伝統工芸とコラボも
菱華産業株式会社(東京・中央)は、廃木材をアップサイクルした木質バイオマス成形素材「MIRAIWOOD®︎(ミライウッド)」を開発した。明治や伝統工芸の山中漆器などと連携し、サステナビリティに貢献できる事業として展開していく。
廃木材を有効活用
菱華産業は、製造業から排出される未利用の廃木粉を主原料に、植物由来の生分解性プラスチックを混合したバイオマス成形材料「MIRAIWOOD®︎」を開発した。
MIRAIWOOD®︎は、既存のプラスチック成形設備で生産できることが特徴で、金型射出成形による高精度、薄肉成形の安定量産を実現した。
木材資源を有効活用し、バイオマス材料の調達から生産まで国内で完結することが可能だ。成形後は、全体積の80%以上(比重では51%以上)が木粉で、石油成分を70%以上削減できる。植物由来のバイオマス成分は73.3%以上で、バイオマス70認定も取得している。
野球バットの削り木粉を活用
この素材は、2019年より東京都の公募化型共同研究「地球にやさしい食器づくり(東京都立産業技術研究センター)」に採択され、2年の歳月をかけて開発された。本開発では、株式会社ミズノの野球バットの削り木粉(メープル材、ホワイトアッシュ材)を主原料に、食器にも使用可能な木質のバイオマス成形を実現、プラスチックの射出成形設備で大量生産できる木製品を成功させた。
伝統工芸とコラボ
MIRAIWOOD®︎は、10月16日から22日まで松屋銀座で開催される「めぐる未来、つづく工芸」展で公開される。明治チョコレートのカカオハスク(カカオ豆の皮)と、我戸幹男商店の山中漆器の木粉から作ったサステナブル漆器や、チョコレートを楽しむカフェアイテムのほか、数量限定の高田製作所(高岡銅器)の宝飾品のようなオブジェ、明治CACAO STYLE製品の展示と販売を行う。
樹脂成形以外の企業とも連携
菱華産業は、MIRAIWOOD®︎ブランドとして、木質成形ペレットの自社開発、生産による安定した品質管理、コンパチブル金型の設計〜製作、自社工場・協力工場による射出成形生産までワンストップで環境素材の需要に対応する。
樹脂成形業以外の企業にも参入しやすいよう、材料開発から製品企画、デザイン、CO2削減量の公的エビデンスの獲得、バイオマス認定、環境対応のPR方法など幅広いコンサルティングを行っている。
まずは相談を
開発担当の都地盛幸氏は「バイオマス環境素材は、まだまだ成形と品質確保に多くの課題があります。製品ごとに細かな成形技術の調整が必要です。弊社には永年の自社成形技術の蓄積と、信頼できる自社工場、確かな協力工場との生産ネットワークと大手企業への採用実績があります。 あたらしい環境素材の導入にお困りの方は、まずはご相談ください。多様な成形製品の開発をお手伝いいたします」とコメントしている。
環境素材の需要が高まる中、MIRAIWOOD®︎は様々な分野での活用が期待される。菱華産業は、今後もMIRAIWOOD®︎を通して、循環型社会の実現に貢献していくとのことだ。