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福島八幡宮の巫女ダンス動画に賛否 公式見解の速さと内容に称賛の一方、別の神職は「退職を考えるレベル」

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福島八幡宮 公式見解
画像出典:福島八幡宮 公式サイト

神社の静かな境内で、巫女装束をまとった若者たちが軽やかに踊る。福岡県八女市の福島八幡宮が公式アカウントで公開した一本のダンス動画が、いま神社のあり方そのものを問う議論へと発展している。

動画の是非をめぐってSNSが割れるなか、同宮が示した一枚の公式見解が、当初の批判とはまた別の意味で大きな注目を集めることとなった。

 

巫女がTikTokで踊る動画が拡散、神聖さめぐり賛否

福島八幡宮は、福岡県八女市に鎮座し、「成功勝利」の神をまつる神社である。公式のTikTokやInstagramを運営しており、問題となった動画には、巫女装束の職員らが境内でダンスを披露する様子が収められていた。

動画はSNS、とりわけX上で大きく拡散した。その中で、ある投稿者が動画を引用し「福岡の神社も躍ってる これを見た外国人が踊ってもいいって勘違いするのも仕方ない」と投稿したものは、表示回数が800万を超え、賛否の議論を広く可視化させた。

寄せられた声は真っ二つに割れた。「わたしの思う『神聖さ』にこのダンスは無い」「手を合わす横で踊る人達がいるのは嫌かも」と、境内でのダンスそのものに違和感を示す声がある一方で、「ダンスやアニメを通じて特に若い世代が神社を知るきっかけになれば良い」と、若年層への入り口として前向きに受け止める声も少なくなかった。中には「知名度を上げて御守りや御朱印が売れるのは嬉しいだろう。神社を商売と考えるなら、ありなのでは」と、複雑な胸中をのぞかせる利用者もいた。海外からの参拝者による迷惑行為を助長するのではないか、という懸念も繰り返し投稿され、動画は好意的な引用と批判的な引用の双方を巻き込みながら拡散していった。

 

福島八幡宮が示した公式見解、判断の基準は国籍ではなく行為

騒動が広がるなか、福島八幡宮は11日、公式サイトで「境内での撮影やダンス等に関する見解と方針」を公表した。

同宮の見解によると、境内で踊ることや写真・動画を撮影することを、一律には禁止しないという立場を明確にしている。神社が祈りと祭祀の場であるという前提は変わらないとしたうえで、古くから祭りや奉納芸能を通じて人々が集い、楽しむ場でもあったと指摘。「静かであることだけが、神社に対する敬意の表し方ではない」と踏み込んだ。

そのうえで同宮が問題視するのは、踊りや撮影という行為そのものではないと強調する。参拝者の通行を妨げたり、祭典を中断させたり、同じ場所を長時間占有したり、大きな音や危険な行為で周囲に迷惑をかけたりする、そうした配慮を欠いた振る舞いこそが問題なのだという。判断の基準は、国籍や立場、SNSへの投稿目的ではなく、実際にどのような行為が行われたかに置くとした。

職員によるダンス動画についても、神社の管理のもとで企画・撮影し、若い世代を含む多くの人に、日々奉仕する職員の姿や境内の雰囲気を身近に感じてもらう目的で公開したものだと説明。動画が神社の尊厳や品位を損なうものとは考えておらず、削除する予定はないと明言している。

 

「下手な企業より上」と称賛の一方、別の神職は「退職を考えるレベル」

この見解に対し、Xでは対応の速さと内容を評価する声が広がった。あるユーザーは「短期間でこれだけの文章を出せる神社はなかなかない」としたうえで、主張すべきことは主張し、やっていいこととよくないことの線引きも、他の神社への配慮もあると指摘。「下手な企業よりも炎上への対応がしっかりしている」と投稿し、その表示回数は30万を超えた。

もっとも、称賛一色というわけではない。別の神社の神職を名乗る公式アカウントは、動画そのものに強い違和感を示した。「装束を着たら走ってはいけない、騒ぐのなんて以ての外」「職員は神社の風景の一部、風景としてそぐわない事をするな」と教わってきたとしたうえで、「これを真似する神社が出てこない事を願う」「うちの宮司がこれをやると言い出したら真剣に退職を考えるレベル」と、率直な苦言を並べた。

このアカウントは、他の神職が沈黙しがちな理由にも触れている。同業の神社が公式に行っていることを表立って批判すれば、神社同士の揉め事となり、最悪の場合は訴訟にまで発展しかねない。だからこそ「表向きは静かな方が多い」のだという。組織としての対応を評価しながらも、「私は相変わらず見たくないし不快。で、それはそれでよし」と、あくまで受け手側の問題として距離を置く冷静な声もあった。

 

伝統と発信の両立、問われる神社の姿勢

今回の一件は、福島八幡宮という一つの神社の広報のあり方にとどまらず、伝統ある宗教施設が現代の発信手段とどう向き合うのかという、より大きな問いを投げかけている。

同宮は見解の中で、伝統や文化を守ることと、現代の手段で神社を伝えることは対立するものではないとし、伝えなければ次の世代へつなぐこともできないと記した。同時に「自由であることと、好き勝手に振る舞うことも同じではない」とも述べ、開かれた境内と、守るべき一線の双方に目を配る姿勢をにじませている。

SNS上には「撮っても許可される神社仏閣で撮ってほしい。それをよしとしない神社では撮らないでいただきたい」と、節度を求める落ち着いた意見も見られた。動画の是非そのものに、万人が納得する答えが出たわけではない。それでも、批判が寄せられた際に沈黙するのではなく、自らの言葉で立場と基準を示した福島八幡宮の対応は、SNS時代の発信に悩む他の宗教施設にとって、一つの参照点となっていくのかもしれない。

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ライター:

新聞社で記者としてのキャリアをスタートし、政治、経済、社会問題を中心に取材・執筆を担当。その後、フリーランスとして独立し、政治、経済、社会に加え、トレンドやカルチャーなど多岐にわたるテーマで記事を執筆

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