
育成シミュレーションゲーム「アイドルマスター」シリーズのファンコミュニティをめぐり、X上で労務トラブルが広がっている。発端は、アイマスファンとして知られるXユーザー「つぃんてゃん」氏の起業成功投稿と、その後に別のユーザーが行った注意喚起投稿だった。
「年商35億、300人」起業成功の「私事」を鼻息荒く投稿
話題の中心にいるのは、「つぃんてゃん(@texyantexyan_p)」氏だ。5月31日、自身の起業に関する投稿で、年商35億円、従業員300人規模、社内にアイドルマスターのプロデューサーが約30人いるといった趣旨を発信した。
投稿では、アイマスのキャラクターである神崎蘭子や星井美希などへの思いにも触れ、アイマスへの愛着を自身の仕事や成長の動機として語っていた。
直後から労働環境が炎上、翌日には長文の釈明投稿
しかし、5月31日の”美談”投稿直後から、同氏の会社が「ブラック」であるとする告発投稿が拡散。
これを受けてつぃんてゃん氏は翌6月1日、メモ帳のスクリーンショットを添付する形で、長文の釈明投稿を行っている。そこでは、自身は社長ではなく創業メンバーの一人だと説明。企業内には、激務を前提とするベンチャー部門と、定時上がりや残業月5時間以内、残業代支給、福利厚生充実を掲げる通常事業部があるとした。
また、告発をおこなった退職した人物については、アイマスのライブイベント後にXで連絡を受け、紹介を経て入社、試用期間終了後に自ら退職したと説明している。部署についても、本人の「変わりたい」「成長したい」という希望を聞いたうえで選択してもらったという趣旨を述べた。
一方で、説明を複数回行っていたもののミスマッチが起きたこと、自身のマネジメント能力不足があったことも認めている。その後、社内管理体制を改善し、離職率が大幅に下がったとも主張した。
6月29日、黒焦げ氏による新たな注意喚起
6月29日になって、別のアイマスファンを名乗る「黒焦げ(@Crabanonymous)」氏が新たに注意喚起を投稿。つぃんてゃん氏のアカウント経由で勧誘された企業について、労働条件に深刻な問題があったと訴えた。
黒焦げ氏の投稿では、労働条件通知書に記載された勤務時間と実態が違っていたとされる。投稿で指摘された主な内容は、出勤日の打刻概念がない、不当な給与差し引き、残業代の不支給、年間休日が70日前後、勤務中の1時間休憩が任意扱い、研修期間が労働扱いされず初月無給だった、仕事用備品や携帯電話を自費で負担した、といったものだ。
また、名刺に個人のメールアドレスや電話番号を載せていた、業務連絡に会社ドメインではなくフリーメールを使っていた、時給換算で700円未満に相当した、などの主張も含まれている。
これらは黒焦げ氏側の主張であり、第三者機関による事実認定が出たものではない。ただ、労働条件通知書と実際の勤務実態の差、残業代、休日、休憩、研修期間の扱いは、労務トラブルで争点化しやすい項目である。Xでは「労基署に相談すべき」といった反応が見られ、黒焦げ氏も労基に相談したと受け取れる投稿を行った。
「アイマスライブ後に勧誘」趣味と仕事の境界も火種に
本件は、アイマスLIVEなどファン同士が集まる場を、仕事の勧誘につなげていた点も燃料となった。
同じ作品を好きな人同士であれば、初対面でも心理的な距離は縮まりやすい。担当アイドル、ライブ現地、名刺交換、打ち上げといった共通言語がある分、通常の採用や営業よりも警戒が薄まることがある。
単なる労務トラブル疑惑だけでなく、「好きな作品を通じた人間関係が仕事の勧誘に使われたのではないか」という不信感は、大きな炎上を呼び込んだ。
5月31日〜6月1日の炎上時は、いち早く釈明投稿を行ったつぃんてゃん氏。今回の黒焦げ氏の注意喚起にはいつ、どう反応するのか。



