ログイン
ログイン
会員登録
会員登録
お問合せ
お問合せ
MENU
株式会社土屋

https://tcy.co.jp/

〒715-0019岡山県井原市井原町192-2久安セントラルビル2F

050-3733-3443

介護を受けたくても受けられない。地域間格差、人材不足…問題が山積する介護業界に光を。~「生き延びる」を肯定する土屋グループの社会貢献~

サステナブルな取り組み SDGsの取り組み
リンクをコピー
高浜敏之㈰
代表取締役・高浜敏之(画像提供:土屋)

福祉のトータルケアカンパニーとして、創立3年で2,500名を超えるグループに成長した当社の社会貢献を、介護サービスに取り組む背景、具体的なデータ等をもとに、代表取締役・高浜敏之がお伝えします。

また、来年の報酬単価改定いかんにより、介護業界に迫る危機的状況について一言します。

土屋の社会貢献

当社は、障害をお持ちの方および高齢の方が、地域で自分らしく暮らすためのサポートを行うトータルケアカンパニーです。

SDGs3「すべての人に健康と福祉を」の実現を目指し、利用者お一人お一人に合うサービスの提供に取り組んでいます。

一方で、我々の事業の主軸である重度訪問介護(重度の障害をお持ちの方への訪問介護サービス)分野は、提供事業者も担い手も不足しているのが現状です。

引き続き、当サービスをしっかりと広め、介護労働者の待遇改善に取り組みながら介護職員を増やしていくことで、重度の障害をお持ちの方が地域で暮らせるための環境整備を図っていきます。

そして、それが結果として、多様性の尊重される協調社会の実現、ならびに社会問題化している介護労働者の待遇改善および介護分野の労働人口の増加に寄与できるのではないかと考えています。

これらの課題に取り組んでいる点が、当社の社会貢献であると考えます。

介護に取り組む原動力

高浜敏之㈪
(画像提供:土屋)

私は長らく、障害者のサポートに従事してきました。

大学卒業後に仕事として障害分野に携わったのをきっかけに、重度障害者の置かれている現状に衝撃を受け、当時は活動家としても障害者運動に邁進していました。

その頃、重度障害者は施設になかば収容される形で、およそ人間らしいとは言いがたい生活を余儀なくされていました。

そうした中で、徐々に当事者自身が立ち上がり、人間らしく生きる権利を求めて闘いを始めていた最中でした。

私自身も彼らに共感し、共に活動していましたが、誰しもが地域で自分らしく暮らせるというごく当たり前のことが、当たり前とは言いがたい状況の中で、これこそが解決すべき社会課題ではないかと。

そして、この課題を解決するために、紆余曲折を経て、当社を立ち上げた経緯があります。

当社の設立から3年が経ちましたが、現在、従業員数が約2,500人、クライアントが約1,300人となり、全国47都道府県に事業所を設置するなど、大きな規模へと成長しました。

また、障害分野のみならず、高齢者分野にも事業を広げ、土屋グループとして定期巡回サービスやデイサービスなども運営しています。

企業としては急成長を遂げたということもできますが、これは当社スタッフの努力や理念への共感のみならず、いかに世の中にサポートを求める方が多くいらっしゃるかという事でもあります。

我々はそうした方々の「小さな声」を拾い上げ、しっかりとサポートすべく人材を集め、その繰り返しが企業の急成長に結びついていると考えます。

とはいえ、それでもまだまだ「小さな声」を拾い上げるには追い付かないほど、その声は至る所から聞こえてきます。

我々はその声に応えるべく人材を集め、質の良いサービスを提供すべく社を上げて業務内容の改善やスタッフのスキルアップに取り組んでいます。

顧客満足度調査より

当社の委員会推進室が行った顧客満足度調査(2023年)では、当社のケアサービス(身体介護の技術面・生活援助の質・身だしなみや挨拶など)に対し「満足」「おおよそのヘルパーに満足」と回答した割合が全ての項目で70%以上となり、まずまずの評価をいただいていると思われます。

事業所内での情報共有や、他事業所・多職種との連携等には課題が残る結果ではありましたが、クライアントに寄り添ったサービスや信頼関係の構築、コミュニケーションについては高評価をいただきましたので、当社の提供するサービスの水準自体も低くはないと思われます。

tsuchiya_hyou
(画像提供:土屋)
tsuchiya_hyou1
(画像提供:土屋)

地域間格差の解消へ

重訪_筋ジス_ALS_㈬_1206
キャプション:気管切開をして人工呼吸器を装着しているクライアントへ痰吸引を実施している様子。(画像提供:土屋)

満足度調査で一定の評価をいただいているとはいえ、問題は、重度訪問介護サービスを受けられていること自体が非常に稀だという事です。

例えば地方で顧客満足度調査をすると、サービスそのものよりも、サービスを受けられていること自体が良かったという回答をされる方も一定数いると思われます。

というのも、重度訪問介護サービスにおける地域間格差の問題は深刻で、地方に行けば行くほど事業所も少なく、サービスそのものを受けることができない、すなわち施設入所あるいは家族介護が主となり、家族が限界まで疲弊している状況も多く見受けられます。

また地方在住のあるALSの方は、いわゆる問題の多いクライアントであったのは事実ですが、他事業所がすべて撤退し、当社が全サービスを請け負っている状況となっています。

このようなケースはしばしば見られ、このようなクライアントのサポートをいかにすべきかも障害分野の課題となっています。

ALSの方には、情動静止(抑制)困難という症状があり、感情のコントロールが効かなくなる特徴がみられるため、事業所・スタッフとの関係性の中で問題につながりやすいというのは事実です。

情動静止困難は、例えば「こだわりが強い」「怒りの表出が強い」「思いやりや気遣いができない」という症状ですが、このためにヘルパーが心を病んだり、事業所が撤退を余儀なくされたりして、そうした方々自身も地域生活に困難をきたしているのが現状です。

この課題に対して当社では、スケールメリットを生かして、スタッフの短時間交代など人員を投入したり、スタッフ研修を実施したりなどすることで、地域での生活を望む人のサポートを続けています。

こうしたことも、当社が改めて存在意義の高さを認識するところです。

生き延びるを肯定する

地域で生きられないというだけでなく、生き延びることそのものを諦める方も多くいらっしゃいます。

ALS等の難病では、いずれ人工呼吸器を必要とする時期が来ますが、その際に装着あるいは非装着の選択を迫られます。

装着しないということは、すなわち自然死を意味しますが、現在、7割の方が非装着の選択をされています。

この原因の一つに、家族負担をおもんばかるということがあります。自分としては生きたいけれど、これ以上、家族の負担になる訳にはいかないので、自然死を選ぶという事です。

しかし、当社のサービスを利用すれば家族負担が減少し、現に当社のサービスを利用したことで意思を翻して装着に向かわれる方もいます。

「生き延びるを肯定する」ことは当社のフィロソフィーであり、クライアントの地域で生きたいという願いを実現するという面においても社会貢献できているのではないかと思われます。

報酬単価改定の懸念

重訪_筋ジス_ALS_㈭_1183
50音が並ぶ文字盤を使い、発語ができない方の視線を読み取りながら会話をするコミュニケーションの様子。(画像提供:土屋)

当社は今後、障害分野のみならず高齢・児童分野にもますます進出し、様々な人たちの生活を支えるべく、トータルケアカンパニーとして歩みを進めていく所存です。

そのためにも担い手を増やすことが肝要であり、会社のブランディングを進めて採用活動を促進しています。介護業界の発展に尽力することで、日本の福祉の充実に寄与できればと考えています。

ただ、懸念されるのは、来年4月に行われる報酬単価改定です。現在、介護業界は物価高、水光熱費の高騰等で非常に厳しい状況にあり、倒産数も過去最多が更新され続けています。

そうした中、今まさに報酬改定の本格的な議論が行われていますが、報酬単価が削減された場合、介護事業者は加速度的に倒産していき、社会に与えるダメージの大きさは計り知れません。

当社においても、従業員の待遇改善そのものを目的として追求してきたことから、人件費率が70%以上と、驚くべき高さとなっており、報酬単価がこれ以上削減されると持続的経営は不可能となります。

経営を持続するためには従業員の待遇、すなわち給与を引き下げざるを得ない。

しかし給与の減少は離職率の増加を伴うので、さらなる人手不足問題が生まれ、当社の掲げる「介護難民問題の解決」は近づくどころか遠ざかります。

最低でも現状維持はしていただきたいと思いますが、岸田政権の方向性として異次元の少子化対策が打ち出されています。

少子化対策自体は素晴らしいことですが、この予算の確保に伴って報酬改定が削減される可能性は高いと考えています。

というのも、社会保障費全体を広げるという事は考えにくく、社会保障費のなんらかの部分を削減して、少子化対策に割り当てると思われるからです。

一方、岸田政権としては介護労働者の待遇改善には前向きです。ただし、介護労働者の待遇改善とはすなわち処遇改善加算の加算率を上げるという事です。

しかし、基礎報酬を下げて加算率を上げるということは、人件費率が上がるのに全体の収益が落ちるということになりますから、経営にとってはダメージがあまりにも大きい。

我々は現在、倒産寸前の事業者を救済し、該当事業所のクライアント・スタッフの行き場を作るべく積極的に救済型M&Aを行っていますが、その中で介護業界の実態を目の当たりにしています。

最低賃金しか払えていない事業所も多くあり、ボーナスがないというのも当たり前の状況です。コストを下げるところまで下げて運営しても経営が難しいのが小・中規模の介護事業所の実態です。

ですが、そうした小・中規模の事業所が介護業界を支えているんです。この現状の中で安易に報酬単価を削減すると、介護事業所はすぐさま倒産するしかない。

報酬単価の削減が実施されると社会が大混乱に陥ると思われるので、マイナス改定は最低でも今の時期は何としてでも止めていただきたいというのが我々の想いです。

土屋の描く未来図

重訪_筋ジス_ALS_㈫_1276
重度訪問介護サービス内で認められている外出支援時の様子。(画像提供:土屋)

一方で、障害分野のマイナス改定は、実はそれほど想定していません。

というのも、2006年に10%という大きなマイナス改定が行われた際には、今の障害者総合支援法の前身である障害者自立支援法が施行され、その内容の深刻さゆえにメディアで大きく取り上げられ、当時の政権に大きな痛手をもたらした経緯があるためです。

つまり、この支援法の内容自体、現場の当事者や事業者にとっては壊滅的なダメージを与えるものだった上に、障害者はいわゆる社会的弱者のシンボルでもあることから、当時の政権与党である自民党が「社会的弱者の切り捨て政権」というレッテルを貼られ、政権交代の一要因ともなりました。

こうした歴史的背景の中で、障害分野の報酬単価削減はリスクがあまりに高く、介護保険をマイナス改定し、障害福祉分野は横ばいに落ち着くと予測しています。

報酬単価削減の懸念がなくなれば、当社の創立以来、そして私自身が障害者問題に関わって以来、悲願として掲げている介護難民問題の解消に向けて動き続けることができます。

すべての人が地域で自分らしい生き方ができることが、世界の潮流であるノーマライゼーションに近づくでしょうし、誰もが暮らしやすい社会を作ることに当社が微力ながら貢献できると考えています。

◎会社概要
会社名  :株式会社土屋 https://tcy.co.jp/
所在地  :岡山県井原市井原町192-2 久安セントラルビル2F
代表取締役:高浜敏之
設立   :2020年8月
事業内容 :障害福祉サービス事業及び地域生活支援事業、介護保険法に基づく居宅サービス事業、講演会及び講習会等の企画・開催及び運営事業、研修事業、訪問看護事業

◎代表プロフィール
tsuchiya_takahama
高浜 敏之
1972年生まれ、東京都出身。慶應義塾大学文学部哲学科卒。大学卒業後、介護福祉社会運動の世界へ。自立障害者の介助者、障害者運動、ホームレス支援活動を経て、介護系ベンチャー企業の立ち上げに参加。デイサービスの管理者、事業統括、新規事業の企画立案、エリア開発などを経験。2020年8月に㈱会社土屋を起業。代表取締役兼CEOに就任。2023年1月には、重度障害者を24時間在宅で支援する重度訪問介護事業所「ホームケア土屋」を全国47都道府県に広げる。ALSなどの難病や重度の障害があっても、望む地域で望む人と安心して暮らせる社会の実現を目指し、日々奔走している。

Tags

タグ