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株式会社サンユウ

http://www.sannyu.com/

〒134-0083 東京都江戸川区中葛西4-13-14

03-3877-1315

厨房排水をクリーンに!油吸着材には使用済み段ボールを再利用

ステークホルダーVOICE 経営インタビュー
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sannyu Mr.tanaka 3

飲食店はもちろん、食品スーパー、ホテル、食堂付きの学校、オフィスビルまで、業務用厨房を擁する建物に必ず設置されている装置がある。

業務用厨房から出る排水が下水に流れる前に、食品残渣と油脂を阻集し、水質汚染や配管詰まりを防止する「グリーストラップ」という装置だ。

ただ、グリーストラップの扱いに頭を悩ませる事業者も少なくない。

事業者のコスト削減と環境負荷軽減を同時に実現するグリーストラップの補助機器「スカムセーブネット&オイルキャッチシステム」を展開する株式会社サンユウの代表取締役の田中貴之社長に、グリーストラップをめぐる課題と打開策を聞いた。

全国1万8000カ所に導入される「スカムセーブネット&オイルキャッチシステム」

グリーストラップの例 提供:サンユウ

飲食店チェーンや食品スーパーなどの業務用厨房に必ず設置されている「グリーストラップ」という装置をご存知だろうか。

文字通り、グリース(Grease:油脂)をせき止めるトラップの機能を果たす油脂分離阻集装置だ。

厨房から出る排水には一般家庭と比べて大量の食品残渣や油が含まれるため、排水をそのまま流すと下水処理場の処理機能を圧迫し、河川や下流浄化施設の水質汚染や配管詰まりを引き起こす。

このため、業務用厨房にはグリーストラップの設置が義務付けられている(建設省告示第1597号参照)。

そんなグリーストラップの「性能を向上させている」として、サンユウの「スカムセーブネット&オイルキャッチシステム」は、環境省の環境技術実証事業にて性能試験を実施し、その性能について環境省のETV事業のホームページにて公表されている。

業務用厨房を擁する外食チェーン、大規模商業施設、食品スーパー、ホテル、病院、社員食堂、学生食堂など、全国1万8000カ所のグリーストラップに設置されている。

Scum save net & oil catch system
スカムセーブネットを装着したオイルキャッチシステム

「スカムセーブネット&オイルキャッチシステム」が普及したきかっけは、2004年前後、とある大手小売企業に採用されたことだった。

その企業は、大規模商業施設を展開するにあたり、コストも環境負荷も抑えられる除害装置や排水処理装置を模索していた。

メンテナンスフリーの自動清掃機能を打ち出すシステムやバイオ製剤を用いたシステムが競合に並ぶ中、サンユウの「スカムセーブネット&オイルキャッチシステム」が採用された。

sannyu Mr.tanaka 2

理由はずばり、「水質検査の結果、最も水質が良かったから」(田中社長)。

加えて、構造がシンプルであるため、環境負荷を軽減する仕組みが分かりやすく、企業にとっても現場で働く従業員にとってもイメージが訴求しやすい製品だった。

「スカムセーブネット&オイルキャッチシステム」が何たるかは後述するとして、まずはグリーストラップの仕組みと現状を解説しよう。

グリーストラップが孕む構造上の課題とは?

grease trap mechanism
グリーストラップの仕組(提供:サンユウ)

グリーストラップは通常、厨房からの排水が下水へと流れ出るトラップ管に接続された設備で、通常、1つの槽が2枚の仕切り板で3槽に分かれている。

厨房から最初に排水が流入する1槽目には残渣をキャッチするカゴが設置され、微粒な汚泥はカゴの目を抜けて槽の底面に沈殿する。

2槽目は水分と油分を分離させるための槽で、水は仕切りの下部を通って流れ出る一方、油脂は水面に浮上して仕切りでせき止められる。

こうして、3槽目から残渣と油脂が除かれた状態の水が下水へと流れ出る仕組みになっている。
だが、グリーストラップの構造にはいくつかの課題がある。

まず、1槽目のカゴにネットをつけるケースが多く、その場合、目詰まりしやすくなってしまうためオーバーフローして残渣を含んだ排水が2槽目以降に流れ出る問題がある。

次に、2槽目にたまる油脂の処理について。

水面に浮上した油脂は掬い取って産業廃棄物として処理しなくてはならないが、油脂を掬う作業は手間がかかる上、掬い取った油脂に水分が多く含まれていて産廃処理費が嵩んだり、槽内の油脂を掬いきれず滞留したりといった問題が起きる。

Example of a dirty grease trap
汚いグリーストラップの例 提供:サンユウ

結果、グリーストラップの槽内環境が悪化し、「臭くて汚い、誰も開けたがらない状態」となる。放置されがちなグリーストラップの衛生状態はより悪化し、店内の悪臭と害虫の発生源と化してしまう。

洗浄を徹底すれば悪臭や害虫の問題は解決するものの、今度は別の問題が浮上する。

徹底的な洗浄によってグリーストラップを衛生的に保つには、残渣の詰まったカゴや、油脂が付着したグリーストラップそのものを、界面活性剤の入った洗剤と大量の水を使って掃除する。

洗浄にかかる費用は運営費用として不可視化されるが、毎日30~40分の洗浄をしたとして1カ所のグリーストラップにつき年間約30万円もの水道代が費やされているという。

また、グリーストラップの洗浄によって残渣・油脂もろとも下水に流出すると、商業施設内の配管や公共下水道管の詰まりを惹き起こすリスクがある。

最悪の場合、営業停止命令を受けるケースや高額な修繕費を請求されるケースもある。

そもそもグリーストラップ本来の目的は「残渣と油をせき止めて回収し、排水をきれいにすること」であるのに、「グリーストラップそのものをきれいにすること」が目的化してしまっては阻集効率を達成できず、本末転倒だ。

カゴの代わりに「豚一頭が入るほどの伸縮性と強度」を誇るネットを装着

Scum save net by sannyu
スカムセーブネットはストッキングに似た特殊ナイロン素材で作られている

グリーストラップに内在する課題に対して、サンユウの「スカムセーブネット&オイルキャッチシステム」は解決策を提示する。

まず、残渣のオーバーフローの原因となっていたカゴを撤去する。代わりに、厨房とグリーストラップとを繋ぐ排水口にネットホルダーを設置し、「スカムセーブネット」を装着する。

ストッキングに似た特殊ナイロン素材で作られたネットは、「豚一頭が入るほどの伸縮性を誇り、最大約25kgのゴミを貯留できる」(田中社長)。

ネットには6本の細かい糸をまとめて1本の糸に加工した「ウーリーナイロン」という糸を使い、特殊な縫製を施しているため、伝線しにくい。

残渣に含まれる貝類やカニ爪などで穴があくことはあっても伝線して破れることは殆どない。

何より、ネットごと可燃ごみとして廃棄できるので、カゴを清掃する手間もかからなければ、残渣が下水に流れ出ることもない。

2槽目では「オイルキャッチシステム」が活躍する。オイルキャッチシステムは、効率的に水分と油脂を分離し、油脂を回収できるシステムだ。決め手となるのが、高性能の油吸着材。

田中社長の父であり、サンユウの創業者である先代の満氏が、オイルタンカー事故発生時の危機対策グッズとして使われていた米国製の油吸着材に着想を得て、開発した。

oil adsorbent
油の吸着材

「オイルキャッチシステム」に使われる吸着材には、蝋(ロウ)付け段ボールが用いられている。ロウ付けされているために水分が弾かれ、油脂のみが吸着する。

さらに毛細管現象の原理に基づき加工が加えられた吸着材は、高い吸着力を誇る。

しかも原料の段ボールは、港で荷揚げされた野菜がプラケースに詰め替えられた後、用済みとなった段ボールをリサイクルしたものだ。

かつては米国製のロウ付け段ボールを輸入して加工していたが、2010年頃から国内の古紙回収業者を通じてリサイクルするようになった。

誰でも簡単に使えるグリーストラップの「性能を高める」機器

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油吸着材のアップ画像

「スカムセーブネット&オイルキャッチシステム」の効果を客観的に示すエビデンスとして、環境省主導の環境技術実証(ETV)事業の報告書が挙げられる。

ETV事業とは、環境技術の環境保全効果を第三者機関が客観的に実証し、その結果を公式HPで公表することで、環境技術の普及、ひいては環境保全、環境産業の発展に寄与することを目的とする事業だ。

事業に応募した際、田中社長は「メーカーの意向に反するデータが出ても公表する」と釘を刺されたという。

しかし「スカムセーブネット&オイルキャッチシステム」は、厳格な検証を見事クリアし、「グリーストラップ自体の性能を高める特徴がある」というお墨付きを得た。

具体的には、学生食堂(食数130食~140食/日、営業時間10時~14時、流入水量約2㎥/日)を対象に検証したところ、水質を図る重要な指標であるn-Hex(ノルマルヘキサン抽出物質含有量)除去率91.8%という高い結果が出た。

また、食洗器が稼働する前後の時間帯を定点観測して比較したところ、排水に含まれる残渣・油脂の値は一定して低い値を示していた。

すなわち、「スカムセーブネット&オイルキャッチシステム」を備えたグリーストラップが食洗器から流れ出る残渣と油脂をほとんどせき止め、下水には綺麗な水が排水されていたというわけだ。

Grease trap water quality survey
導入企業での水質検査の結果 (提供:サンユウ)

阻集効果もさることながら、事業者にとってコストを削減できるメリットも大きい。

あるSMチェーンでは、「スカムセーブネット&オイルキャッチシステム」を導入したことで、3作業所で年間94万円の水道・下水道費の削減を達成したという。

導入時の初期費用約5万円、消耗品のネット及び吸着剤の購入費用の月平均5,000円(ただし事業の業態や交換頻度によって異なる)を加味しても、十分なコストカットといえるだろう。

企業イメージの向上も期待できそうだ。

「誰でも簡単に掃除できるから、悪臭や害虫も予防できるし、店内環境や労働環境が改善される。水の節約、水質改善はもちろんのこと、吸着剤の原料は廃棄されるはずだった段ボールなのだから、環境負荷軽減にも貢献できる」(田中社長)。

「困った」を「良かった」に変えていく

先代は、株式会社荏原製作所から独立して1993年にサンユウを立ち上げた。「スカムセーブネット&オイルキャッチシステム」の開発に着手したのは1999年。

きかっけは、バイオ製剤でグリーストラップの性能を高めるシステムの販売代理店としてのビジネス展開を検討していたときのことだった。

ヒアリングを重ねる中で、ある飲食チェーンの店主の話を聞いた。

店主が切り盛りする店舗のグリーストラップには、バイオ製剤を用いたシステムが導入されていたが、店主はその維持・清掃に頭を悩ませていた。

油を多く使う業態だったこともあり、グリーストラップの汚れが激しく、「誰も掃除したがらない」状態。バイオ製剤で太刀打ちできるような代物ではなかった。

困り果てた店主を前に、「この原始的なシステムに代わる方法はないだろうか」と知恵を絞った先代に閃いた方法が、排水口の入り口にネットを装着するアイデアだった。

粗削りの初期製品だったが、店主は「ネットを付けて本当に良かった!皆困っているだろうから、絶対に他の店も欲しがるよ」と太鼓判を押してくれた。

「これは確実に、世のため人のためになる製品だ」と確信した先代は開発を本格化させ、現在の「スカムセーブネット&オイルキャッチシステム」を生み出した。

「困った」を「良かった」に変えたい。そんな先代の想いから生まれたシステムは、国内で廃棄される段ボールをリサイクルするなど、より良い製品へと進化してきた。

現在は、「スカムセーブネット」にもリサイクル素材を活用する道を模索している。「ペットボトルをリサイクルした素材を使いたい。同時に、より目詰まりを軽減できないか機能面の改良も加えたい」(田中社長)。

先代の画期的なアイデアから生まれた「スカムセーブネット&オイルキャッチシステム」は、今後も作業効率とコスト削減を両立したい企業の需要に応え、環境負荷を軽減する隠れた貢献者として活躍することだろう。

sannyu Mr.tanaka

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ライター:

1985年生まれ。米国の大学で政治哲学を学び、帰国後大学院で法律を学ぶ。裁判所勤務を経て酒類担当記者に転身。酒蔵や醸造機器メーカーの現場取材、トップインタビューの機会に恵まれる。老舗企業の取り組みや地域貢献、製造業における女性活躍の現状について知り、気候危機、ジェンダー、地方の活力創出といった分野への関心を深める。企業の「想い」と人の「語り」の発信が、よりよい社会の推進力になると信じて、執筆を続けている。

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