
ライブ配信サービス「Kick(キック)」が今、ネット界隈で異様な熱を帯びている。配信者への還元率が圧倒的に高く、巨額のマネーが動く一方で、過激な行動や倫理観を欠いた配信が相次ぎ、無法地帯と化している実態がある。
そんな中、配信界隈の“重鎮”とも言える男が引き起こした、あまりにも身勝手なスキャンダルが発覚した。元立川市議会議員という異色の経歴を持つKick配信者・横山緑(48)が、自身がプロデュースするアイドルグループ「ヌマ娘」のメンバー・しゅんかさん(25)を言葉巧みにコントロールし、不適切な関係を強要していたというのだ。
「絶対にお守りします」両親の涙を踏みにじった裏切り
ヌマ娘は、横山緑プロデュース暗黒放送から生まれたアイドルグループ。一方のしゅんかさんは、学生時代のトラウマから10年間も引きこもり生活を送り、精神的にもハンデを抱えていたと言われる女性だ。そんな純朴な彼女が、一念発起して横山が主催する「ヌマ娘」のオーディションに参加したのが事の発端だった。
危なっかしい娘を心配する両親に対し、横山は「(悪い虫から)絶対にお守りします」と力強く宣言。両親はその言葉を信じ切り、娘のために真新しいスーツを新調して「頑張っておいで」と涙ながらに送り出したという。
オーディション会場では、彼女の危うさを見抜いた別の配信者・ぽんちゃんが『真面目な君は来るべきじゃない。汚れてしまう』と優しさから忠告していた。しかし、横山はその忠告を真っ向から批判し、彼女を無理にでもグループへ加入させたのだ。
なぜ横山は、そこまでして彼女を引き入れたのか。その理由は、あまりにもおぞましいものだった。 「彼女はいない」「お前だけだ」――恋愛経験の乏しい彼女にそう甘い嘘を囁きかけ、プロデューサーという立場を利用して自身の身勝手な欲求を満たしていたのだ。
娘を「悪い虫から守る」と両親に固く誓った男本人が、彼女の純粋さを食い物にする最悪の“毒虫”だったという、なんとも残酷で笑えない皮肉である。結果として、彼女は横山から度重なる不適切な要求を受け続け、心身ともに搾取された。女性としての尊厳を踏みにじられたしゅんかさんは精神を病み、現在はすべての活動休止に追い込まれている。
被害者を笑い者に…異常な界隈と「二次加害」
さらに背筋が凍るのは、事実が露見した直後の横山の態度だ。
しゅんかさんが苦しんでいる原因が自分にあるにもかかわらず、横山はリスナーからのDMを使ってニヤつきながらこの件をネタにした。あろうことか、「なんで俺が親に謝らなきゃいけないの」「バカじゃねーの!」と暴言を吐き捨て、自身の責任を追及した暴露系YouTuber・コレコレに情報をタレ込んだ別の女性らに責任転嫁する始末だった。
さらには、横山の周囲の配信者からも信じられない言葉が飛び交った。有名な配信者のよっさんは、ネット放送で被害者とその両親を口汚く罵倒。「しゅんかが100%悪い。自業自得」 「あの極悪非道の横山緑に、任せるっていったんだから親がバカなんだよ」 と、被害者側に責任を押し付けるような言葉の暴力を垂れ流したのだ。
逃げ場を失い“号泣謝罪”も…発覚した数々の余罪
当初はシラを切っていた横山だったが、コレコレ氏の鋭い追及の前に二転三転する言い訳も虚しく、ついに事実を認めざるを得なくなった。
しかも、飛び出したのはしゅんかさんへの加害だけではなかった。他の女性への二股疑惑や、過去に金銭的支援を受けておきながら、裏で「ストーカー扱い」して切り捨てていたという余罪まで次々と明るみに出たのだ。
自身の配信でマスクと帽子姿で現れた横山は、「ごまかしてばかりの人生で、自分自身が本当にね、48歳にもなって愚かで情けない」 「男をやめたくなるくらい今落ち込んでますよ」 と懺悔し、「ヌマ娘」の解散を発表した。
暴走を助長する「Kick」の構造的欠陥
昔から女性絡みの不祥事に事欠かない横山だが、毎度非難されながらも、熱狂的なファンに支えられネット上での居場所を保ち続けてきた。それを可能にしているのが、彼が主戦場とする「Kick」というプラットフォームの特異性だ。
Kickは海外のオンラインカジノが資金源とされており、プラットフォームの手数料がわずか5%(配信者の取り分が95%)という破格の条件を提示している。さらに時給制度まで設けることで、他サイトで規約違反により追放された「いわくつきの配信者」たちを次々と引き入れている。
再生数や注目度が直結して巨額の富に変わるこのシステムは、配信者たちに「より過激なことを」「炎上してでも目立った者勝ち」という歪んだインセンティブを与えている。モラルや規約の緩さが、倫理観を麻痺させる温床になっていることは否めない。
48歳の元市議が、トラウマを抱えた25歳の女性とその家族をどん底に突き落とした今回の騒動。一人の少女の人生を狂わせた代償は、無法地帯と化した高収益プラットフォームの闇の深さを、私たちにまざまざと見せつけている。
かつてのニコ生(ニコニコ生放送)全盛期、横山緑といえばトレードマークの覆面姿で「暗黒放送」を立ち上げ、体を張った企画や際どいながらも愛嬌のあるトークでファンを心底楽しませていた、まごうことなきトップランナーだった。画面の向こうの視聴者をどう喜ばせるか、それに情熱を注いでいたあの頃の姿を記憶している古参ファンも少なくないだろう。
しかし、現在の彼に当時の面影は全くない。気づけばニコ生も、とっくの昔に永久BANされていたらしい。
巨額の金が飛び交う「Kick」という無法地帯に行き着き、プロデューサーという歪んだ権力を振りかざして立場の弱い女性を食い物にする。挙げ句の果てには、言い逃れができなくなってから保身の涙を流すだけの哀れな姿を晒した。純粋にエンターテインメントを追求し、一時代を築いたカリスマ配信者は、すっかり落ちぶれた情けない中年男へと成り下がってしまったのだ。



