
海外のアダルトライブ配信サイト「ストリップチャット」を通じてわいせつな行為を配信したとして、警視庁保安課は公然わいせつの疑いで、新川慎也容疑者(31)と富塚翔星容疑者(27)を再逮捕し、新たに配信に出演したとされる水野茉緒容疑者(21)と浪岡那圭容疑者(24)の女2人を逮捕した。約1時間の配信で売り上げは約10万円――。一見「割のいい副業」に見えるこの配信ビジネスの裏には、海外プラットフォームと暗号資産を組み合わせ、法の目をかいくぐろうとする組織的な構造がある。
事件の概要――ホテルの一室から世界へ配信
産経新聞や日テレNEWSの報道によると、4人は今年4月と5月、東京・新宿区歌舞伎町のホテル客室から、海外のライブ配信サイト「ストリップチャット」を通じてわいせつな行為を配信し、不特定の視聴者に閲覧させた疑いが持たれている。日テレNEWSによれば、4人は約1時間の配信でおよそ10万円を売り上げており、浪岡容疑者は容疑を一部否認し、残る3人は容疑を認めているという。
新川容疑者と富塚容疑者は、これに先立つ6月にも同様の配信を行ったとして、学校法人の非常勤職員だった女性(22)とともに同容疑で逮捕されており、今回が再逮捕となる。
「30分無料→暗号資産で課金」――1億円を生んだ収益構造
産経新聞の報道によると、配信は開始から約30分間が無料で公開され、多いときには約8000人が視聴。その後に有料配信へ移行し、視聴者はサイト内で使える暗号資産を1分ごとに約120円分支払う仕組みだったという。無料パートで大量の視聴者を集め、課金パートに誘導する――動画ビジネスの定石が、そのまま違法配信に応用されている。
さらに同報道によれば、新川容疑者は2025年6月から2026年6月までの約1年間に、約200人の女性と約500回の配信を行い、計約1億円を売り上げたとみられている。単純計算で1回あたり約20万円。出演する女性を次々と入れ替えながら、配信を「量産」する事実上の事業として運営されていた構図が浮かぶ。
相次ぐ摘発――「海外サイトだから」は通用しない
ストリップチャットをめぐる摘発は今回が初めてではない。2025年9月には、ライブ配信会社の代表らが同様の公然わいせつ容疑で警視庁に逮捕されており、時事通信はこのグループが約1億8000万円を売り上げていたと報じている。
「サーバーが海外にあるサイトなら日本の法律は及ばない」という思い込みは通用しない。配信行為そのものが国内で行われ、不特定多数が閲覧できる状態に置かれれば、刑法174条の公然わいせつ罪が成立し得るというのが捜査当局の一貫した立場であり、ネット配信の「公然性」はこれまでの摘発でも繰り返し認められてきた。プラットフォームが海外にあることは、出演者や運営者を守る盾にはならないのである。
「割のいい副業」の先にあるもの
今回逮捕された女性は21歳と24歳、6月に逮捕された女性は学校法人に勤める22歳だった。特別な世界の住人ではなく、ごく普通の経歴の若者たちである。「1時間で10万円」という数字は、物価高で可処分所得が伸び悩む若い世代にとって強い誘引力を持つ。しかし、その報酬の先にあるのは、逮捕・起訴のリスクだけではない。一度ネット上に流出した映像は半永久的に消えず、本人の人生に長く影を落とし続ける。
約200人という出演女性の数は、この種のリクルーティングがSNSなどを通じて広範に行われていることをうかがわせる。「高収入」「顔出し不要」といった甘い言葉の裏にある法的リスクと不可逆的な代償を、社会全体で共有していく必要がある。稼ぐ手段が多様化する時代だからこそ、「その仕事は誰に、何を売っているのか」を立ち止まって考える視点が求められている。



