムーブメント研究所」は、組織の成長が事業の成長につながるという観点から、いかにしてそのインパクトを与えていくかを考え実行する役割を担っています。

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freee株式会社 経営基盤本部 組織基盤部 ムーブメント研究所 マネージャー野本篤則さん
野本

ムーブメント研究所でマネージャー(社内用語でジャーマネ)をしています野本です。私はこれまで人事分野の人材育成や組織開発を専門としてきました。ムーブメント研究所では、freeeの組織カルチャーの醸成に関わるあらゆる業務に携わっています。私は2020年11月の入社ですが、freeeの第一印象は、これだけ多様な個性を持った人たちが、それぞれの熱量を持ちながらも、同じ方向を向いて進んでいて、「何だ、この会社は?」という不思議な感覚でした。そして、組織の求心力の「軸」となっているものは何なのか?という部分に興味を持ち、入社を決めました。その「freeeらしさ」をさらに強固なものにしていくのが、私の現在のミッションです。

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freee株式会社 経営基盤本部 組織基盤部 ムーブメント研究所成田美和さん
成田

ムーブメント研究所の成田です。主にインターナルコミュニケーションを中心とした、全社イベントの設計やカルチャー醸成のためのタッチポイントを増やす施策を考えたりしています。前職ではアパレル業界でセールスやエリアマネージャーを担当しており、freee入社後もインサイドセールスを2年ほど経験した後、今のチームの前身となるカルチャー推進チームを辻本が立ち上げるタイミングで異動しました。

ムーブメント研究所とは?ミッションは持続可能な組織のカルチャーづくり

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freeeのコーポレートサイト。「スモールビジネスを、世界の主役に。」というスローガンがTOPに掲げられている。
――

皆さんが所属する「ムーブメント研究所」の概略について伺います。先ほど人事・総務部門に該当する部署だと伺いましたが、ネーミングの狙いや背景などをお聞かせいただけますか。

辻本

freeeは創業期からミッション・ビジョン・バリューは明文化していましたので、創業メンバーの共感度は高く、普段のミーティングの場で頻繁に使われるぐらい組織に自然に浸透していました。しかし、「スモールビジネスを、世界の主役にする。」という高いハードルを社会実装し、お客さまを次のステージに押し上げていくためには、freee自身も成長し続けなければなりません。それを自律的に実行していける組織になるためには、それが企業のカルチャーとして根付いている必要があります。そのために価値基準の見直しを図り、それを企業カルチャーに昇華させるオーナーとして、2018年7月、今のムーブメント研究所の前身となるカルチャー推進チームを立ち上げることになりました。

一般的な会社で言う人事・総務の機能を持つチームですが、組織のカルチャーに対してインパクトを与えることに責任を持ち、そのための機能を担うことを社内外に示すために、人事・総務という名称ではなくカルチャー推進チームと名付けました。

――

ムーブメント研究所の部署としてのミッションをお伺いできますか。

辻本

辻本 私たちのミッションは、freeeの「価値基準」を「カルチャー」として組織に持続的に継承される仕組みにすることです。

価値基準をカルチャーにするには、段階的なプロセスが必要です。まず、組織として大切にする価値基準を掲げること。全員で楽しみながら実践してみること。その結果や感じたことを共有したり、対話するなどの交流によってフィードバックし合うこと。このようなプロセスを経て、チーム・組織の中で共通言語が形成され、カルチャーが自然体で組織に醸成されていくのです。

価値基準という「言葉」を皆で復唱するのではなく、各人の中に腹落ちして、皆の「行動指針」となって、「共通言語」になっていくというプロセスを大切にしながら、全社員一人ひとりがオーナーシップを持って実現できる状態にすることが私たちのミッションであるとも言えます。

しかし、これは一朝一夕で起きることではありません。数年単位でいろいろなことに取り組みながら、試行錯誤している過程も含めてオープンにすることで、それが組織としての価値基準の定着につながっていき、会社は自ずと成長していくのだと考えています。

「freeeらしさ」を全社員で探求。「マジ価値」を極め、楽しみながらユーザーに届けきる

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マジ価値のラベルのペットボトル
――

先ほどから伺ってきた御社が大切にしている「freeeらしさ」、あるいはカルチャーとは、一言で言うと、どのようなものなのでしょうか。

辻本

そこを、今まさに全社員で追求しているところなのです。社員一人ひとりには確かなコンセンサスはあるのですが、言語化するにあたって、明確に一言で言い表せない部分があるのです。

幾つかのキーワードを挙げてご説明すると、次のようなものがあります。

まず、創業時からコアとなっている価値観は、「マジ価値」というものです。これは「ユーザーにとって本質的な価値があると自信を持って言えることをする」というものです。「ユーザーが欲しいもの=ユーザーにとって本質的に価値があるもの」ではないかもしれないという前提に立ち、単にユーザーが欲しいものを超えて、ユーザーにとって本当に価値があるものは何かを見極め、提供しようということです。

例えば、創業期には、「freee会計」は簿記を学んできた人からすると分かりにくいと指摘されることがありました。しかし、簿記を学んできた飲食店の店主は多くありません。そういった人たちが簿記を学ばなければ使えないソフトが広範に流布しているのだとしたら、彼らにとっての本質的な価値はありません。彼らが日常的にビジネスをしているだけで必要な会計帳簿ができ上がることこそ、本質的な価値があります。そういった価値観の上に積み上げてきたのが、今の『freee』というサービスです。ユーザーにとっての本質的な価値を希求すること。これがキーワードの一つです。

次に、「マジ価値」をユーザーに届けるためには、肩の力を抜いて、「自然体」で極めていく姿勢も大切にしています。もちろん手を抜くということではありません。真剣に本質的な価値を目指しつつ、そのプロセスを楽しみながら極めていくということです。

この2つが、freeeとして、とても大事にしてきたカルチャーの骨子を成すだろうと思っています。まだ明確な答えはありませんが、現時点ではこういうものではないかと考えています。

事業成長を見据えた組織のカルチャー醸成とインターナルコミュニケーション

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――

御社が「カルチャー」を大切にされている理由は、御社の成長プロセスに背景があるのでしょうか。

辻本

そうですね。弊社は2012年の設立で、クラウド型の会計ソフトfreeeを開発しました。もともと佐々木が、あるべき社会の実現に向けて、本当に価値のある事業を楽しみながら探求していくタイプの人間だったので、その姿勢に共感して集まった人たちが創業期には多かったのではないでしょうか。

その後毎年、事業が成長し、社員が増えていく中で、ついに2017年から2018年の1年間に入社した社員数が、在籍者数を上回るほどになったのです。

この時、今後、従業員それぞれが思う「freeeらしさ」にばらつきが生じ、創業期から大切にしてきたカルチャーを保持することが難しくなることが予測されました。この時点で何か問題が生じていた訳ではなく、今後の事業成長を見据えて先手を打ち、中長期的な視点で投資をしていくことになり、現在に至っているのですね。

――

今後の成長を見据えた未来志向の課題設定だったのですね。

辻本

はい。当時、価値基準は明文化されていなくても相応に組織に浸透していましたし、むしろ組織全体での合意形成はできていました。それによって一定の組織の強さを持っていたと思います。しし、事業の成長スピードよりも組織の成長スピードが先んじていないと、それなりの成長で止まってしまうのではないか、より伸びていくためには刷新が必要ではないかという問題意識があったのです。

野本 

最近の環境変化としては、新型コロナウィルスの影響によるリモートワークへの急速な移行もありました。それによって価値基準に対する人それぞれの理解度や活動度合いが、まちまちになっていたり、見えづらくなっている状態が、少なからず生じてきたように思います。

このような環境変化に対して、個人、チーム、部署、会社と、多層的な視点で課題を捉えて、それぞれに有効な対策を講じていく必要があるとも考えています。そのために私たちは、社員とコミュニケーションを取り、トライ&エラーを繰り返しながら、共に答えを見つけていこうとしている最中です。

企業カルチャーは、一人ひとりが体現した結果、醸成されるもの

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freeeの創業期2012年時の写真
――

「freeeらしさ」を希求し、カルチャーとして組織に浸透させていくための具体的な取り組みについてお聞かせください。

野本 

1点目は、入社時の「カルチャー」という項目のオンボーディングです。freeeのカルチャーについて説明する研修で、全社員が受講しています。ただし、それは「現時点のfreeeの価値基準やカルチャー」への理解を促すためのものであって、決して「今の価値基準の型に、はまってほしい訳ではない」というメッセージも伝えています。入社時から、freeeのカルチャーを理解した上で、一緒に進化してほしいという意思を伝えているのです。これが弊社の特徴の一つだと思います。

このようにメッセージを伝えている訳は、佐々木の創業時の失敗談も背景にあります。創業期、佐々木は会社として価値基準を定めて、意思決定のスピード化を目指しました。そこでまず経営陣で価値基準を考えて、社員にメッセージを発信したのです。しかし、それでは社員一人ひとりに腹落ちせず、全員で自分たちの価値基準とは何かを改めて議論する場を設けてはじめて、多くのメンバーのコンセンサスに至ったという経緯があります。

バリューやカルチャーとは、組織の一人ひとりが体現した結果、醸成されるものです。新たに入社した人たちも含めてつくっていくものです。そこに対して、違和感や意見があったら発信していいし、変えるべきものは変えるべきだということも含めて、皆で議論してつくっていきたいのです。

2点目は、「あえて共有」という価値基準を活用するためのコミュニケーションプラットフォームが徹底して用意されています。例えば、社内のコミュニケーションツールはメールではなくて、Facebookのビジネス版のWorkplaceを活用しています。そこで議事録、チームの活動、プライベートの活動なども含めて、全部共有されているのです。freeeのカルチャーに関する意見交換も含めて、全員の情報発信やディスカッションがオープンに行える状態にしています。

3点目は、コミュニケーション上の上下関係を取り払っていることです。それを表す代表的な例として、freeeではマネージャーではなく「ジャーマネ」という呼称を使います。芸能界で使われているマネージャーの呼称で、マネージャーが主役でなくて、タレントをより光らせるという役割を担う存在です。発言に上下の区別を付けず、フラットな関係の中でディスカッションし、「マジ価値」を追求する環境を大切にしています。

このようにカルチャーへの向き合い方を共有した上で、フラットでオープンなコミュニケーションが促される環境を用意しています。その環境の中で、これからお話しする様々な仕掛けをしています。

マジ価値原則「ムーブメント型チーム」を語らずとも体現した「フリスピフェス」

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2021年7月開催の「フリスピフェス」の一コマ
成田 

freeeの価値基準には、メンバーに必ず持っていてほしいマインドとして「社会の進化を担う責任感」と「ムーブメント型チーム」という2つの原則があります。今回はムーブメント型チームを強化するためのアクションとして、「フリスピ」(freee Spiritの略)と呼んでいる全社キックオフのイベントをご紹介します。

フリスピとは、期初に新年度の方針や目指す方向を全員が理解して、わくわくした状態でスタートを切れるようにすることを目的にしています。

コロナ禍で在宅勤務に切り替わってちょうど2年目になりますが、1年目は全社員が過去に築いてきた組織力やお互いの信頼貯金のような資産を切り崩しながらつないできたように思います。そこで、2021年7月開催の「フリスピ」では、組織としての強い信頼関係を構築し、「ムーブメント型チーム」を強化することをテーマに掲げて開催しました。

「フリスピフェス」と称し、フェスをモチーフにして、丸1日8時間かけてオンラインで開催しました。freeeのブランドコアに「解放」「自然体」「ちょっとした楽しさ」というものがあります。その空気感を演出する上でも、出演者のステージ背景をブランドの世界観に合うような野外の景色をグリーンバッグで合成したり、当日の空間設計にもこだわりました。

午前の部は、代表が今後の経営方針を語る時も、一体感や熱量を感じてもらえるように、ライブのステージのような演出にしたり、全社ビジョンを語るパートもトークセッション形式にして、各チームからの質問に答えてもらえる双方向型の運営を行いました。

午後の部は、組織力の強化を主眼として、例えば、ゲーミフィケーション形式で、オンライン上で謎解きゲームをしたり、パラレル屋台企画も実施しました。パラレル屋台とは、各メンバーが屋台主になり、自分の得意なことを思い思いに表現するというもので、皆でビールを飲むだけの屋台もあれば、手品、カラオケなど、20軒ほどの屋台が並び、誰でも興味のあるところに参加できるという企画です。

さらには、サプライズ企画として、freeeユーザーさんでもあり、プロのアーティストとして活動されている方にシークレットライブをしていただきました。私たちの価値が確かに届いていることを実感してもらえる機会として、一体感が持てるような仕掛けを随所に散りばめたのです。

創業初期の失敗談から生まれた「アウトプット→思考」という価値基準

成田 

フリスピ以外には、「価値基準記念日」というものを制定しています。freeeの価値基準7つを毎日意識することは難しいですが、年に一度思い出せるきっかけとして記念日をつくったのです。例えば「母の日」には母親に感謝してカーネーションを贈るように、記念日と行動変容はセットになります。価値基準においても、その日が来ると想いをはせられる、行動に踏み出せるということで、7つの「価値基準記念日」を制定しています。

辻本 

価値基準記念日の象徴的な例としては、「アウトプット→思考デー」があります。「アウトプット→思考」とは、まずアウトプットしてフィードバックをもらい、また思考して、さらにアウトプットして……ということを繰り返していくことで、より速く完成に近づいていこうという考え方です。

成田 

これは創業初期における佐々木と横路隆CTOの失敗談から生まれているものです。会計ソフト『freee』のリリース日は3月19日でした。確定申告の期限日は3月15日ですので、もともとは、その前にはリリースしようと考えていたそうなのです。しかし、2月にプロダクトがローンチできる状態にはなっていたものの、「もっとこうしたほうがいい」と考え過ぎた結果、確定申告前のリリースに間に合わなかったというエピソードがありました。そこから「アウトプット→思考」という価値基準が生まれ、3月19日を「アウトプット→思考デー」という記念日に制定したのですね。

最近の「アウトプット→思考デー」では、各メンバーが大小を問わず何かをアウトプットすることにトライするという仕掛けを展開しました。

例えば、人事労務管理システム『freee人事労務』では、給与計算確定時に社員へ給与明細をメールで配信する機能があるのですが、「アウトプット→思考デー」に、この機能で使えるようにツバメがお金をくわえて飛んでくるかわいいアニメーションを製作したメンバーがいました。それは今、実装化されていまして、シーズンごとにツバメのデザインが変わるなど、ちょっとした遊び心も演出する、freeeのブランドイメージにもつながっているものです。

辻本 

これは「アウトプット→思考デー」という機会があったので作ってみようと思いついたことがきっかけで、皆からも「これ、すごくいいじゃん」という反響があり、すぐに実装化されました。まさに「価値基準記念日」の効果だと思います。

――

なるほど、カルチャーを組織に浸透させていくために、定期的なイベントや記念日など、「特別な1日」を設けることで、リマインドと主体的な行動の変容を促す体感型のきっかけづくりをしているのですね。ちなみに今年の「フリスピ」を開催したことによって、各メンバーの行動や考え方がポジティブに変わったところはありますか。

野本 

先ほど成田からご紹介しましたが、今年は「フリスピ」は「ムーブメント型チームを強化する」というキーワードで開催しました。

「ムーブメント型チーム」をテーマにした理由は、毎年実施している社内アンケートの結果で、「ムーブメント型チーム」の定義自体は理解されているものの、具体的にどのような活動がそれを指すのかという部分では、まだ改善の余地、伸びしろがあるということが分かっていたからなのです。

そこで、成田などの企画チームが考えたのは、あえてムーブメントという言葉を使わずに、「これがムーブメントだ」という体験をすることによって伝えるというイベントをデザインしたのです。先ほどの屋台の話がまさに象徴的で、やりたいという屋台主を募って、面白そうなところに皆で乗ることが、大きなうねりになっていきます。そのうねりが、いろいろなところで繰り広げられます。それがSNS上に広がり、コミュニケーションがどんどん発生していきます。その場にいると、「これがムーブメントなのだ」と感じることを狙った訳です。

事後のアンケート結果では、「ムーブメントを実践している集団である」という回答は、定義の理解レベルに相当するまで、かなり高く伸びました。そこはかなり意識が変容したというか、社員にメッセージが伝わったと思います。

社員と家族をハッピーにしたい、男性の育児休暇取得率も8割に

――

次に、御社はステークホルダーである社員とその家族も大切にしていると伺っています。実際にどのような取り組みをされているのでしょうか。

成田 

freeeでは、組織が拡大する中でも、一人ひとりのメンバーが自らの才能を最大限に発揮できるような環境を整えるために様々な取り組みをしています。

まず、育児休暇制度につては、CEO、CTOをはじめとする経営陣が育休を率先して取得して、役職や性別に関係なく育児休暇が取得しやすい環境づくりをしています。男性を含めて育休の取得率は、今年は8割近く、昨年も一昨年も70%ぐらいでした。男性の育休取得率が話題になることがありますが、freeeでは中央値が30日を確保しています。

SDGs5.ジェンダー平等を実現しよう
SDGs5 ジェンダー平等を実現しよう

次に、家族向けの「つばめっこクラブ」では、ファミリーデーを設けて毎年イベントを開催しています。コロナ禍で開催できていないことが心苦しいのですが、例年は休日に家族がオフィスに来て、オープンスペースで、子どもたちが遊べるような壮大に作り込んだ仕掛けを準備しています。お子さん同士、親御さん同士がつながることができる交流の場にすることでご家族にも会社により愛着を持ってもらえるようにとの想いからです。

もう一つ、秋冬になるとfreeeのパーカーを作っています。希望者には安く購入できる機会を用意して、ご家族、お子さんにも着ていただけます。ユーザーをはじめとした外部のステークホルダーにも購入していただける窓口を作っています。

子どもが生まれるとfreeeのロゴ入りロンパースがもらえます。これは正社員だけでなく、アルバイトの方々でももらえますし、お客さまにもお祝いで贈ることもあります。創業時からファミリーデーもありましたので、freeeのカルチャーとして、社員とその家族も大切にすることは、当たり前のこととして根付いているように思います。

freeeのミッションそのものが持続可能な社会の実現につながっている

――

近年話題になっているSDGsやESGなど、持続可能な社会づくり、企業のサステナビリティへの取り組みについては、御社としてはどのように捉えているのでしょうか。

辻本 

世の中でサステナビリティが話題になっているから何かを変えるということは、弊社の場合は恐らくないでしょう。サステナビリティのためのサステナビリティという発想は弊社のカルチャーとは相容れないものです。「スモールビジネスを、世界の主役に。」というミッションを希求していく過程で、SDGsで言われていることは当然スコープに入ってきますし、もちろん大切にしているのですが、目指しているところ、実現したい理想の社会はさらにその先にあります。「あっ、これがSDGsに該当するんですね」という感覚だと思います。今までもそうですし、これからもそうだと思います。

野本 

freeeの場合、ミッション自体が持続可能な経済成長につながっていますし、私たちの価値基準の中に「社会の進化を担う責任感」というベースマインドがあります。社会課題、世の中の負の側面を克服し、進化させるために私たちがいるということを前提に集まっている仲間たちなので、ミッションの下で価値基準に基づいて活動していくことが、必然的にSDGsにつながっていくと思います。

SDGs8働きがいも経済成長も
SDGs8 働きがいも経済成長も
――

「freeeらしさ」を次世代につなぐための人材採用で大切にしていることは何でしょうか。

辻本 

やはりミッションへの共感を最も大事な採用条件にしています。「freeeは、こういうことを目指して、こういう世界をつくっていきたい」という想いに熱量を高く共感してくれることを大切にしています。

弊社のようなベンチャー企業には、「自分自身が成長できる環境だ」と言って志望してくる方も多いのですが、入り口で最も大事にしていることはミッションへの共感です。

これは新卒でも中途でも、程度は違えど基本的には同じです。採用においても、組織運営においても、常にミッションへの共感が中心にあり、ぶれることなくここまできました。今後も変わらず、ミッションドリブンの会社であり続けたいと思います。

◎プロフィール
辻本祐佳
freee株式会社CCO(Chief Culture Officer)
東京大学法学部を卒業後、楽天株式会社での法務経験を経て2017年8月freee入社。今後のfreeeカルチャーを再定義するプロジェクト参画をきっかけに、2018年7月から人事総務機能を統括、社内のカルチャー浸透・組織での体現に取り組む。

野本篤則
freee株式会社 経営基盤本部 組織基盤部 ムーブメント研究所 マネージャー
国内通信キャリアでシステムエンジニア及び人事(主に人材開発)に携わり、人事戦略コンサルタントへの転職を経て、2020年にfreeeへジョイン。 HR、社内コミュニケーション企画、オフィスマネジメントなど、freeeの掲げる価値基準を軸とした、人・組織・カルチャー醸成に関する業務を幅広く担当。

成田美和
freee株式会社 経営基盤本部 組織基盤部 ムーブメント研究所
アパレルメーカーのエリアマネージャーを経て、2016年5月にfreeeに入社。法人営業を経験後、2018年7月からカルチャー推進の部署に異動。現在は、カルチャー浸透における社内のイベント設計やインターナルコミュニケーションを担当。

◎企業情報
freee株式会社
https://corp.freee.co.jp/
代表者:佐々木大輔(CEO)
所在地:〒141-0031 東京都品川区西五反田2-8-1 五反田ファーストビル 9F
設立:2012年7月
従業員数:572人(※2021年6月末時点、正社員数)
支社:中部支社、関西支社、九州支社

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ライター:

1964年生まれ、群馬県出身。国立群馬高専卒。専攻は水理学と水文学。卒業後、日刊紙『東京タイムズ』をはじめ、各種新聞・雑誌の記者・編集者を務める。その後、映像クリエーターを経て、マルチメディア・コンテンツ制作会社の社長を6年務める。現在は独立し、執筆と映像制作に専念している。執筆は理系の読み物が多い。 研究論文に『景観設計の解析手法』、『遊水モデルによる流出解析手法』、著書に科学哲学啓蒙書『科学盲信警報発令中!』(日本橋出版)、SFコメディー法廷小説『科学の黒幕』(新風舎文庫、筆名・大森浩太郎)などがある。

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