『ろ過布フィルターの診断ドクターとして世界と未来に貢献』という記事でお話を伺った大塚実業株式会社代表取締役社長の大塚雅之さんが、「経営者として必要な見聞を広げられる団体」として紹介したのが、認定特定非営利活動法人(認定NPO法人)テラ・ルネッサンスです。
同NPOは、「すべての生命が安心して生活できる社会(世界平和)の実現」を目的に地雷・小型武器・子ども兵・平和教育に取り組んでおり、その真摯な取り組みはさまざまな業界から高く評価され、支援を行う法人サポーターは約200社に及んでいます。大塚実業株式会社もテラ・ルネッサンスの法人サポーターとして、両社は社会貢献活動を通して関係を育んできました。
今回の記事では、テラ・ルネッサンスの創設者・理事の鬼丸昌也さんから見た大塚実業株式会社についてお話を伺いました。
かけがえのない社会変革のパートナー、大塚実業株式会社
——テラ・ルネッサンスについて教えてください。
テラ・ルネッサンスは、「すべての生命が安心して生活できる社会(世界平和)の実現」を目指す認定NPO法人です。具体的には、地雷の被害者や元子ども兵など、紛争で被害を受けた方の自立支援や、そうした問題が起こらない社会をつくるための啓発活動や政策提言などに注力しています。
——大塚実業株式会社の大塚雅之さんが、テラ・ルネッサンスさんとの関係について以下のようにコメントしているのでご紹介させていただきます。
「当社は、認定NPO法人テラ・ルネッサンスさんに寄付で支援をしている立場ですが、関わらせていただくことによって、世界の課題や現地の人の考え方、社会貢献の大切さなどを教えていただくことが多いですね。当社は日本やカンボジアで孤児院を訪ねて炊き出しをしていますが、テラ・ルネッサンスさんには、世界では私たちが知らないさまざまなことが起きていることを学ばせていただいています。テラ・ルネッサンスさんと関わらせていただくことで経営者としての見聞が大きく広がりました。創設者の鬼丸さんには色々とお世話になっています。当社をお誘いいただきありがとうございます。これからも私たちのことをよろしくお願いいたします」(大塚実業株式会社 代表取締役社長 大塚雅之)
非常にありがたい言葉で、嬉しいです。ありがとうございます。私たちこそ大塚実業株式会社さんに講演会や勉強会を主催していただくなど、かけがえのない社会変革のパートナーです。
——大塚実業株式会社さんとの出会いの経緯について教えていただけますか?
2015年か2016年に私が登壇した経営者向けの講演会に大塚さんが参加してくださったのがきっかけだったと思います。当時の私は、世界で起こっているさまざまな社会課題に興味・関心を持っていただくための講演に力を入れていました。
というのも、2001年にテラ・ルネッサンスを設立した当初から、社会課題に対して自分は何ができるのか?という問いは私にとって非常に重要だったのです。私は英語を話せないし、お金もないし、地雷除去の技術だって持っていません。そんな私ができることは、大学4年生のときに初めてカンボジアの地雷原を見て感じた衝撃をはじめとした経験や知識などを、目の前の相手に必死に伝えることだけでした。
そうした活動を地道に続けた結果、最初は学校関係で行っていた講演を企業や団体で行う機会が増えました。その一環で開催した講演会に大塚さんが参加してくださっていて、ありがたいことに私の話に感動していただいたということでお付き合いが始まったんです。
その後、内村鑑三氏の『代表的日本人』という本を教材とした5回シリーズのリーダーシップに関する勉強会にも大塚さんが参加してくださり、徐々に関係性が深まっていきました。大塚実業株式会社さんの社内研修や講演にも呼んでいただいております。
——現在は、大塚実業株式会社さんは法人サポーターとしてテラ・ルネッサンスさんの活動を支援しているのですよね?
はい、法人サポーターは毎月5,000円をご寄付いただく制度です。ちなみに一定区域に30社以上集まると後援会組織をつくることが可能となります。「首都圏でも、後援会組織をつくろう!」という気運が大塚さんたちを中心に高まり、実際に2020年に設立し、大塚さんには役員を引き受けていただきました。現在はオンラインで定例会を行い、私が今までご縁をいただいた企業の実例を紹介しながら、どうやってこのコロナ禍に伴う変化を乗り越えていくかといった「経営」や「リーダーシップ」をキーワードにセミナーを開催させていただきました。大塚さんに役員になっていただいたことで、さらに関係性が深まったと感じています。
ボトムアップとトップダウンを縦糸と横糸のように織り成す最強組織へ
——大塚実業株式会社さんはテラ・ルネッサンスさんにとってどのような存在なのでしょうか?
先ほども申し上げましたが、かけがえのない社会変革のパートナーです。また、私は大塚さんを主に次の3点の理由で尊敬しています。
第1は、大塚さんのつくった事業の社会貢献性の高さです。大塚実業株式会社さんの主要事業は、「ろ過布」という排水処理をはじめとしたさまざまな分野に活用される布製のフィルターの製造です。事業ドメインそのものがきれいな水を多くの人に届けるという社会課題の解決につながっており、社会をより良くするためには必要不可欠な産業であるという点は、私たちが逆立ちしても敵わないところです。
第2は、大塚さんの社会性志向です。大塚さんは、自社の利益や成長だけではなく、社会貢献や環境をより良くするという視点で経営を行っています。「遠きをはかる者は富み、近くをはかる者は貧す」という言葉がありますが、大塚さんはまさに「遠きをはかる」ことのできる稀有な経営者だと思います。
第3は、上記と関係しますが、大塚さんが未来型の経営者である点です。今後ますます変化が激しくなると考えられる現代社会では、過去の前提や成功事例は通用しなくなっていくと思います。今後の経営者は、自ら考え、確固とした信念とミッションを持って道を切り拓いていかなければ生き残ることができません。大塚さんはそんな未来型の経営者だと思います。
以上のように大塚さんは私が非常に尊敬する経営者であり、大塚さんが率いる会社として大塚実業株式会社さんを尊敬しています。
——では、大塚実業株式会社さんにより良くなってほしいことはありますか?
そうですね。非常に僭越ですが強いて申し上げるとすれば、今後ボトムアップ型の組織に移行していくために、社員の方々のさらなる自主性と主体性をどう導いていくのか、まさにチャレンジされているところだと伺っています。
社会変化が激しい昨今のような時代においては、ボトムアップとトップダウンを縦糸と横糸のように織り成していく組織が強いと思います。何故なら、トップが変化を決めたときにはすでに別の変化が現場で起きていることが多々あるからです。
問題にスピーディに対処するには、現場に権限と責任を下ろすことと、トップと一体的な判断ができるだけの見識や視座を現場に備えさせるという2点が必要です。相当難易度は高いと思いますが、実現できればかなり機動性の高い組織になり、荒波に絶対に流されることはないと思います。
大塚実業株式会社さんであれば実現可能だと思いますので、ぜひ成し遂げて他社のお手本となってほしいですね。
<プロフィール>
鬼丸昌也
認定特定非営利活動法テラ・ルネッサンス理事・創設者。1979年、福岡県生まれ。立命館大学法学部卒。高校在学中にアリヤラトネ博士(サルボダヤ運動創始者/スリランカ)と出逢い、『すべての人に未来をつくりだす能力がある』と教えられる。2001年、初めてカンボジアを訪れ、地雷被害の現状を知り、「すべての活動はまず『伝える』ことから」と講演活動を開始。同年10月、大学在学中に「すべての生命が安心して生活できる社会の実現」を目指す「テラ・ルネッサンス」設立。
<団体情報>
特定非営利活動法人テラ・ルネッサンス
https://www.terra-r.jp/about_message.html
〒600-8191 京都府京都市下京区五条高倉角堺町21番地jimukinoueda bldg. 403号室
設立:2001年10月31日(法人格取得2005年5月26日)
2014年 5月30日 認定NPO法人となる
代表者:小川真吾