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フジ社長「ちょっと残念」 30周年カウコンはネトフリ世界配信、中継を失った局の限界

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STARTO カウコン Netflix
Netflix 公式サイトより
9月25日、フジテレビの清水賢治社長が会見でカウコンのNetflix独占について「私個人としてはちょっと残念」と語った。
30周年公演は世界190以上の国と地域で生配信される。
同じ年にWBC本戦も地上波から消えた。
残念がる局と、席を失った視聴者の話は、同じではない。
 

フジ社長「個人的には残念」

カウコンは1996年、阪神・淡路大震災の復興支援から始まった。
1998年以降は東京ドーム開催が続き、2014年を除き2022年までフジテレビが生中継してきた。
紅白が終わるとチャンネルを合わせる。その手順が、長く年末の習慣だった。
2023年と2024年は事務所再編で中止。
2025年末に3年ぶり復活したが、中継はファンクラブサイトの有料配信に移り、Netflixは約1週間遅れで出した。
地上波が消えたのは今年が初めてではない。

今年の題はCOUNTDOWN CONCERT 2026-2027 STARTO to WORLD。
出演者は後日発表。12月に事前番組、2027年1月下旬に舞台裏番組も独占配信される。
Netflix側にとっても、日本発ライブの世界同時配信は初めてだ。
主催者から見れば、1局の年末特番より、190の国で同時に売れる商品の方が合理的である。
清水社長は「カウントダウンコンサートはフジテレビで放送していたので、配信の形となり、私個人としてはちょっと残念。メディアが色々出てくる競争の段階では致し方ないこと」と述べた。

 

ファンの温度差

海外在住ファンは、日本の会場と同じ瞬間に年越しできる点を歓迎している。
30周年で世界に出す、という建前は分かりやすい。
昨年のファンクラブ配信はアクセスが集中し、映像が止まる苦情がXに並んだ。
その記憶がある人ほど、今回の画質とアーカイブを評価する。
舞台裏番組も、地上波の短い中継枠にはなかった利点だ。

一方、未加入世帯には月額料金が壁になる。テレビなら家族が同じ画面を見られた。
録画できない点を不便とする声と、配信がある限り繰り返し見られるとする声が分かれる。
社長の「残念」には「去年も中継していないのに、今さら何か」との声が集まった。
局の個人的な寂しさより、無料で並んで見られた時間の方が、視聴者には重い。
世界に届くことと、同じ部屋で届くことは、別の価値である。

 

WBCも消えた 国民的スポーツが有料配信

2026年3月のWBC本戦は、日本国内の映像がNetflix独占となった。
侍ジャパン戦も地上波・BS・CSでは流れず、無料で追えるのはニッポン放送などのラジオが中心だった。
2023年大会はテレビ朝日とTBSが中継し、決勝は世帯視聴率40パーセント超を記録した。
今大会の国内放映権料は約150億円とされ、前回の推定約30億円から約5倍になった。
主催者は読売新聞を介さず配信大手と直接契約した。日テレは権利ではなく映像制作の協力に回った。
高齢者から地方紙へ「テレビで見られないのか」と問い合わせが相次ぎ、文科大臣は主催者へ配慮を求めた。
国民的行事の権利が、世界入札の商品になった。

フジ社長の残念も、同じ地図の上にある。
祭りの主催者ではなく、席を買い損ねた客の感想である。
カウコンは年末のアイドルライブ、WBCは春の野球代表戦。中身は違う売られ方は似ている。

 

地上波から先に奪われるもの、まだ残るもの

先に移るのは、海外主催で権利料が世界入札になる大会、1試合の商品価値が高い興行、コアファンを会員に変えやすいリーグやライブだ。
Jリーグや欧州サッカーの本編はDAZNなどが主戦場になり、井上尚弥級のボクシングはPPVが増えた。
サッカーW杯2026はDAZNが全試合、NHKと民放は日本戦や開幕・決勝など一部を地上波で残す。
MLBも配信各社に分散し、地上波だけでは追えなくなった。
箱根駅伝と紅白はまだ正月の共用財産として残る。
五輪も2032年大会までは地上波が比較的守られる見通しだ。

配信大手が箱根駅伝の将来権を検討している報道もあるが、直近で消える公算は小さい。
消える順番は視聴率の低さではない。いくらで売れるかで決まる。
残念と言う前に、その値段を払えるかが問われる。
フジがF1の国内権利を取りにいったように、勝てる案件もある。
ただし勝ち筋は、かつての「全部を無料で流す局」ではない。

 

地上波はオワコンか 終わったのではなく一番高い席を失った

地上波は死んではいない。
ニュース、地域情報、日常のバラエティは、今も広い世帯に届く。
失ったのは、一番高く売れる席だ。広告収入が落ち、世界企業と権利料を競り合えない。
若い層は同じ時刻に同じチャンネルを開かなくなった。
主催者から見れば、1局に安く売るより世界配信に出す方が合理的になる。
清水社長の「致し方ない」は正しい。
ただ「ちょっと残念」は、取れなかった権利を視聴者への共感にすり替える言葉にも聞こえる。
個人的な感想を会見で置くのは自由だが、視聴者が欲しいのは局の寂しさではない。

誰が、いくらの席を、誰の画面から外したのか、その説明である。
カウコンもWBCも、無料の共有が先に売られた。
オワコンかどうかより、払えない人が同じ興奮から外れるかどうかを、テレビはまだ問われている。
見たい人が金を払う仕組みは進み、その先で同じ部屋のテレビが何を残せるかが、地上波の本番になる。

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ライター:

千葉県生まれ。青果卸売の現場で働いたのち、フリーライターへ。 野菜や果物のようにみずみずしい旬な話題を届けたいと思っています。 料理と漫画・アニメが大好きです。

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