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高砂電気工業株式会社

細胞培養関連のマイクロポンプ事業展開のパートナー、揺るがない信頼関係で新分野に進出|71歳で起業した技術者集団 株式会社アクアテック

超小型チューブポンプ(アクアテック社製)画像
高砂電気工業さんは、細胞培養関連のマイクロポンプの事業展開に欠かせないパートナー」と語るのは、株式会社アクアテック代表取締役会長 玉川長雄さん。アクアテックは高度な技術力を要する独自のチューブポンプ「Ring Pump(リングポンプ)」を開発・製造・販売する会社です。71歳で起業した玉川会長の出身地・浜松の方言で「やらまいか」(やってやろう)を合言葉に、お客さんからの要望に対して絶対に断らない同社の技術力とチャレンジ精神にほれ込んだ、高砂電気工業株式会社 代表取締役会長 浅井直也さんとのタッグで、海外事業や新分野への進出を図っています。アクアテックにとって高砂電気工業はどのような存在で、何を期待しているのか。アクアテックを代表する社員の皆さまに話を伺いました。 (画像提供:株式会社アクアテック)

ウィンウィンの関係を築き、新分野への進出や海外事業展開を図る

―今回は、御社、株式会社アクアテック様と、高砂電気工業株式会社様のご関係についてお伺いしたいと思います。まずは御社の企業概要をお聞かせいただけますか。

取締役社長 谷口尚司(以下、谷口) 弊社は、独自技術のオリジナルチューブポンプ「Ring Pump(リングポンプ)」を開発・製造・販売する大阪府大東市の会社です。チューブポンプとは、チューブの中の液体を、ローラーを回転させることで連続移動させる原理のポンプのことです。一般的な製品と異なりチューブに負荷がかかりにくい構造ですので、チューブの寿命が約5倍になること、また構造がシンプルなので小型化しやすいというメリットがあります。マイクロポンプと言われる非常に小さなポンプにおいては世界最小クラスです。

RP-SX最小試作品画像

そのため、商品に組み込まれているので外からは見えないのですが、洗浄機、カップコーヒー自動販売機、家庭用浄水器、インクジェット印刷機など、液体を使用する機器には弊社のポンプが非常に多く使われており、大変ありがたく思います。最近は、細胞の培養、再生医療など、大学や企業の研究所で使っていただけるようになっています。

─高砂電気工業株式会社 代表取締役会長 浅井直也様からは、御社との出会いや、その後のビジネス展開について、次のようなメッセージをいただいておりますので、ご紹介します。

高砂電気工業株式会社 代表取締役会長 浅井直也さんから株式会社アクアテック 代表取締役会長 玉川長雄さんへ

  • 浅井会長
  • 玉川会長

指先に乗る大きさの超小型チューブポンプ! 展示会場で初めて御社の製品を見たときのことを今も覚えています。本当にユニークで印象的な製品でした。

超小型チューブポンプ(アクアテック社製)画像

その小ささに驚くとともに、超小型バルブの開発で微小流体制御を模索していた我が社と、何かご一緒できたらいいなという考えがすぐに浮かびました。そんな図々しい私のお願いに、当時社長だった玉川会長は、本当に誠実にご対応いただきました。私の父とほぼ同じ年頃。出身地も同じ浜松で、私は自分の父親と話しているようで、真摯にならざるを得ませんでした。

技術者として製品開発に向き合う姿勢も、僭越ながら父とよく似ていらっしゃいます。新製品の構想を語られる時の玉川社長(現会長)は、90代半ばを迎えても本当に生き生きとしていらっしゃいます。

でも、単なる技術者でもありません。私が玉川会長を本当に尊敬申し上げる理由の一つは、ビジネスに対するご慧眼です。あれはもう10年近く前だったでしょうか。玉川会長から「これから細胞培養分野がきっと伸びると思うけれど、高砂さんは?」と問われ、当時の私は答えにたじろいだ記憶があります。その後、再生医療を中心とした細胞培養市場は、玉川会長の予想通りに成長し、我が社としても新規事業の柱として扱うに至りました。あのことを思い出すたびに私は自分の不明を恥じております。

宇宙向けでもご一緒しましたね。御社製品の素晴らしさは、2009年に当社製品と同時にNASAに採用された実績からも、明らかだと思います。

メーカーである高砂電気が商社のように他社様の製品の販売をさせていただく例は、他にも数社ございますが、アクアテックさんとのお取引が、金額的に最大です。当初から華々しく売上が立ち上がったわけではありませんでしたが、十数年コンスタントに伸び続け、初期の10倍を超えるに至っています。6チャンネルポンプのように、共同開発させていただいた製品もありますね。

6チャンネルポンプ画像

高砂電気工業とアクアテックの共同開発による6チャンネルポンプ

 

アクアテック様は、高砂電気にとって非常に重要な販売提携先であり、かつ最も信頼できるパートナーです。そんな素晴らしい会社とめぐり逢いこれまで関係を築いて来られたことに、心から感謝しております。本当にありがとうございます。

株式会社アクアテック 代表取締役会長 玉川長雄さんから見た高砂電気工業株式会社 代表取締役会長 浅井直也さん

2022.1.6

─高砂電気工業さんと御社は、技術面のみならず、販売面でも連携されるなど、深いご関係があるのですね。

代表取締役会長 玉川長雄(以下、玉川) こんなお言葉をいただいては、恐縮してしまいます。私は単に「これは面白そうだ」と言って取り組んだのに過ぎないのですが、幸運にもその流れがうまくいきまして、それが会社の柱になって大きく動き出しました。

私と浅井会長とは、本当に同じ方向を見ていると信じています。最近ではiPS細胞の研究分野を中心に、新しい方向性を探っている最中です。my iPS(自分の細胞から作ったiPS細胞)を作るという大きな流れもできてきましたので、それに用いるポンプを大学等と協力しながら挑戦しています。これからもいろいろとお願いしたいことがありますので、またお伺いしてお話できればと思っています。

玉川会長写真

株式会社アクアテック代表取締役会長玉川長雄さん

 

谷口 弊社はチューブポンプ分野に特化した製品を開発・製造・販売しているニッチな会社です。海外のお客さんには全て高砂電気工業さんを通じて販売していただいています。高砂電気工業さんがなければ弊社は海外進出できませんでした。そういった面でも高砂電気工業さんには非常にお世話になっています。高砂電気工業さんが持つ大学関係の幅広いネットワークから寄せられる様々な案件の中から、一社のみでは対応し切れない案件を弊社に相談していただいておりますので、ウィンウィンの良い関係になっていると思います。

「揺らがない信頼関係」をベースに細胞培養関連の新分野への事業展開に期待

─高砂電気工業さんとは、NASA、細胞培養、さらには大学などの研究機関から寄せられる様々な分野の先端技術に関する案件でも幅広く連携されているのですね。そもそも御社と高砂電気工業さんはどのような経緯でつながったのでしょうか。

管理部 髙橋尚(以下、高橋) 弊社のポンプが海外で通用するかどうかリサーチするために、2007年に海外の展示会に出展したときのことです。ドイツでバルブやポンプの販売代理店をしているという会社の社長から、「ぜひ代理店にしてほしい。当社のことは高砂電気工業の浅井さんに聞いたら分かるから」と言われたのです。すると、翌日には、フランスの会社の社長もブースに来て、同じように代理店契約を希望し、「高砂電気工業の浅井さんに聞いたら分かる」と言うのです。

そのような出来事があり、それまで高砂電気工業さんとはお取引がありませんでしたので、後日、国内の展示会で浅井会長と初めてお目にかかり、あらためて弊社の玉川と高砂電気工業さんへお伺いして面談させていただけることになったのです。

さきほどの浅井会長からのメッセージにもありましたが、私が傍から見ていても、浅井会長は自分のお父さまのことを思いながら玉川と話しているように感じました。非常に意気投合していることがよく分かりました。そんな偶然なる必然がきっかけで高砂電気工業さんとの取引が始まったのですね。

高砂電気工業さんとは、このトップ同士の最初の出会いから「揺らがない信頼関係」がベースになっています。その上で、国内外の展示会への共同出展、高砂電気工業さんのマーケティング力による海外案件の実例が、年を追うごとに密な関係に発展していったのです。

浅井会長は、当初、弊社のPR-Qという指の先に乗るようなマイクロポンプに興味を持っていただきました。まだ需要が顕在化していない段階でしたので、事業の立ち上げはゆるやかではありましたが、高砂電気工業さんのご尽力により、徐々に売上が伸び、1回の注文が100台というようなこともたびたび出てくるようになりました。その後、アメリカの世界最大のフロアスイーパー(床掃除機器)メーカー向け量産で大きく売上高を伸ばせるようになりました。

谷口さん・パトリックさん・髙橋さん写真

海外の展示会で海外企業から高砂電気工業を紹介されて取引に発展(左:取締役社長 谷口尚司さん、右:髙橋尚さん)

 

─まさに商品開発から販売まで、新聞や進出に関するトータルな事業展開のパートナーとして発展してこられたのですね。あらためて伺いますが、御社にとって高砂電気工業さんとは、どのような存在でしょうか。

玉川 切っても切れない非常に密接な関係です。高砂電気工業さんの事業の方向性は弊社と共通している部分が多く、今後も協力していけば良い成果が出ると思っています。弊社は技術部門のような会社ですので、それをどのように事業展開していくかが課題でした。その課題を克服して、弊社の技術や製品を世界に広げてもらえる高砂電気工業さんは、非常にありがたい存在です。方向性が同じなので、安心していろいろなことをお願いできる関係です。

谷口 高砂電気工業さんは弊社の製品を海外で販売していただいています。お客様の発掘も高砂電気工業さんの力がほぼ100%です。弊社のホームページからも問い合わせが入ってきますが、それを直接高砂電気工業さんに転送し、後のフォローは全てお願いしています。この関係を末永く続けていけるように、こちらからもいろいろな提案をしたいと思います。今後ともよろしくお願いいたします。

─高砂電気工業さんに期待している点は何でしょうか。

玉川 世界的に大きく展開している高砂電気工業さんは、弊社にとっては非常に大きなお客さんであると同時に、一緒に仕事をしたいという強い思いがあります。私どもの仕事は、世間ではあまり知られていないことばかりなので、世界的に事業を展開している高砂電気工業さんの協力は非常にありがたいです。

今後医療分野では、my iPS細胞を製造するという流れをどのように活用していくのかが重要になってきます。例えばコロナウイルスに対して、どのような薬が効くかという検証をするにあたって、その薬が本人に合うかという個体差の検証も重要になってきます。それもmy iPS細胞によって解決されるだろうと思います。このようなiPS細胞を中心としたいろいろな機器や、それを使ってどうしたらいいかということは、医療グループとわれわれのような製造グループが協力し合わなければなりません。

このmy iPSを製造するという流れは世界的なテーマですが、まだ日本だけの領域です。アメリカでもまだそこまで到達していません。弊社でもこの流れにうまく乗ることができないかという期待を持っていますが、技術力だけでは事業展開に限界があります。そのような取り組みをしっかりとサポートしていただけるのは高砂電気工業さんしかございません。これからも高砂電気工業さんに大きな期待を持ちながらお付き合いさせていだければと思いますので、ぜひ今後ともよろしくお願いいたします。

アクアテックRP-TX_855写真

松下幸之助氏のサステナブル経営を体現するSDGsの取り組み

─まさに、玉川会長の出身地・浜松の「やらまいか(やってやろう)精神」で未来を切り開いているのですね。ところで、玉川会長は長年にわたり技術者としてパナソニック(旧・松下電器産業株式会社)の工場長をされた後、71歳で起業されたと伺っています。「企業は社会の公器である」と定義した松下幸之助さんのサステナブルな経営哲学も体現されているようにお見受けします。御社におけるサステナブルな取り組み、SDGsの取り組みについてお聞かせいただけますか?

髙橋 弊社は、会長の玉川がパナソニックの工場長をしていた時代の優秀な部下が集ってできた会社です。かつての職場をリタイヤした方々が、趣味などで人生をエンジョイしながら、これまでのスキルを生かした仕事もできて、しかも社会の役に立つ会社ができたら最高だという思いで起業しています。そういう意味では、弊社の存在自体がサステナブル社会の在り方を体現していると言えると思います。働き方改革が叫ばれる前から、先駆けて働きがいのある会社をつくってきたのです。ですから、2020 年に「新ダイバーシティ経営企業100 選」と「はばたく中小企業・小規模事業者300 社」という2つの経済産業大臣表彰を受けられたのだと思います。

また、2014年1月27日付の『朝日新聞』夕刊の1面トップで、『技あり シニア起業』という見出しで弊社が取り上げられました。その後、NHK、TBS、毎日放送、関西テレビなど、各メディアでも多く取り上げていただきました。

アクアテック社員集合写真

株式会社アクアテックのスタッフ

 

とにかく皆さんが優秀で、設計、生産管理、品質管理など、とにかく教えることが何もありません。普通の会社であれば、新入社員の教育から始まりますが、弊社では教育する必要がありません。仕事の中で自分たちが何をしなければならないか分かりますから、会長が「こういう仕事をしてほしい」とあまり言ったこともありません。そんな会社が世の中を渡っていくことなどできるかと思う人もいるでしょうが、結果的に売上高も上がってきて、高砂電気工業さんというような立派な会社と協力関係を結ぶことができました。

会長の玉川は「運が良過ぎる」と言っています。2021年秋の叙勲受章で旭日単光章を賜るにあたり、「叙勲までいただくことができたが、なぜこんなことになったのか」という言い方をしていますが、会長の人柄によってパナソニック時代の部下をはじめ、多くの人が集ってきたということだと思います。会長がパナソニックにいた頃は、まだ経営の神様と言われる松下幸之助さんも現役で、玉川は直接指導を受けている世代です。

─松下幸之助さんの言葉で、特に印象に残っている言葉はありますか?

玉川 松下幸之助さんは人生の指針とも言える多くの言葉を残してくださいました。その中でも「素直な心になりましょう」という話は、特に技術者としての私の心に深く刻まれています。私にとっては、素直な心とは何だろうということが大きなテーマでした。松下幸之助さん曰く「素直な心とは、寛容にして私心なき心、広く人の教えを受ける心、分を楽しむ心であります。また、静にして動、動にして静の働きのある心、真理に通ずる心」です。この言葉に基づき、素直な心になって人の話を聞いたらいろいろなことが分かる。そのことによって、人にとって、世の中にとって必要な技術を開発できるという感覚を身に付けました。それを今でも守ってやっているつもりです。その結果、現在力を入れているiPS細胞分野に関するポンプの研究にもつながってきています。

─環境配慮についてはいかがですか?

髙橋 SDGsや環境配慮の取り組みと密接な関係があるものに、ISO 14001(環境マネジメントに関する国際的な認証)があります。ISO 14001の序文にも、「持続可能性の環境の柱に寄与する」という一文があるとおりです。弊社では2016年3月18日にISO 9001と同時に、ISO 14001を取得しています。2016年3月27日にBS TBSでも放映されましたが、パナソニックのオーディオ専用ブランド『Technics』の復活に際して、弊社は協力の依頼を受けました。その際、パナソニックはISOを取得していない企業とは取引できないため、取得していた弊社は取引を開始することができました。

ちなみに会長の玉川はSDGsについて、「なんや、当たり前のことやないか」と言っています。弊社が定年退職した人を再雇用してきたことはSDGsの「3. すべての人に健康と福祉を」や「8. 働きがいも経済成長も」に当たります。高砂電気工業さんとの連携で社会に貢献するものを作り出しているという点では「17. パートナーシップで目標を達成しよう」に該当します。われわれは以前からやってきたことではありますが、もっと大きく、地球を救わなければいけないということだと理解しています。

SDGs3「すべての人に健康と福祉を」

SDGs3 すべての人に健康と福祉を

 

SDGs8働きがいも経済成長も

SDGs8 働きがいも経済成長も

 

SDGs17「パートナーシップで目標を達成しよう」

SDGs17 パートナーシップで目標を達成しよう

 

 

企業情報

株式会社アクアテック

https://ringpump-aquatech.co.jp

代表者:代表取締役会長 玉川長雄、取締役社長 谷口尚司

所在地:〒574-0042 大阪府大東市大野2-1-13

TEL:072-806-3210 FAX:072-806-3211

E-mail: info@ringpump-aquatech.co.jp

設立:1997年5月

従業員数:38名

WRITER
サイエンスジャーナリスト
小林 浩
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1964年生まれ、群馬県出身。国立群馬高専卒。専攻は水理学と水文学。卒業後、日刊紙『東京タイムズ』をはじめ、各種新聞・雑誌の記者・編集者を務める。その後、映像クリエーターを経て、マルチメディア・コンテンツ制作会社の社長を6年務める。現在は独立し、執筆と映像制作に専念している。執筆は理系の読み物が多い。 研究論文に『景観設計の解析手法』、『遊水モデルによる流出解析手法』、著書に科学哲学啓蒙書『科学盲信警報発令中!』(日本橋出版)、SFコメディー法廷小説『科学の黒幕』(新風舎文庫、筆名・大森浩太郎)などがある。

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