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株式会社カルチャリア

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東京都港区高輪4-10-18 京急第1ビル13F

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従業員幸福度とは?人的資本開示におけるエンゲージメントの高め方|ESG情報開示と従業員幸福度が学べるセミナー兼交流会 開催レポート

サステナブルな取り組み イベント
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2021年のコーポレート・ガバナンス・コードの改訂により、サステナビリティについての取り組みの開示が定められ、2023年には人的資本の情報開示が義務化されました。社内担当者として対応に追われる一方、具体的にどのような政策を打ち出すべきか悩んでいる方も多いでしょう。

今回のセミナーの登壇者である奥山由実子さんは、2,500以上にのぼる企業に社員研修や人材育成のためのプロジェクトを提言し、現在は株式会社カルチャリアの代表取締役として、人的資本をテーマに人財領域における幅広い知見のもと、日本企業の働き方を変えるプロジェクトに奔走されています。

今回のイベントでは、はじめに従業員幸福度について、奥山さんに講演いただきました。

◎セミナー概要

・開催日:2023年6月8日(木)18:00〜20:00
・会場:WhiteKey GINZA(東京都千代田区有楽町1-2-14)
・開催形態:対面およびオンラインのハイブリッド開催
・共催:株式会社カルチャリア
・主催:株式会社Sacco

◎プログラム

1)従業員幸福度について
 (株式会社カルチャリア 代表取締役 奥山様)
2)ESG情報開示とステークホルダーエンゲージメントについて
 (株式会社Sacco 代表取締役 加藤 俊)
3)登壇者対談と質疑応答
4)オフライン参加者同士での交流会

◎講演者プロフィール

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奥山 由実子(おくやま ゆみこ)
株式会社カルチャリア 代表取締役
東京、浅草出身。最大手企業研修専門会社で、企画、営業、マネージメントを担当。1993年同社駐在員としてニューヨークに赴任。同年、米国に人事コンサルティング会社を設立。以来、2500以上にのぼる在米日本企業、日本国内の企業に社員研修や人材育成のためのプロジェクトを提言する。2017年株式会社カルチャリアを設立し、日本企業の働き方を変えるための多種多様なプロジェクトを提供している。

人的資本開示の充実度は4%!「社員教育」が弱い日本

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カルチャリア セミナー資料より

「我が社の理念は、”Are you happy?”に対する回答を”Yes!”に変えることです」

株式会社カルチャリア代表、奥山由実子さんのこの言葉からイベントは開始しました。

奥山さんによると、日本企業の現場教育で「あなたは幸せですか?」と問うと、「はい、幸せです」と答える人はまずいないといいます。

「日本では、『仕事』と『ハッピー』という概念がまず合いません。しかし、社員が幸せな企業は必ず伸びます。だからこそ、『あなたは幸せですか?』と聞かれて、『はい、幸せです!』と答える社員を増やすことが、私たちのミッションなのです」

奥山さんはアメリカで15年間人事コンサルタントとして働いた後に帰国し、株式会社カルチャリアを立ち上げました。現在は「人的資本経営」という概念を日本でも取り入れるべく、企業の研修やコンサルティングを実施しています。

「人的資本経営」とは、経済産業省により「人材を資本と捉えてその価値を最大限引き出すことで、中長期的な企業価値向上に繋げる経営のあり方」と定義されています。世界では人的資本の情報開示の義務化が進み、日本でも2023年3月期決算から、上場企業などを対象に人的資本の情報開示が義務化されました。

「ところが、上場企業1,000社に対して行なったアンケートでは、人的資本開示レポートが充実していると回答した企業は、たったの4%でした。なかでも日本は特に、サクセッションプランが最も弱いんです。

つまり、自分の下にマネージャー候補が3人いますか?CEOなら何年後に自分の代わりの仕事ができる人を探していますか?という問いかけに答えられる人が非常に少ない。なぜなら、日本では新人研修をして以来、社員教育をしないからです。しかし、実は管理職研修こそ重要なんです」

PIVOTが実施した上場企業1000社の統合報告書調査結果より(カルチャリア セミナー資料より)

日本企業では管理職研修が手薄で、そのため部下を育てる上司が成長しないのだと、奥山さんは指摘します。

「日本はパワハラ大国、朝の上司の機嫌で今日の一日が決まる、というのが日本企業の特徴です。しかし、私は『上司の不機嫌は犯罪』だと思っています。毎日最大限気分よく会社に行って、部下のモチベーションを上げる人、これが上司です。しかし日本ではそれができる管理職が育っていません。だからこそ、パワハラ大国になってしまうんです。これが日本企業の実体であれば、どうしたらよいのでしょう。

その答えとして、『人材を資本と捉える』考え方があります」

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カルチャリアのセミナー資料より

「内閣官房が発表した『人的資本可視化指針』では、『ダイバーシティ』が求められています。表層的なダイバーシティには人種、国籍、年齢、性的指向があります。しかし、本当のダイバーシティは目に見えない場所にあるのではないでしょうか。

企業内では、性別や年齢などに対する差別に目を向ける一方、雇用形態や婚姻状態などへの差別は見落としがちです。たとえば、私が企業研修などで『パーパス経営』が大事だとお話しすると、会社の担当者に聞かれるんです。『会社の理念を浸透させる相手に、パートやアルバイトは含まれますか?』と。

もちろんです!実際に接客しているのがパート・アルバイト職員なら、最も顧客に近い職員に理念を教えないということはおかしいでしょう。パーパスやミッションは、全員を巻き込むのが大事なのです」

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奥山さんのセミナーは公聴者を巻き込み、参加者同士の交流も活発に展開されていた。

仕事と人生は切り離せない時代、人生への満足度が低い日本

日本人の幸福度が低く、特に主観的人生への満足度が低いという調査結果もまた、仕事での生産性を下げる原因になっていると、奥山さんは指摘します。

「日本は、世界幸福度ランキング2023年で47位、G7では相変わらず最下位です。ただし、一人あたりのGDP、健康寿命などはトップクラスの成績です。では何が日本人の幸福度を下げているのか。『他人への寛容さ』と、『主観的人生への満足度』です。ここが日本人の弱いところです。

いろんな会社へ行って社員にヒヤリングをすると、ほとんどの従業員は会社に不満を持っているのです。厚生労働省が集計した次のグラフを見れば、日本人の会社に対するエンゲージメントの低さがよくわかるでしょう」

令和2年度厚生労働省「職場のハラスメントに対する実態調査」(株式会社カルチャリア提供)

「何か問題が発生したときに、『何もしなかった』と回答する社員が非常に多いんです。つまり、会社に訴えてもどうせ聞いてもらえない、社員が組織に何も期待していない。だからこそ、仕事に対するエンゲージメントが低くなるのです。

エンゲージメントとは、『働きやすさ』です。有給休暇の取りやすさや給料面の待遇をあげたり、オフィスをきれいにしたりすることで、社員の会社に対するエンゲージメントは上がります。しかし、エンゲージメントは永遠に満足させられるものではありません。待遇をよくしても一瞬で慣れてしまいます。しかし、永遠に給料を上げることはできないでしょう。

会社に対するエンゲージメントをあげるために必要なのは『ウェルビーング』なんです。つまり、『働きがい』です。そして、働きがいは一人一人違います。これを充実させ、自主的に働いてもらうことが大切なんです」

会社に対するエンゲージメントを高めるためには待遇面の改善だけでは十分ではなく、ウェルビーング、つまり、働きがいを高めることが重要であると、奥山さんは語ります。そして、働きがいが高まれば、日本人の幸福度を下げる原因である「主観的人生への満足度」の上昇に繋がるというのです。

「今までは『ワーク・ライフ・バランス』が大事といわれていました。仕事とプライベートをはっきり分け、どちらもバランスをとって充実させようという考え方です。しかし、私は『ワーク・ライフ・インテグレーション』または『ワーク・ライフ・ミックス』が大事だと考えています。

仕事でやりがいを得て働いていなければ、プライベートでも充実した人生が送れません。もう、仕事と人生は切り離せない時代が来ているのです」

人的資本情報開示は「社員の生きがい・やりがいの可視化」から

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人的資本について、参加者も真剣な面持ちでセミナーに参加していました。

仕事とプライベートはもはや切り離せず、仕事を充実させないと人生が充実しないという時代が到来しています。奥山さんは、日本人が会社に対して何も期待しないことが、主体的人生への満足度の低さという結果に繋がっていると考えています。そして、会社に対する期待やモチベーションを高めるには、社員一人一人の生きがいややりがいの可視化が必要なのです。

「以前は、会社は『有形固定資産』が大事と言われていました。つまり、土地、会社、商品など見えるもの、使われるものこそが会社の財産だという考え方です。しかし、現在アメリカでは『無形資産』が大事だといわれています。『無形資産』とは、すなわち人材です。人材への投資が企業価値を決めるといっても過言ではありません。

しかし、日本はまだ『有形固定資産』を大事にしています。新入社員教育をした後は社員を教育せず、最も必要な管理職研修を行なわずにほったらかしにしています。私はこの順番を逆にしたいんです。

社員のやる気を刺激すれば、社員の自主性を刺激することになり、生きがいややりがいに繋がります。組織との繋がりを実感させ、社員に成功体験を積ませてあげることが重要なんです。そのためには、多くのコミュニケーションを取って、社員一人一人が何を求めているのかを知らなければなりません。

今までの人事の仕事は業務工程に合わせた「管理」でした。しかし、これからは個々の強みに着目したジョブ型配置になってくるでしょう。また、社員の気持ちにフォーカスしたマネジメントも大切です。今やることは、社員の生きがいややりがいを可視化して現状を把握することなのです」

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人的資本”可視化”へのステップ(株式会社カルチャリア提供)

「『人的資本の情報開示』は、最初から全てやろうとする必要はありません。まずは現状を把握したうえで、自分の会社はこうやりたいということにフォーカスして、ストーリー立てましょう。そして、できるところから開示していけばいいのです。

社員一人一人のゴール設定で会社は大きく変わります。ぜひ人材資本を可視化して最大化させる、素晴らしい施策を作成してみてください」

奥山さんはこのように締めくくりました。

従業員幸福度を測定する「ハピネスサーベイ」に興味のある方はこちらからお問合せください。

◎企業概要
企業名:株式会社カルチャリア Culturia, Inc.
URL:www.culturia.co.jp
設立年月日:2017年2月
資本金:300万円
事業概要:
①ハピネスサーベイ(従業員幸福度調査)
②人事コンサルティング
③グローバル人事コンサルティング
④ユニカル (企業研修、オンライン研修、YOUTUBEライブ、講演)
⑤パフォーマンスコーチング

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ライター:

フリーライター・リーガルライター。静岡県浜松市在住。 立命館大学法学部卒。2008年から2021年まで13年間パラリーガルとして法律事務所に勤務。破産管財から刑事事件まで、各分野の法律事件に主任として携わる。独立後は主に法律メディアでの執筆やインタビュー取材などを中心に活動中。

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