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環境省、二国間クレジット制度(JCM)設備補助事業の公募開始 脱炭素技術の国際展開を本格支援

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環境省、二国間クレジット制度(JCM)の公募開始

環境省4月4日、令和7年度「二国間クレジット制度資金支援事業のうち設備補助事業(JCM設備補助事業)」の公募を開始すると発表した。公募は、同月7日から公益財団法人地球環境センター(GEC)を通じて実施される予定で、日本企業などを代表事業者とする国際コンソーシアムが対象となる。

本事業は、パートナー国において温室効果ガス(GHG)削減に資する脱炭素設備の導入を支援し、初期投資費用の一部を補助することで、排出削減効果の可視化とクレジット化を図るもの。発行されたJCMクレジットは、日本の排出削減目標(NDC)の達成にも活用される。

審査は応募締切ごとに3回に分けて行われ、第一次締切は5月16日、第二次は7月25日、最終は9月30日。交付内示額が予定額に達した場合、早期に締め切られる可能性もある。

 

二国間クレジット制度(JCM)とは

JCM(Joint Crediting Mechanism)は、日本と開発途上国等のパートナー国が共同で温室効果ガス削減に取り組み、そこで生まれた削減・吸収効果を両国の貢献度に応じて分け合う制度。2013年にモンゴルと初めて合意して以降、これまでにアジアやアフリカ、中南米など29か国と制度を構築。日本企業の脱炭素技術を展開しつつ、パートナー国の持続可能な開発にも貢献している。

JCMは、民間企業の参画を通じて経済活性化にも寄与し、環境・経済の両立を目指す戦略的な枠組みとして注目されている。官民連携で2030年度までに累積1億トン、2040年度までには2億トンのGHG排出削減・吸収を目標に掲げている。

これまでの実績と事業展開

環境省が開示した資料によれば、2025年3月31日時点でJCM設備補助事業を中心とした採択件数は29か国で合計258件に上り、うち241件が設備補助案件となっている​。タイ(51件)、インドネシア(54件)、ベトナム(48件)など東南アジア諸国に集中しており、太陽光発電や高効率ボイラ、省エネ空調機器といった技術が多く活用されている。

このうち207件が既に運転を開始し、83件はJCMプロジェクトとして登録済み。たとえば、ケニアでは1.7MW規模の太陽光発電設備が複数導入されており、モルディブでは海洋再生可能エネルギーを活用したスマートマイクログリッドの構築が進んでいる。

 

今後の展望

日本政府は2025年2月に改定された「地球温暖化対策計画」に基づき、グローバルサウスへの技術移転を推進し、定量的な削減効果を自国のNDC達成にも織り込む方針を明確にしている。今回のJCM設備補助事業は、その戦略実行の中核をなすものであり、日本の脱炭素産業が世界で存在感を高める足掛かりともなる。

公募に関する詳細は、4月7日以降にGECの公式サイトで公表される。関心のある事業者には、早期の情報収集と準備が求められる。

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寒天 かんたろう

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ライター歴25年。月刊誌記者を経て独立。伝統的な日本型企業の経営や大学、高校、通信教育分野などの取材経験が豊富。

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