深刻化する海洋汚染、漁業ゴミ由来のプラに焦点
海洋プラスチック問題の解決に向け、使用済み漁具のアップサイクルに取り組む株式会社REMARE(三重・鳥羽)と、全国の漁業関係者と連携するフィッシャーマン・ジャパン・グループ(宮城・石巻)は7日、業務提携を発表した。
深刻化する海洋汚染対策として、漁業ゴミ由来のプラスチックを新たな資源として循環させる枠組み作りを急ぐ。
漁具リサイクルの課題、回収ルートとコストが壁に
REMAREは、これまで廃棄されていた漁網やロープなどの漁具を回収し、独自の技術でマテリアルリサイクルによって建材や内装材などの新たな製品に生まれ変わらせている。しかし、回収ルートの確保や、従来のプラスチック製品に比べてコスト高になりがちな点が課題となっていた。
海洋環境保全へ積極投資、漁業者との連携強化
一方、フィッシャーマン・ジャパンは、持続可能な漁業の実現を目指し、後継者不足の解消や販路拡大などに取り組んできた。近年は、海洋環境の保全にも積極的に取り組み、2023年には海洋環境保全に特化した投資ファンド「フィッシャーマンジャパン・ブルーファンド」を設立。REMAREにも出資するなど、海洋プラスチック問題への危機感を強めている。
相互補完で課題解決、漁具由来の新製品も
今回の提携により、REMAREはフィッシャーマン・ジャパンが持つ全国の漁業協同組合とのネットワークを活用し、使用済み漁具の安定的な回収ルートを確保できる。一方、フィッシャーマン・ジャパンは、漁業者にとって大きな負担となっていた漁具の廃棄費用削減をREMAREの事業を通じて実現できる。
両社が共同で開発を進める「GYOG」は、使用済みの漁具を100%利用したリサイクル製品だ。建材や内装材として活用できる板材や、プラスチック製品の原料となるペレットなどの形で製造・販売する。漁具由来の独特の風合いを生かしたデザイン性の高さが評価され、オフィスや商業施設などへの採用も進んでいる。
「漁具の再資源化を加速」
REMAREの間瀬雅介代表取締役は「日本における海洋プラスチック問題において、漁業由来の廃材の存在は見逃せません。フィッシャーマン・ジャパンとの提携により、より広範囲における漁具の再資源化が加速していくと確信しています」とコメント。
また、フィッシャーマン・ジャパン・グループの土合和樹取締役COOは「深刻さを増す海洋汚染は、海に生きる漁業者や私たちにとって見過ごすことのできない問題です。漁業の持続可能性についても本気で考えているREMAREとパートナーシップを組んで取り組んでいけることに、大きな可能性を感じています」と述べた。
国内外への波及効果に期待
今回の提携は、深刻化する海洋プラスチック問題の解決に向けて、漁業関係者自らが主体的に取り組む姿勢を明確に示したものと言える。両社の取り組みは、国内外における海洋環境保全の動きを加速させる可能性を秘めている。