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上坂すみれ氏への脅迫メールで事務所ボイスキットが警察に被害申告 「原神」予告番組の炎上が飛び火か

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上坂すみれ氏に脅迫
画像:上坂すみれ氏 X

人気声優・上坂すみれ氏をめぐり、穏やかならぬ事態が起きている。所属事務所の株式会社ボイスキットが、危害をほのめかす脅迫メールが複数届いたとして、警察へ相談・被害申告を行ったと公表したのだ。

SNSでは、直前に炎上していたゲーム「原神」の予告番組との関連を指摘する声が飛び交い、憶測と怒り、そして不安が入り混じっている。批判と犯罪を分ける一線は、どこにあるのか。

 

事務所ボイスキットが公表した「脅迫メール」の内容と警察対応

事の発端は、2026年9月14日にボイスキットが公式サイトで発表した一通の声明である。同社の発表によると、所属する上坂すみれ氏に対し、「危害を加える旨の予告を含む、極めて悪質な脅迫メール」が会社宛に複数送りつけられる事案が発生したという。

同社は本件を深刻に受け止め、タレントの安全を最優先に所轄の警察署へ相談と被害申告を行い、すでに捜査を依頼していると説明した。あわせて、脅迫や加害予告、誹謗中傷といった違法行為に対しては、今後も警察や関係各所と連携し、法的措置を含めて厳正に対処する構えを示している。

上坂氏本人の公式アカウントもこの声明へのリンクを投稿し、「皆様ご一読ください」と静かに呼びかけた。投稿は二百万回を超えて閲覧され、ファンの間で急速に共有されている。ただし、同社は脅迫の動機や差出人について一切明らかにしていない。この点は、その後に広がった憶測を読み解くうえで見落とせない。

 

ファンの不満が噴出した「原神」Ver.7.1予告番組の炎上

多くのファンが今回の脅迫と結びつけているのが、9月12日に配信された「原神」Ver.7.1の予告番組である。HoYoverseが手がけるこの人気ゲームでは、番組の進行を伊藤かな恵氏、上坂すみれ氏、古賀葵氏の三人の声優が担った。

ところが放送後、SNSには不満が噴出した。アップデート情報を伝える場面でも出演者が終始おどけ、独自のキャラクターを演じ続けたことで、「説明するときはふざけないでほしい」「肝心の情報が入ってこない」と受け止められたのだ。上坂氏は「原神」で新たな5つ星キャラクター「オデット」の声を担当し、注目を集めていた矢先だっただけに、落胆は小さくなかった。

X上では「周年なのに残念」「テンポが悪くて聞きづらい」といった声が並んだ。もっとも、こうした批判の多くは番組の構成そのものへ向けられたものであり、出演者個人を標的にしたものではなかった。

 

過熱する「原神プレイヤー犯人説」と当事者の不在

問題は、番組への不満が、脅迫という別次元の事件と地続きで語られ始めたことにある。声明が広まると、X上には「間違いなくあの予告番組のせいだ」「原神案件だろう」と、番組に激怒した視聴者による犯行だと決めつける投稿が相次いだ。

だが、前述の通りボイスキットは動機も差出人も公表していない。にもかかわらず「原神プレイヤーの仕業だ」という見立てだけが独り歩きし、特定の趣味を持つ人々全体へと疑いの目が向けられていった。これに対しては、当のファン層から「これで原神プレイヤーがまとめて言われるのは悲しい」「自分はプレイしていない」という戸惑いの声も上がっている。

一方で、上坂氏を擁護する声も根強い。「あの演出は運営がOKを出したもので、彼女に責任はない」「指示通りに対応しただけではないか」という指摘だ。番組の是非と、一人の声優個人への攻撃は切り分けて考えるべきだという、冷静な視点である。

 

「不快だった」は脅迫の理由にならない

今回の騒動に救いがあるとすれば、脅迫という行為そのものを明確に否定する声が、立場を超えて数多く上がっていることだろう。

「番組が気に入らないなら見なければいい」「不快だったからといって、脅迫を送る理由にはならない」。X上で繰り返されるこうした言葉は、至極まっとうである。コンテンツへの批判や失望は、視聴者に許された正当な表現だ。しかし、それが人の生命や身体に危害を加えると告げる段階に踏み込んだ瞬間、話はまったく別のものになる。それはもはや意見でも抗議でもなく、法が裁くべき犯罪だ。

「確かに不快な思いをした人はいるだろう。だが、だからといってこれはあまりにやりすぎだ」。ある投稿がこぼしたこの一言は、多くの人の本音を代弁している。どれほど演出に不満があろうと、越えてはならない一線がある。その当たり前の事実を、あらためて突きつけられた格好である。

 

炎上が現実の危険に転じる前に問われる声優と視聴者の距離

声優は、作品を彩り、ファンに夢を届ける存在である。その一方で、SNSの普及によって、演者と視聴者の距離はかつてないほど近づいた。近さは応援の熱量を生むと同時に、失望が容易に攻撃へと転じる温床にもなりうる。

一つの番組への不満が、瞬く間に「炎上」となって膨れ上がり、やがて一個人の安全を脅かす脅迫にまで発展する。今回の経緯は、その危うい連鎖を私たちの目の前に示している。批判は自由だが、匿名の熱は時に暴力の顔をのぞかせる。

ボイスキットが警察や関係機関と連携し、毅然と法的措置に踏み切る姿勢を示したことは、演者を守るうえで妥当な判断といえる。作品への愛情は、それを演じる人間を傷つける刃であってはならない。今回の一件が、ファンと演者の健全な関係を問い直す契機となることを願うほかない。

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ライター:

新聞社で記者としてのキャリアをスタートし、政治、経済、社会問題を中心に取材・執筆を担当。その後、フリーランスとして独立し、政治、経済、社会に加え、トレンドやカルチャーなど多岐にわたるテーマで記事を執筆

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