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COP29開幕、トランプ氏当選で暗雲 温暖化対策の行方は?

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どうなるCOP29?
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気候変動対策の国際的な枠組みであるCOP29が11月11日、アゼルバイジャンで開幕した。途上国支援の資金調達などが主要議題となる中、アメリカ大統領選でドナルド・トランプ前大統領が当選。

同氏が温暖化対策に否定的な姿勢を示していることから、今後の国際協調に暗雲が立ち込めている。バイデン米大統領やEUのフォンデアライエン欧州委員長をはじめとする主要国首脳の欠席も既に報じられており、会議の行方に不安の声も上がっている。

COP29の焦点と、トランプ氏当選がもたらす影響、そして日本への影響について考えてみる。

COP29とは? 重要な議題と争点

COPとは「Conference of the Parties(締約国会議)」の略称で、国連気候変動枠組み条約の加盟国が集まり、地球温暖化対策について議論する国際会議だ。1995年のCOP1以降、毎年開催されており、2015年のCOP21では「パリ協定」(産業革命前からの気温上昇を2℃未満、できれば1.5℃に抑える目標)が採択された。

今回のCOP29の主旨は、途上国の温暖化対策を支援するための資金調達、つまり、現状の先進国による年間1000億ドル拠出という目標値を数千億ドル規模に引き上げることにあると言える。途上国側は更なる資金援助を求めているが、先進国側は難色を示しており、交渉は難航が予想される。

また、パリ協定の1.5℃目標達成に向け、各国の削減目標見直しと強化も重要な議題となる。現状の各国の削減目標では、1.5℃目標の達成は困難とされており、より野心的な目標設定が求められている。特に、世界第5位の温室効果ガス排出国である日本の動向は注目されている。

ロスダメへの対応

温暖化による「損失と損害(ロスダメ)」への対応も主要議題の一つだ。「ロスダメ」として知られる損失と損害(Loss and Damage)は、気候変動の影響が適応可能な範囲を超えて発生する損失や損害を指す。

特に小島嶼開発途上国(SIDS)や後発開発途上国(LDC)といった気候危機の危機をダイレクトに受ける対象国の保護が急務と言われている。該当国の収入減少や資産被害といった経済的損失にとどまらず、人命や健康、生物多様性、文化的アイデンティティ、伝統的知識といった非経済的損失への対応も必要とされている。

ロスダメへの対応には、「ワルシャワ国際メカニズム」や、ロスダメに対応するためのインフラ整備、災害予防策、地域コミュニティの強化などの支援を行うネットワークを担うことでCOP27で決定された技術支援促進機関「サンティアゴ・ネットワーク」を活用し、資金の確保と支援ネットワークの拡充が鍵となる。すでに発生している、あるいは将来予測される温暖化の悪影響に対し、特に脆弱な途上国への支援策が議論される模様だ。資金援助の枠組みや技術支援の具体化などが焦点となる。

トランプ氏当選で脱炭素の流れに逆風

アメリカ大統領選でトランプ氏が当選したことは、世界の温暖化対策にとって大きな逆風となる。トランプ氏は気候変動を「でっち上げ」と主張し、パリ協定からの離脱を表明した過去もある。

2期目の大統領就任直後にパリ協定から再び離脱する計画も報じられており、国際協調の足並みが乱れることが懸念される。途上国への資金支援の大幅な縮小も懸念され、世界全体の排出削減目標の達成にも悪影響が及ぶ恐れがある。アメリカの脱炭素政策の後退は、世界の脱炭素の流れに水を差す可能性がある。

日本への影響と課題

日本は、世界第5位の温室効果ガス排出国であり、温暖化対策への責任は大きい。石炭火力発電の延命にこだわる姿勢は、これまでにもNGOから批判を受けてきた。COP29では、石炭火力発電の廃止や再生可能エネルギー導入目標の引き上げなど、具体的な行動計画を示すことが求められる。一方で、日本の現状とエネルギー戦略を考えると、かじ取りの難しさも見えてくる。

石炭火力発電、日本はなぜ活用継続? 安定供給と経済性重視、高効率技術でCO2削減目指す

世界的な脱炭素の流れの中で、日本は石炭火力発電の活用を継続する方針を続けてきた。資源エネルギー庁はHPでその理由として、エネルギー安全保障の観点からの安定供給と経済性の高さを挙げている。もちろん、CO2排出量の多さという環境面への課題も認識しており、高効率技術の開発などで排出削減を目指すとしている。実際に、石炭は他の化石燃料に比べて、埋蔵量が多く地理的に広く分布しているため、安定供給が見込める。そのため、価格も原油やLNGと比べて安定的で、発電コストを抑えられるという利点がある。

日本では再生可能エネルギーの導入が進んでいない現状において、石炭火力はベースロード電源としての役割を担っていることは否定できない。2014年に策定されたエネルギー基本計画でも、石炭は「地政学的リスクが化石燃料の中で最も低く、熱量あたりの単価も最も安い」と評価されている。

石炭火力発電におけるCO2排出量の多さは大きな課題だが、資源エネルギー庁は技術開発によって排出削減に取り組んでいると説明してきた。日本の石炭火力発電は世界最高水準の発電効率を誇り、燃料消費量を抑えることでCO2排出量も削減していることも伝えられる。

具体例として、横浜市の磯子石炭火力発電所では、「クリーンコール技術」によって大気汚染物質の排出を大幅に削減。2002年の建て替え前に比べて窒素酸化物は92%、硫黄酸化物は83%、粒子状物質は90%削減されたことも開示されている。

資源エネルギー庁は、今後も技術開発を進め、さらなる効率化とCO2削減を目指すとしている。国際的な脱炭素の流れと国内のエネルギー事情のバランスを取りながら、石炭火力発電の活用と環境負荷低減の両立を図る方針だ。

トランプ当選で変わるシナリオ

トランプ氏当選は、日本企業にも大きな影響を与えることが予測されている。アメリカの政策変更に対応するため、企業は事業戦略の見直しを迫られる可能性があるだろう。特に、自動車産業やエネルギー産業などは、脱炭素化への投資戦略を再考する必要が出てくる。

日本は、国際協調を重視し、各国との連携を強化しながら、温暖化対策を進めていく必要がある。トランプ政権の動向を注視しつつ、アメリカとの協調も模索していくことが重要となる。

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寒天 かんたろう

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ライター歴25年。月刊誌記者を経て独立。伝統的な日本型企業の経営や大学、高校、通信教育分野などの取材経験が豊富。

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