
東京都新宿区高田馬場で11日、ライブ配信を行っていた20代の女性が男に刺され死亡した事件について、新たな情報が明らかになった。捜査関係者によると、事件は単なる投げ銭トラブルではなく、被害者と加害者の間で長期間にわたる金銭の貸し借りが背景にあった可能性が浮上している。
事件の概要
事件は、動画配信アプリ「ふわっち」で活動する配信者・最上あい(22)が配信中に男に襲われたものだった。当初、犯行動機として「投げ銭をしたのにブロックされたことへの逆恨み」とする説が拡散していたが、加害者の知人と名乗る人物やインフルエンサーなどによって、実際には被害者が長期間にわたって加害者から借金をしていたらしいことが広まりつつある。貸付金額は総額251万円に及び、貸金等返還請求事件にまで発展していたとされる。
加害者の状況
加害者の知人と自称する人物はSNS上で、「投げ銭の問題ではないことを知ってほしい」とした上で、「加害者はもともと経済的に厳しい状況だったが、被害者に金を貸し続け、最終的に返済が行われなかった」と述べている。また、加害者は統合失調症を患い、ヘルプマークを所持していたとの情報もある。
被害者の婚約者名乗る油井さんが声明を発表
事件発生後、最上あいさんの婚約者を名乗る油井(ゆい)さんがXで11日夜に声明を発表した。油井氏は自身のアカウント(@mogami1024yui)で、「最上あいは私と一緒に住んでおり、婚約者でした」と述べた上で、「捜査に関するご連絡は何でもいいのでご連絡下さい」「現在、警察の捜査が進んでおりますので、憶測などの誤った情報の拡散はお控え頂けますと幸いです」と呼びかけている。

さらに、最上あいさんとの写真を公開し、情報提供を求める姿勢を示した。これに対し、SNS上では「婚約者がいたとは知らなかった」「事件の背景がさらに複雑になった」といった声が上がっている。
配信者と視聴者の関係――投げ銭文化の裏に潜む危険
配信者と視聴者の関係は単なる娯楽の提供と消費ではなく、金銭のやり取りを伴うことで特異な依存関係を生むことがある。視聴者は応援の意味を込めて投げ銭を行うが、その範囲がエスカレートし、配信者と個人的な関係を築こうとするケースも多い。中には、配信者が視聴者からの金銭支援を当然のように受け取る構図が生まれ、視聴者側が経済的に困窮する事例も後を絶たない。
今回の事件では、加害者が被害者に対し「投げ銭」ではなく「貸付」として金銭を渡していたことが明らかになっている。この背景には、配信者が視聴者に対して「特別な関係」を築くように見せかけ、支援を引き出す手法があった可能性も指摘されている。
過去の類似事件――金銭トラブルが生む惨劇
今回の事件に限らず、金銭トラブルが背景となった殺人事件は過去にも複数発生している。特に、配信者やキャバクラ嬢など、視聴者や顧客からの経済的支援を受ける立場の人物が関わる事件は後を絶たない。
過去には、高額なプレゼントを要求し続けた女性に対し、支払い能力を超えた男性が激昂し殺害に至ったケースがある。また、ホストクラブに多額の支払いをした女性が、破産した末にホストとトラブルになり、暴力事件に発展した例も報告されている。
SNSを中心とした情報社会では、配信者やインフルエンサーがファンを巻き込む形で金銭をやり取りする場面が増えている。今回の事件も、そうした構造がもたらした悲劇の一つといえる。
事件当日の男女トラブルの目撃情報
事件当日の現場では、被害者が配信中に男に襲われた後、黒いキャップとジャンパーを着た男が血まみれの被害者のそばで無言で佇んでいたとの目撃証言がある。SNSでは犯人と噂される人物が最上さんの配信中のスマホをのぞき込む様子も拡散されている。
現場近くのコンビニ店員は、「警察が多数駆けつけ、一帯が騒然となっていた」と驚きを隠せない様子だった。
SNS上の反応
SNS上では事件に関する議論が活発に交わされ、「金銭トラブルがあったとしても殺人は許されない」「お金の貸し借りは慎重にすべき」などの意見が見られる一方、「被害者に落ち度があったのではないか」とする投稿も見られる。
しかし、事件の詳細については引き続き警察の捜査が進められており、今後の公式な発表が待たれる。