国連気候変動枠組み条約第29回締約国会議(COP29)が11日、アゼルバイジャンの首都バクーで開幕し、現在も続いている。途上国の気候変動対策を支援する資金問題が大きな争点だ。
現在は年1000億ドル(約15兆円)を目標として先進国が資金を出しているが、COP29では25年以降の目標額を決める。増額を求める途上国と拒みたい先進国の構図が予想される中、欧米はビジネスチャンスを窺いながら増額に応じる可能性もある。気候変動による自然災害の多発を受け、インフラ整備が遅れる途上国では温暖化対策に加え災害対策も急務となっており、更なる資金援助の必要性を訴えているが、どうなるか16日現在の進捗を伝える。
準備交渉では途上国と先進国の間で意見の隔たりが大きく、「途上国は1桁違うと言っている」(環境省幹部)状況だ。歴史的に温室効果ガスを大量排出してきた先進国は大きな責任を負うべきだが、COP29では「誰が、どんな資金を出すのか」が改めて問われている。
日本を含む先進国は、中国やインドなどの経済大国にも資金拠出を求めている。また、民間投資も含めた目標額設定を主張する先進国に対し、途上国は政府資金に限定すべきだと主張しており、議論の行方が注目される。
主要国首脳不在(12日)
12日、途上国の温暖化対策への資金調達が最大の焦点となる中、日本、米国、中国など主要国の首脳が欠席。国連のグテレス事務総長は開幕演説で、気候変動対策資金の必要性を訴え、無償資金の大幅増や革新的な財源の活用を呼びかけた。日本の石破首相は特別国会のため欠席。米国はバイデン大統領ではなく代表団が参加。
CO2排出量世界1位の中国、3位のインド、来年のCOP30議長国ブラジルも首脳は出席を見送った。米国のトランプ次期大統領はパリ協定からの再離脱を示唆し、資金拠出停止の可能性も。途上国側は2025年以降、年1兆ドル以上の無償資金を求めており、資金調達交渉への影響が懸念される。
アルゼンチン代表団が交渉離脱か、米次期大統領の影響懸念(13日)
COP29で、アルゼンチン代表団が交渉離脱の指示を本国から受けたと報じられた。アルゼンチンのミレイ大統領は気候変動に否定的な立場を取り、パリ協定離脱を公約に掲げていた。12日にはトランプ氏と電話協議を行っており、米国の動向が他国にも影響を及ぼす可能性が懸念される。
日本の気候変動対策、国内外から厳しい声(14日)
気候変動に関する独立した科学機関Climate Action Trackerは主要排出7カ国の政策分析を発表し、1.5度目標達成には日本の削減目標が不十分だと指摘。2030年までに69%、2035年までに81%の削減が必要との分析結果を示した。また、日本のGX基本政策は経済成長とエネルギー安全保障を優先し、具体的な排出削減目標が欠如していると批判。
「日本の政策転換と、そのアジアへの影響」に登壇した、Oil Change Internationalも、「日本の化石燃料への公的資金拠出はG7合意に反し、世界の潮流から取り残されている」と指摘した。
エネルギー貯蔵システム容量6倍増へ、日本も賛同 – 化石賞の授与も(15日)
議長国アゼルバイジャンは、世界のエネルギー貯蔵システム容量を2030年までに6倍以上に増やす誓約を発表。日本も賛同した。再生可能エネルギー拡大を後押しする狙いがある。一方、世界の環境NGO団体CANは、COP29の進展を妨害しているとして、日本を含むG7に「化石賞」を授与した。
資金支援目標の未提案や、気候危機への責任転嫁を批判している。会場では若者らによる化石燃料事業への支援停止を求めるデモも行われた。
COP29交渉難航、気候資金目標の草案は難題山積(会期全体)
COP29は会期1週目を終え、交渉は難航している。新たな気候資金目標に関する草案は数十ページにも及び、多くの選択肢と括弧書きが残されたまま。後半戦はどうなるのだろうか。