~成長とアウトカムを語る~
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就業・勤怠管理システム「Universal 勤次郎」を手がける勤次郎株式会社(社員数:270名、2025年1月現在)は、企業向けに「健康経営」をサポートするITソリューションを提供しているだけでなく、自社内でも積極的に健康経営を実践している。
その中心にあるのが、若手社員が主体となって企画を打ち出す「元気プロジェクト」だ。
社長の加村光造氏は、社員の心身を健康に保つ取り組みが、最終的に企業の生産性向上やエンゲージメントの強化、ひいては人的資本の向上につながると考え、ここ数年で健康経営の推進を加速させてきた。そこで今回、さまざまな部署から集まった社員の座談会を実施。
元気プロジェクトの成り立ちやイベント内容、そこから得られた成長とアウトカムについて語ってもらった。
「元気プロジェクト」とは
勤次郎株式会社の「元気プロジェクト」は、同社が健康経営優良法人ホワイト500を連続で取得してきた原動力ともいえる社内活動である。社長や管理部が中心となってトップダウンで始めた健康施策だけでは、若い世代を巻き込みきれない――そんな課題感を受けて、若手社員主体で楽しみながら健康意識を高める企画を次々と生み出している。
プロジェクトがスタートしたのは約3年前。従業員の中から有志を募ってチームを編成し、ウォーキングや歩数イベント、朝食配布、季節行事のイベントなど、バラエティに富んだアイデアを実行してきた。
2025年からはコールセンターの野口菜穂氏がリーダーを務め、「さらに全社員が参加しやすい仕掛けを増やしていきたい」と意気込む。
出席メンバー
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- (写真左から)マーケティング戦略本部 マーケティングプロモーション部 安井 千香子(入社6年目、中途入社。)
- 開発本部 第一開発部 部長 大橋 弘和(入社25年目、システム開発歴も同社一筋)
- (Zoom参加)営業マネージャー 川西 諒 (入社5年目、大阪拠点で営業チームを統括)
- (Zoom参加)サービス本部 コンサルティング部 伊東 伸浩(入社16年目、大阪コンサルセンター長)
- コールセンター 野口 菜穂(入社4年目、「元気プロジェクト」2025年リーダー)
- 保健師 小林 敦子(2024年4月入社、看護師・公認心理師資格を持つ)
- 管理本部 管理部 部長 木下 裕美(入社18年目、中途入社。人事・総務・健康経営推進)
- マーケティング戦略本部 石坂 優果(入社3年目)
健康経営を社内で広める意図と「元気プロジェクト」の始まり
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管理部部長 木下さん
「昔から健康診断の徹底やラジオ体操などはしていましたが、若い世代からすると『健康経営』がピンと来ない面もあったんです。そこで数年前に立ち上がったのが“元気プロジェクト”。若いメンバーが主体となって、歩数イベントや朝食の配布、季節のイベントなどを考案しています。トップダウンだけではなく、社員同士が楽しく参加できるようになったことで、社内の健康意識も大きく変わりました」
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コールセンター/元気プロジェクト新リーダー 野口さん
「私が入社して4年目ですが、もともと健康経営と言われても身近なイメージがあまりありませんでした。でも、歩数を競い合うイベントやクリスマスの仮装企画などがあると、自然と会話が増えるし、健康を意識するきっかけにもなります。2025年からリーダーを担当することになり、地方拠点や家族まで巻き込めるような取り組みに挑戦したいと考えています」
イベント内容と成果――「歩数チャレンジ」から朝食配布まで
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開発本部 第一開発部 部長 大橋さん
「開発部では、歩数イベントの集計システムや、スマホアプリ『ヘルス×ライフ』との連携を担っています。ランキングで上位に入ると社内通貨の“健康ポイント”が付与される仕組みもあり、皆さん結構真剣に取り組んでくれる。社員が昼休みに外を歩く姿や、違う部署の人と『どれくらい歩いた?』と盛り上がる光景を見ると、システムを作って良かったと実感します」
コールセンター/元気プロジェクト新リーダー 野口さん
「私の場合、デスクワークがメインなので、イベント期間は自分から積極的に歩こうって思うようになりました。夜や休日にジョギングする人とか、日々の習慣として根づいている人が本当に強くて(笑)。それを見ると『私も負けたくない』と気合が入ります」
管理部部長 木下さん
「歩数イベントのほか、朝食配布も月に1回実施しています。パンやドリンク類を簡単に用意できるようにして、朝食を抜きがちな若手社員にとって、ちょっと健康を意識するきっかけになればと。アンケートを取りながらバリエーションを変えていて、『最近は飲むヨーグルトが嬉しい』など、意外と好評なんです」
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マーケティングプロモーション部 安井さん
「季節の行事も取り入れていて、ハロウィンやクリスマスには社長や管理職が仮装して社内を盛り上げるんですよ。SNSにも載せられるし、企業としてのブランディング面でも効果があると感じています。社内外に健康経営や楽しい職場のイメージを発信しやすくなりました」
イベント参加から生まれたアウトカムが企業価値向上に
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営業マネージャー 川西さん
「営業は外を回るから有利じゃないかと思いきや、上位者は意外と内勤の方々なんです(笑)。ただ、そうやって部署を超えた競争が生まれるのが面白いですよね。実際、歩数チャレンジがあると『もっと歩いてみよう』『ミーティングの後、ちょっと散歩しようか』という気持ちになって、自分自身も体力づくりや健康管理に積極的になりました。
また、お客様との商談で『実は当社も健康経営をやってまして…』と話をすると、『どうやって社員を巻き込んでいるんですか?』と興味を持ってもらえる。そこから製品(Universal 勤次郎)の魅力だけでなく、具体的な運用ノウハウも提案できるようになり、営業としての説得力が増したと感じます」
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コンサルティング部 伊東さん
「私は導入支援のコンサルを担当しているので、クライアント企業様の健康経営施策にも関わることがあります。うちの元気プロジェクトの事例やシステム連携の実体験をお伝えすると、導入後のイメージが具体化しやすいんですよね。
実際『歩数イベントって面白そう』『ポイント制にしよう』と真似してくださる企業も多いですし、社員に自らが取り組んでいるからこそのリアルなアドバイスができるようになりました」
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マーケティング戦略本部 石坂さん
「私は入社4年目ですが、最初は健康経営という言葉自体ピンと来ませんでした。でも、実際に元気プロジェクトに参加してみて、健康面だけでなく、コミュニケーションの機会が増える楽しさを知ったんです。社内の企画をプロモーションに活かすとか、製品のマーケティングにもつなげるとか、働きながら新しいアイデアを発想する力が養われていると感じます」
保健師の視点と社内連携――“道具”だけで終わらせない
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保健師 小林さん
「私の役割は、社員の心身両面を見守りつつ、管理部や産業医と連携して会社全体の健康を支えることです。歩数イベントや健康ポイントはあくまで入り口で、それをどう継続し、数値改善や生活習慣の定着につなげるかが重要になります。システム(Universal 勤次郎)は非常に便利なツールですが、最終的には人が動かすものなので、適切な声掛けや教育、メンタルフォローが不可欠です。
今後は、復職支援やメンタル不調者のフォローをより精度高く行うために、就業データや健康データを統合して管理できるようにしたい。そして社員が“自分の変化”を可視化できるような仕組みを育てたいですね」
管理部部長 木下さん
「健康経営の成果はすぐに出るわけではありません。だからこそ、計画と実行を繰り返し、データで効果を追っていくことが大事です。勤次郎は就業管理や健康管理を自社システムで行っている強みがあるので、そこから得たデータを社員へ開示し、“この取り組みは効果があった”という納得感を醸成したい。ゆくゆくは対外的にも情報発信して、当社のモデルが他社の参考になれば嬉しいです」
広がる健康経営の波及効果――社内外へのメリット
マーケティングプロモーション部 安井さん
「元気プロジェクトや健康経営の取り組みは、企業ブランディングにも大きく貢献しています。社長や管理職が仮装した写真をSNSで発信すると、“社員を大切にしている会社”としてのイメージが広がるんです。採用面でも『健康経営優良法人の認定を受けている会社なら安心』という声が増えていますし、マーケティング担当としてアピール素材が多いのはありがたいですね」
開発本部 第一開発部 部長 大橋さん
「当社が提供している『Universal 勤次郎』に、保健師や産業医の視点、ユーザー企業や自社社員のリアルな声を反映できるのは強みだと思います。
例えばデータ分析機能をもっと充実させたいとか、チャットボットで社員の悩みに答えられるようにしたいとか、日々アイデアが湧いてくる。健康経営が企業の生産性や組織力向上に直結する時代に、私たちの開発力が生かされる余地はまだまだ大きいですね」
健康経営が育む「人づくり」と「企業価値」
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勤次郎株式会社の「元気プロジェクト」は、若手社員が中心となり、楽しみながら健康を意識する仕掛けを次々と創り出してきた。その結果、歩数イベントでは参加率90%超という高い数字を記録し、健康ポイント制度によって運動や健康診断の数値改善にモチベーションが与えられている。
コールセンターや営業、コンサル部門のメンバーは、イベントを通じて社内外のコミュニケーション力が高まり、自らの健康への気づきが増えたと語る。さらには“社員に向けてやっていること”を製品提案の事例として活かせるなど、事業活動との相乗効果も大きい。
管理部や保健師、開発部の連携によって、健康管理と業務システムを融合し、“自社モデル”を磨き上げていることが、勤次郎ならではの強みといえるだろう。
座談会から見えたのは、健康経営が決して一過性の取り組みではなく、社員一人ひとりの成長と企業価値を底上げする大きな要素になりつつあるという事実だ。これから先、少子高齢化が進む日本社会で、企業が持続的に発展するためには、働く人が心身ともに健やかに力を発揮できる場の提供が欠かせない。
勤次郎の若手が生み出す「元気プロジェクト」は、健康経営の本質を体現する成功例として、今後も注目を集めるに違いない。