株式会社FMCは、IT×デザインで企業の経営課題や社会問題の解決を目指す会社。ウェブ構築とメディア運用をメインに、クリエイターを支援する事業として音楽事業やアパレル事業など幅広い領域での事業を手がけています。代表取締役の安東裕二さんは、ウェブコンサルティングのプロフェッショナルであるとともに、一般社団法人公益資本主義推進協議会(PICC)に深くコミットし、経営者の視点から自社だけではなく、社会を見据えた活動に取り組んでいます。若手経営者として期待される安東さんに事業の展望とステークホルダーへの想いを伺いました。
IT×デザインで企業のイメージを正しく、魅力的に伝えるプロフェッショナル
―まずは、御社の事業の概要についてお聞かせください。
弊社の事業は、ウェブサイトの構築とメディア運用サービスをメインに、音楽事業やアパレル事業も手がけております。売上の中心は企業やECサイトなどホームページ(以下、HP)の制作や運用サポートです。
会社案内やロゴマーク、名刺など企業の「人となり」を伝えるツールはさまざまですが、取引先に初めて会う時や学生が就職活動をする時などはまずウェブで検索し、企業サイトを見ることが多いものです。現代ではHPが企業イメージを形成する大きな役割を果たしています。
HPに書いてある言葉ひとつ、デザインひとつでその会社のイメージが作られますから、HPで自社の強みや魅力を十二分に表現できればブランディングに効果的です。逆に言うとHPがおざなりだとマイナスのイメージを与えてしまいます。弊社ではそのような考えのもと、ウェブを用いて、企業やそのサービスの在り方、魅せ方からブランディングさせてください、と提案しています。
企業がいい商品やいいサービスを持っていても、きちんと魅力が伝わっていなければ埋もれてしまい、非常にもったいない。HP制作を通じて会社の在り方を整えていくのが弊社のサービスです。
また、HPは外部に対してだけではなく、社内にとっても大きな意味を持ちます。経営者がビジョンを持って事業を行い、それが社員に伝わっているのなら、アウトプットとしてHPにも現れます。そうなっていないのであれば、社内でも自社の強みが共有されておらず、社員のモチベーションや一体感も欠けていると推測できます。つまり、HPを作ることによって会社の在り方を変えることができるんです。弊社ではHP作りを通して会社を見直し、さらにはHPをもとに集客するお手伝いを行っていきます。
何のために作り、どう活用するか。先を見据えた提案で差別化
―HPの制作だけではなく、コンサルティングも含むサービスを展開されているわけですね。
HPは納品して完了するのではなく、むしろそこからがスタートなんですね。運用を代行することで、一貫したコンサルティングを行うことができ、それが弊社の強みとなっています。HPの活用ではKPIの設定や、SEOや広告の提案・実施を行いますし、ウェブにとどまらないデザイン力が弊社の根幹ですから、パンフレットなどの印刷物の制作も行い、トータルで企業をブランディングさせていただくことができます。そのようなお客様とは長くお付き合いし、弊社が並走する形で支援しています。
ウェブメディアに関しては、HPの延長線上にある重要なアウトプットと捉え、専門のライターを配置したコンテンツ制作も含めた運用のお手伝いを行います。
現状では、制作のみを依頼されるお客様も多いのですが、HPを活用したブランディングの重要性を伝えていくことも弊社の使命だと考えています。
また、弊社の音楽事業でアーティストのマネージメントを行っていること、アパレル事業でアパレルブランドのプロデュースや、ECサイトを利用して自社ブランドを販売していることも、ブランディングの一環であり、今後伸ばしていきたい領域です。
―HP制作では競合が多いと思います。その中において御社の強みを教えてください。
HPの制作のみの依頼であっても、その後の運用や活用もご提案することで、後々お客様のお役に立てる価値ある情報が提供できることです。ウェブ担当や広報担当が配置されていない会社はまだまだ多くございますので、弊社がHP開設後の運用や活用においても深くコミットすることで高いパフォーマンスを発揮することができることをお伝えしています。
制作にあたっては、徹底的なヒアリングを行うのが弊社の特長です。デザインの見本を見ていただくだけでもイメージの疎通は可能なのですが、やはりお客様の本質的な課題解決をしていくためにはしっかりヒアリングに時間をとり、事業の特長などをじっくり聞き出していくことで、企業の強みや特長を表現したHPの制作が可能になります。
こうしたヒアリングの重要性は実は広く理解されているわけではありませんので、HP制作について実態調査をしたことがあります。不満要因でいちばん多かったのが「想定以上に費用がかかった」こと、次いで「設計が不十分」であったこと、そして三番目が「ヒアリングが不十分」であった、という結果でした。費用が想定よりかかった、あるいは設計が不十分というのは、ヒアリング不足に起因するところが大きいため、本質的な問題解決を図る弊社のアプローチの正しさが明らかになるとともに、今後、より多くの企業さんに、HP制作と運用にかかる費用対効果を最適化するための正しい企業HPの制作の仕方についてお伝えしていければと思います。
PICCで教えられた企業理念やビジョンの大切さで、事業の方向性を固める
―安東社長は、企業を社会の公器と考える経営者が集まる一般社団法人公益資本主義推進協議会(PICC)の会員として、積極的に活動していらっしゃいます。PICCの活動は会社経営にどのように活かしていらっしゃいますか。
私が前職時代から懇意にしていただき、弊社のお客様である大塚実業株式会社の大塚雅之社長にお誘いいただきました。PICCの勉強会に参加したのは会社を設立して3カ月目の頃です。勉強会で社会の公器である企業にとって理念がいかに大切かを教わったことで、理念づくりに取り組み、会社を経営する目的や方向性を固めることができたのは、本当に大きかったです。
ITとデザインという観点からプロフェッショナルな仕事を提供するのが弊社ですが、それによって何を実現していくのか、どのように世の中の役に立てるのか。役員とディスカッションし、突き詰めて考えて作り上げた理念が「世の中をシンプルに、もっとわかりやすく。」です。
今は便利なITツールが増えていているのですが、そのことにより「何を選んでいいのかわからない」という人も増えています。身近なもので言えば電子マネー。選択肢が多いことが逆にわかりにくくなっています。そういう時代にあって、弊社がデザインやITを活用することで日常の中の難解なことをわかりやすく、シンプルにする。結果的に世の中の役に立つことを追求していく。弊社の存在意義がぎゅっと詰まった理念ができあがり、複数の事業に共通する軸を立てることもできました。
そして、会社の在り方や方向性を3年後、10年後とビジョンを持って考えるようになったのもPICCがきっかけです。会社を始めたのなら長く続く会社にしないと意味がないという、企業の社会的存在意義も腹に落ち、事業の成長や採用についても計画性を持って取り組むことができるようになりました。
理念と中長期のビジョンを策定後、新卒採用に挑戦。いきなり250人以上の応募が!
―3年後、10年後先のビジョンに向けてどのようなことを取り組まれているのでしょうか。
最近取り組んだ代表的なことと言えば新卒社員の採用ですね。昨年、初めて新卒採用をしたのですが、設立4年目で社員数も10人未満。順調に成長しているとはいえ、勇気のいることでしたし、応募してくれる人はどれくらいいるだろう、という不安もありました。フタを開けてみると250人以上もの学生が応募してくれ、志望の理由を聞くと、多くの人が「HPで理念やビジョンを読み、共感した」と言ってくれました。若い人に受けを良くするために狙って書いたのではなく、真剣に会社について考え、紡いだ言葉だから響いたのだと思います。結果として優秀な人材を5人も採用してしまいました。採用は小さな会社にとって挑戦ですが、社員が増えたことで成長エンジンも加速し、私も代表として一層腹を据えて会社の経営に向き合っています。
―最後にこれからの展望について伺わせてください
今、AIやDXなど社会の利便性を飛躍的に向上させるツールが増えてきている中、ITやデザインはツールのひとつでしかなくなってきています。弊社もウェブを扱う企業として、これまで以上に「なぜ作るのか」「作ることで何をどのように支援することができるのか」という問いを突きつけられています。企業や人が何に価値を感じ、それに対してどのような価値を提供していけるのか。これまで以上に掘り下げて考え、感度も高め、お客様により貢献できる企業になっていきたいと思います。
FMCのステークホルダーとの向き合い方
A5さんはある交流会をきっかけにお付き合いが始まったクリエイティブ会社で、企業ブランディングなどを手がけるという点では弊社の大先輩的な存在です。Zoomを介した30分程度のやりとりでしたが、初対面とは思えないほど盛り上がり、林社長が「経営は大変だよね」と歩み寄ってくださり、経営者の先輩として的確なアドバイスをくださったことがとてもありがたく、うれしかったですね。
とくに印象に残っているのは、「組織をどのように拡大されたのですか?」との質問に「まず組織図を作ることです。人材がいる・いないは度外視し、経営者―マネージャー、その下にデザイナーやエンジニア、一方で総務や経営企画などのバックオフィスを作り、その組織図に人をあてはめていくようにチーム作りをするとうまくいきますよ」と非常に具体的なアドバイスをしてくださったことです。その通りに実行して弊社も絶賛奮闘中です(笑)。林社長とは、楽しくやりがいのあるお仕事を今後ご一緒させていただけたらうれしいです。
株式会社Cheerは就職サイトの運営会社で、弊社の新卒採用の力になっていただきました。社長の平塚さんは、以前知り合いの会社を介してご紹介いただいたのですが、その会社の若手スタッフが皆すばらしいので、どちらの採用支援会社を利用されているのかを尋ねたところ平塚さんにつながりました。
お会いしてすぐに平塚さんの手腕とお人柄を信頼してしまい、弊社の新卒採用を依頼したところ本当に多くの応募が集まり優秀な人材を採用することができました。
Cheerさんはサービス自体もそうですが、ホスピタリティ力が他の同業他社と比べて抜群にいいと感じました。また、働く方たちもすばらしく、これから間違いなく伸びていく会社だと勝手ながら感じております。CheerさんにはHR業界で新しい採用モデルを生み出していくこともできるのではないかと思います。今後もベンチャー企業を活性化する取り組みを一緒にやっていけたらうれしいですね。
弊社に成長速度をあげるきっかけをつくってくださったことで、Cheerさんの良さを実体験として理解していますので、知人の企業に自信を持ってご紹介させてもらっています(笑)。
弊社のコンサルタントをつとめていただいている株式会社アイサイトテクノロジーの横張さんには、昨年PICCのセミナーを通じて知り合いました。コロナ禍が本格的になる中、国の支援事業の全容が見えず、中小企業にとって不安な状況が続きました。そのような時に、補助事業や助成事業など公的な支援制度に詳しい横張さんがセミナーを開いてくださり、私もご相談させていただいて以来のお付き合いです。
横張さんは、「こうやったら会社が伸びますよ」という手段としての選択肢を広げてくださる方で、とてもやさしいお人柄であるともに、頼りになるプロフェッショナルです。横張さんの存在が弊社にとって未来の選択肢を広げてくださっています。弊社はまだまだ発展途上中の企業ですから、ひとつひとつの選択、決断が重要なフェーズです。これからも頼りになるアドバイスをいただけますよう、お願いします。
AI・DXなどテクノロジーの進歩で、社会の利便性は飛躍的に向上しています。これから、さらに多くの仕事が自動化され、人間がしなくてよいこと、人間がすべきことの境界線も常に変化し続けていきます。一方で、こうしたテクノロジーを「なぜ導入するのか」「どのように使うか」という人間の価値観、クリエイティビティの重要性はますます重要になっていくと思います。その意味を理解し、先導していく企業がこれからの時代のスタンダードになっていくと思います。
このような時代の大きな潮流の中で、株式会社FMCは、社員一人ひとりが、自分がやりたいことと、会社がやりたいことをマッチングさせて、個の可能性を最大限に試すことができるフィールドでありたいと考えています。
そのフィールドで、自ら機会を創造し、思う存分、自分の可能性を試して欲しい。そのためには、もちろんしっかりと数字を上げ、社会に承認されることが前提ですが、社員一人ひとりが自分の事業を立ち上げるくらいの勢いで取り組んで欲しいと思っています。
さらに言えば、社員が新たな事業を生み出し、自分のエンジンで成長していくプロセスを会社が支援する、そのような「インキュベートの仕組み」が、私が理想とする会社の姿です。
世の中にこういう会社が増えていけば、個の自己実現と企業の成長が相乗効果をもたらし、社会も良い方向に発展していくはずです。社会が変革していくには時間がかかるとは思いますが、弊社がそのひとつの事例となり、未来世代に新しい価値観と、社会を手渡す一助になりたいと思っています。
◎プロフィール
安東 裕二
株式会社FMC代表取締役
20代からWebディレクター/デザイナーとして活動。2005年アプリ制作会社の創業メンバーとしてディレクター経験を経て、英国法⼈Walf株式会社のクリエイティブ事業部に所属。Webコンサルティング、音楽EC事業に携わった後、教育系サービスを展開しているスタートアップ企業内にて⾃⾝のクリエイティブチームを結成。数々のWebサイト構築、マーケティングを経験し、2018年より株式会社FMCを設⽴。
◎企業概要
株式会社FMC
https://fmc-inc.jp/
設立:2018年1月
〒151-0051
東京都渋谷区千駄ヶ谷1-3-19 ロワレール千駄ヶ谷3F
TEL:03-6205-6683
FMCでは、「世の中をシンプルに、もっとわかりやすく。」という理念を掲げ、日常の中にある難解なことをITとデザインを活用し、シンプルにわかりやすくすることで世の中の役に立つことを追求しています。
Webサイト制作、マーケティング、メディア運営、アパレル、音楽事業と幅広い領域でトータルブランディングを強みとしております。