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フォロワー2200万人超のゴキブリ人民党(CJP)とは? インドのZ世代が仕掛けた痛快な政治デモ

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CJPとは?

日本ではまったく報じられていないが、いまインドの若者たちの間でとんでもないムーブメントが起きている。ネット上の悪ふざけから始まった謎の集団が、フォロワー数2200万人という驚異的な規模に膨れ上がり、モディ首相率いる与党の公式アカウントをあっさり抜き去ってしまったのだ。

彼らはついにはネットを飛び出し、首都ニューデリーの街頭を埋め尽くす大規模な座り込みデモにまで発展している。国家を揺るがす騒動に発展したこの奇妙な現象の裏側を追った。

 

きっかけは最高裁トップの暴言

すべての始まりは、5月中旬に行われたインド最高裁判所の審理だった。最高裁長官のスーリヤ・カント氏が、政府を批判する活動家や仕事のない若者たちのことを「ゴキブリ」や「社会の寄生虫」に例えてしまったのだ。

長官はのちに文脈が誤解されて伝わったと釈明したが、プライドを傷つけられた若者たちの怒りは頂点に達した。ここで普通なら謝罪を求めるところだが、インドのZ世代は一味違った。そこまで言うなら本当にゴキブリになってやる、とユーモアで反撃に出たのだ。

中心となったのは、アメリカのボストン大学院で政治広報を学ぶアビジート・ディプケ氏(30)。彼はこの侮辱を逆手に取り、与党「インド人民党(BJP)」をもじったパロディ政党「ゴキブリ人民党(CJP)」をSNS上に立ち上げた。

 

怠け者とネット依存症のためのパロディ政党

世の中のすべてのダメな若者のためのプラットフォームを自称するこの党は、その入党条件も徹底的にふざけている。自発的かクビかを問わず無職であること、とにかく怠惰であること、トイレ中も含めて1日最低11時間はネットに依存していること、そしてプロ級のクレーマー気質を持っていることなどが条件として求められる。

この自虐的なコンセプトが、古い政治体制にうんざりしていた若者たちに見事に刺さった。Z世代はこぞって自分もゴキブリだとSNSに投稿し始め、瞬く間に大ブームへと発展した。映画監督や人気女優、大物コメディアンまでが次々と支持を表明するお祭り騒ぎとなり、野党の有力政治家までもが乗っかる巨大なうねりを作り出したのだ。

いやはや、日本にも広くひろがってもおかしくないような入党条件である。

 

ついに教祖が帰国、デリーの街頭へ

6月6日の土曜日、ネット上の悪ふざけがついに現実のストリートへと進出する。創設者のディプケ氏がボストンからニューデリーの空港に降り立つと、そこには大勢の報道陣と警察官が待ち構えていた。彼は空港を出るやいなや警察署へ直行し、デモの正式な許可を取る用意周到さを見せる。手元には、インド憲法起草者の自伝が抱えられていた。

若者たちに政府への説明責任を求める強いメッセージだ。そして同日、デモ会場のジャンタル・マンタルには猛暑のなか数百人の若者が集結し、その多くが不気味なゴキブリのマスクをかぶっていた。

 

国家試験の漏洩にブチギレたエリートたち

彼らが集まった理由は単なるおふざけではなく、インドで最も深刻な教育問題への大抗議を兼ねているようだ。先月、国内で最も競争が激しい医学部の全国入学試験(NEET)で事前の問題漏洩が発覚し、試験自体が白紙撤回されるスキャンダルが起きたのだ。数ヶ月間猛勉強してきた数百万人の受験生たちの努力は水の泡となり、絶望から自傷行為に走る学生まで出る社会問題になっている。

参加した法学部生のカランさん(24)は、学生が声を上げられる運動があるのは嬉しいと語り、ダルメンドラ・プラダン教育大臣の辞任を激しく求めた。都市部の若年層失業率が約14%に達し、大学を出ても仕事がないという絶望的な状況も相まって、ゴキブリ人民党は鬱屈した若者たちの巨大な受け皿となったのである。

 

花束と親を持参せよ。前代未聞の平和的デモ

一触即発の事態かと思いきや、デモのスタイルも極めて独特だった。ディプケ氏は事前に、暴力を振るえば政府に運動全体を悪者にされるとSNSで警告していた。そのため主催者側は参加者に対し、ただ仕事をしているだけの警察官に渡すための花束を持参し、さらには自分の両親を連れて参加するという奇妙な指示を出していた。その結果、厳重な警備のなか、親に連れられた学生やシニア世代が入り混じり、花束が飛び交うピースフルな空気のまま約6時間のデモは幕を閉じたという。

政府側は公式SNSアカウントを凍結したり、フォロワーの半分はパキスタンのスパイだという陰謀論をぶち上げたりと駆除に躍起になっている。

ディプケ氏のスマートフォンには殺害予告まで届く中、彼は群衆に向かって「私たちはいつまでこの政府を恐れて生きなければならないのか」と力強く問いかけた。

強大な国家権力にユーモアと花束で立ち向かう若者たちの戦いは、インドの硬直した社会に風穴を開けようとしているのかもしれない。

 

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寒天 かんたろう

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ライター歴26年。月刊誌記者を経て独立。企業経営者取材や大学、高校、通信教育分野などの取材経験が豊富。

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