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株式会社MILITARYWORKS

https://www.militaryworks.jp/

東京都中央区銀座1丁目22-11 銀座大竹ビジデンス2階

元自衛官が挑む、セカンドキャリア支援と社会課題解決

ステークホルダーVOICE 経営インタビュー
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~EV車主軸運送会社を起点に、農業、飲食…多角的に事業展開~

株式会社MILITARYWORKS 木村 裕一さん

深刻化する人手不足の解決策として、企業は多様な人材の活用に舵を切りつつある。中でも注目を集めているのが、規律正しく、体力や責任感に優れた元自衛隊員だ。

しかし、彼らは特殊な環境下で培ったスキルや経験を活かせる職場が少ないという現実も抱えている。

そこで、元自衛隊員である木村裕一氏は、彼らのセカンドキャリア支援と社会課題解決の両立を目指し、ミリタリーワークスを創業。100%電気自動車による運送事業を軸に、清掃業や飲食業、農業など、 多角的な事業展開で注目を集めている。

社会課題としての自衛隊員のセカンドキャリア問題

少子高齢化が進む日本では、自衛隊も人材確保に苦戦しており、若年層の退職者が後を絶たない。防衛省の資料によると、年間に退職する自衛官は約8800人に上る。彼らは職務に対する責任感や体力、精神力は非常に高い一方で、民間企業で求められるスキルや経験が不足している場合が多い。そのため、希望する職種に就けず、転職を繰り返したり、社会とのギャップに苦しんだりするケースも少なくない。

元自衛隊員が抱える問題は、再就職の難しさだけではない。自衛隊という閉鎖的な環境から、全く異なる価値観や文化を持つ民間企業への適応は容易ではない。規律や上下関係、コミュニケーションの取り方など、戸惑いを感じる場面も多い。中には、精神的なストレスから体調を崩してしまうケースもあるという。

さらに、自衛隊の組織文化に慣れ親しんでしまうと、民間企業で求められるような、自発的に考え、行動する力や、周囲と協力して物事を進めるコミュニケーション能力が育ちにくいという側面もある。木村氏は、自衛隊員がセカンドキャリアでつまずかないよう、こうしたギャップを埋めるためのトレーニングにも力を入れているという。

株式会社MILITARYWORKS 木村裕一さん

「彼らは指示されたことは正確にこなしますが、自分で考えて行動する、あるいは周囲を巻き込みながら仕事を進めるという経験が不足しています。社会に出ると、臨機応変に対応する柔軟性やコミュニケーション能力が求められます。彼らがスムーズに社会に適応できるよう、個々の状況に合わせて、必要なスキルを身につけてもらえるようサポートしています」(木村さん)。

ミリタリーワークス設立の背景

木村氏自身も、元自衛官として空挺団などに20年以上勤務した後、セカンドキャリアに悩んだ経験を持つ。体力的にまだまだ働けるにも関わらず、定年後のキャリアプランが見えず、将来への不安を感じていたという。周囲の隊員も同じような悩みを抱えており、中には精神的に追い詰められてしまう者もいた。

「このままではいけない。自衛隊員が安心してセカンドキャリアを歩める社会を、自分たちの手で作りたい」

そんな強い思いから、木村氏は起業を決意する。自衛隊員時代に培った「誰かを助けたい」という精神、そして持ち前の行動力で、ゼロから事業を立ち上げた。

EV車主軸の運送事業にかける想い

木村氏が最初に立ち上げたのは、電気自動車による運送事業だ。環境問題への意識の高まりを受け、物流業界でもCO2排出量削減が求められている中、EVトラックの導入は急務となっている。

実際にアマゾンなどの大手企業は、排気ガスをまき散らす配送トラックをクリーンなEVトラックに置き換えようとしている。しかし、車両価格の高さや充電インフラの不足など、多くの課題も山積しているのが現状だ。

「自衛隊員は、運転技術が高く、責任感も強い。EVトラックの運転にも十分対応できるはずだ」

そう考えた木村氏は、いち早くEVトラックを導入し、環境に配慮した運送事業をスタートさせた。さらに、自衛隊員ならではの規律正しさや時間厳守の精神を活かし、顧客満足度の向上にも力を入れている。

現在、ミリタリーワークスでは、木村氏の指導のもと、約20名の元自衛隊員がEV運送ドライバーとして西東京、千葉、福岡といった地域で活躍している。

農業、飲食…新規事業展開への思い

運送事業を軌道に乗せた木村氏は、さらに事業領域を拡大。耕作放棄地の増加や後継者不足が深刻化する農業分野にも進出した。自然の中で体を動かすことは、心身の健康にもつながり、自衛隊員が持つ体力や責任感を活かせる仕事としても最適だと考えたのだ。

さらに、自衛隊員が経営する飲食店なども展開。美味しい料理を提供するだけでなく、地域住民の交流の場としても機能させたいという。「自衛隊員は、地域の人々から信頼され、愛される存在。彼らが地域社会で活躍することで、地域活性化にも貢献できると信じている」と木村氏は語る。

木村氏に聞く、ミリタリーワークスの展望

株式会社MILITARYWORKS 木村裕一さん

―自衛隊を辞めて起業しようと思ったきっかけは?

自衛隊には20年以上勤務し、充実した日々を送っていましたが、40代に差し掛かった頃から、セカンドキャリアについて考えるようになりました。体力的にまだまだ働けるものの、定年後のキャリアプランが見えず、漠然とした不安を感じていたんです。

そんな時、周りの隊員も同じように悩んでいることに気づきました。中には、将来が見えず不安を抱え、精神的に追い詰められてしまう者もいました。そこで、「自分たちのような元自衛隊員が、安心してセカンドキャリアを歩める社会を、自分たちの手で作りたい」という強い思いから、起業を決意しました。

―数あるビジネスの中で、なぜEV運送事業を選んだのですか?

環境問題への意識の高まりから、物流業界でもCO2排出量削減が急務となっています。その中で、EVトラックの導入は、運送業界の未来にとって不可欠だと感じました。

もちろん、車両価格の高さや充電インフラの不足など、課題は山積みです。しかし、自衛隊員は運転技術が高く、責任感も強い。彼らなら、EVトラックの運転にも十分対応できると確信していました。環境問題への貢献と、自衛隊員のセカンドキャリア支援。その両方を同時に実現できるEV運送事業は、まさに私たちにぴったりのビジネスモデルだと感じました。

―事業を立ち上げる上で苦労した点は?

やはり、資金調達には苦労しました。銀行など金融機関からの融資は難航し、自己資金だけでスタートせざるを得ない状況でした。

また、EVトラックの導入や充電インフラの整備にも、多額の費用がかかりました。さらに、元自衛隊員を採用する際も、給与水準を高く設定することが難しく、待遇面で苦労しました。

しかし、そんな中でも、私たちの事業に共感し、応援してくれる人たちがたくさん現れました。彼らの支えがあったからこそ、ここまで事業を継続できたと思っています。

―今後の展望、ビジョンについて教えてください。

株式会社MILITARYWORKS 木村裕一さん

EV運送事業を軸に、農業や飲食など、事業領域をさらに拡大していきたいと考えています。私たちの最終目標は、「自衛隊員が、それぞれの個性や能力を活かせる、多様な働き方を実現すること」です。

そのためにも、今後も社会課題を解決できる新しいビジネスモデルを創造し、自衛隊員にとって魅力的な職場環境を提供していきます。そして、自衛隊員がセカンドキャリアで活躍することで、日本社会全体に貢献できるような、そんな企業を目指していきたいです。

―自衛隊員時代に培った経験は、今の事業にどのように活きていますか?

自衛隊員時代には、厳しい訓練や任務を通して、忍耐力、責任感、チームワークの大切さを学びました。これらの経験は、現在の事業を経営する上でも、非常に役立っています。

特に、困難な状況に直面した時でも、決して諦めずに、前向きに乗り越えようとする力は、自衛隊員時代に培われたものだと感じています。

―読者へのメッセージをお願いします。

株式会社MILITARYWORKS 木村裕一さん

自衛隊員は、日本を守るという重要な役割を担っています。彼らは、厳しい訓練や任務に耐え抜き、私たちの国を守ってくれているのです。

しかし、彼らは決して特別な存在ではありません。私たちと同じように、家族や夢を持ち、将来に対して不安を抱えています。自衛隊員が安心してセカンドキャリアを歩める社会を実現するためには、私たち一人ひとりの理解と協力が必要です。

ぜひ、彼らのセカンドキャリアについて、一緒に考えてみませんか?

株式会社MILITARYWORKS 木村裕一さん

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ライター:

株式会社Sacco 代表取締役。一般社団法人100年経営研究機構参与。一般社団法人SHOEHORN理事。週刊誌・月刊誌のライターを経て2015年Saccoを起業。社会的養護の自立を応援するヒーロー『くつべらマン』の2代目。 連載: 日経MJ『老舗リブランディング』、週刊エコノミスト 『SDGs最前線』、日本経済新聞電子版『長寿企業の研究』

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