バンダイは12日、4月から報酬制度を改定し、61歳以上の定年再雇用社員の年収を従来比で平均58%引き上げると発表した。人材の定着と組織の活力向上を図る狙いがある。また、新卒社員の初任給も引き上げ、採用競争力を強化する。
定年後も安心!大幅な給与引き上げ
バンダイによると、今回の改定では、2024年度に定年を迎えた再雇用社員23人を対象に、給与水準を大幅に見直す。これまでの制度では、定年後に給与が大きく下がるケースが多く、モチベーションの低下が課題とされていた。今回の措置により、社員によっては定年前とほぼ同等の収入を得られるようになる。
企業にとって、経験豊富なシニア社員の確保は重要な課題となっている。日本全体で労働人口が減少する中、即戦力となる人材を維持する動きが加速している。バンダイも「貴重な経験と知見を持つシニア人材を活用し、組織の活性化につなげたい」としており、今後も待遇改善を進める可能性がある。
初任給30万円超え!新卒にとって魅力的な環境に
シニア社員だけでなく、若手人材の獲得にも力を入れる。4月入社の新卒社員の初任給は、従来の29万円から30万5000円へと引き上げられる。初任給の増額は3年ぶりの実施となる。
背景には、物価上昇や採用競争の激化がある。特に、IT業界や製薬業界、コンサルティング業界など成長が著しい業界では高待遇の新卒採用が相次いでおり、バンダイも市場環境を踏まえた対応を取ったとみられる。バンダイは玩具・エンターテインメント業界の特性を活かし、他業界に対抗できる魅力的な給与体系を構築しようとしている。今後も新卒採用市場の競争がさらに激化する可能性がある。
倍率急上昇必至!バンダイ新卒採用の狭き門
バンダイの新卒採用は例年50~60名程度に対し、リクナビ2025のデータではプレエントリー数が約2万名を超えている。ただし、プレエントリーと実際の応募者数は異なり、倍率には変動の余地がある。新卒初任給の引き上げによってバンダイの魅力がさらに高まり、応募者が増えることが予想される。企業間の待遇競争が一層激化する中、バンダイを志望する学生は、より綿密な準備と戦略的な就職活動が求められるだろう。
人件費の増加は企業にとっての課題か?
給与水準の向上は、社員の働きがいや企業の競争力強化につながる一方で、コスト増加という課題もある。特にシニア社員の年収引き上げは、人件費の圧迫要因となる可能性があるため、長期的な財務戦略が求められる。
また、シニア社員の待遇改善が進む一方で、若手社員との給与バランスをどう保つかも課題となる。企業全体の給与体系の見直しが求められる中、今後の動向が注目される。
バンダイの決断にSNSで賛否!影響の広がりは?
SNSでは、「定年後も働きやすくなるのは良いこと」「バンダイの施策に他企業も続くべき」といった肯定的な意見がある一方で、「若手社員の待遇改善も同時に進めるべき」「人件費の増加が経営にどう影響するのか」といった慎重な声も見られる。
また、「シニア層の待遇改善は歓迎するが、若手社員の昇給スピードも考慮してほしい」といったバランスを求める意見もある。バンダイの決定が他企業にも波及するかどうか、引き続き関心が集まりそうだ。
日本企業の雇用戦略にも影響を与えるか?
バンダイの今回の決定は、今後の日本企業の雇用戦略にも影響を与える可能性がある。定年後の待遇改善が進むことで、他の企業にも同様の動きが波及するか注目される。特に労働力不足が深刻化する中で、企業がどのように人材確保とモチベーション維持を両立させるかが焦点となる。
今後は、シニア層のみならず、若手や中堅層を含めた全世代の働き方を見据えた総合的な人事戦略が求められるだろう。企業にとっては、単なる賃金アップだけでなく、働き方改革やキャリアパスの多様化も重要な要素となりそうだ。