
女性への不適切な接触の疑いで逮捕された人気YouTuber・ヴァンビが、所属する太田プロダクションを退所した。自身が立ち上げたSNSスクール「HERO’ZZ」の代表取締役も辞任し、公式サイトでは学長紹介ページが閲覧できなくなっている。一方、スクールの運営は継続。ヴァンビから学ぶことを期待して入学した受講生に、どのような影響が及ぶのか。
ヴァンビ、六本木のクラブで現行犯逮捕 太田プロも退所
事件が起きたのは2026年10月1日未明。ヴァンビは東京都港区六本木のクラブで、20代女性の下半身を触ったとして、東京都迷惑防止条例違反の疑いで現行犯逮捕された。当時は酒に酔っていたとみられる。逮捕容疑についての認否は公表されていない。
10月13日には所属事務所の太田プロダクションが退所を発表した。事務所側は、逮捕報道を受けて本人と面会し、協議した結果、本人からの申し出もあって退所を決めたと説明している。ヴァンビは、女性YouTuberのゆんと組んだ「ヴァンゆん」で人気を集め、コンビ解散後は覆面YouTuber「スパイダーメーン」として活動。開設から約1年でチャンネル登録者数1000万人を達成した実績を持つ。その経験を武器に、SNS教育事業にも進出していた。
登録者1000万人の成功体験を売りに HERO’ZZとはどんなスクール?
ヴァンビが実業家・溝口勇児氏とともに立ち上げた「HERO’ZZ university」は、YouTubeやTikTok、Instagramなどで影響力を持つインフルエンサーの育成を目指すSNSスクールだ。受講期間は原則1年間。動画編集やコンテンツ企画、SNSマーケティング、収益化などの知識を学び、公式サイトでは「1年間でフォロワー10万人を目指す」と掲げている。複数の現役クリエイターが講師を務め、オンライン・オフラインでの交流機会も提供している。
SNS運用を教えるスクールは数多くあるが、HERO’ZZには登録者1000万人を達成したヴァンビが学長を務めるという特徴があった。実際、公式サイトには、ヴァンビのYouTubeを見てスクールを知った受講生や、ヴァンゆんに憧れ、本人から直接学びたいと思って入学した受講生の体験談が掲載されている。著名なクリエイターから学べることが、入学を決める大きな理由になっていた。
HERO’ZZの学長紹介ページが閲覧不可に 受講生の声には名前が残る
HERO’ZZは10月9日、ヴァンビが同月6日付で代表取締役と取締役を辞任したと発表した。後任の代表取締役社長には「かずひら」こと森本一平氏が就任し、取締役会長の溝口勇児氏は続投する。森本氏はスクールの立ち上げ初期から運営に携わってきた人物で、新体制でも従来の教育サービスとサポートを維持する方針を示した。
公式サイトにも変化が見られる。以前掲載されていたヴァンビの学長紹介ページは、10月16日時点で閲覧できない状態となった。会社概要の代表者名も森本氏に変更されている。ただ、ヴァンビの名前がサイトから完全に消えたわけではなく、受講生の体験談には一部記載が残る。経営トップとしての立場は失った一方、スクールを選ぶきっかけとなった人物として、その存在が今もサイト上にうかがえる。
途中解約しても支払いは続く? HERO’ZZの返金条件
受講生にとって切実なのが契約の問題だ。HERO’ZZの公式サイトに掲載された特定商取引法に基づく表記では、受講期間は1年間。重大で回復困難な疾病や災害など、やむを得ない事情による途中解約が認められる場合でも、支払い義務は継続すると定めている。支払い方法はクレジットカード、口座振替、銀行振込、ショッピングローンで、ローンは3回から36回の分割払いに対応する。
では、ヴァンビ本人の指導を期待して入学した人が、今回の事件を理由に退会を希望した場合、残りの受講料を支払う必要があるのか。ここで重要になるのは、入学時にどのようなサービスが約束されていたかだ。例えば、本人による講義が契約上のサービスとして含まれていた場合と、複数の講師からSNS運用を学ぶ契約だった場合では、判断材料が異なる。規約に支払い継続の条項があっても、その法的効力は契約内容や適用される法律によって判断される。
また、公式サイトには、事業者側のシステム不備などによってサービスを利用できなくなり、1週間が経過しても改善されなかった場合、利用状況に応じて契約解除や残代金の返還に応じる規定もある。この規定はサービスの利用停止に関するもので、今回の代表辞任だけで自動的に適用されるものではない。退会を検討する受講生は、契約書や入学時の説明資料を確認し、必要に応じて運営会社に対応を求めることになる。
溝口勇児氏は会長続投 HERO’ZZを支える2社の役割
ヴァンビの退任後も経営に携わるのが、取締役会長の溝口勇児氏だ。格闘技イベント「BreakingDown」などに関わる実業家として知られ、HERO’ZZの立ち上げにも関わってきた。公式サイトの特定商取引法に基づく表記によると、教育サービスの提供会社は株式会社HERO’ZZ、販売責任会社は株式会社BACKSTAGEとなっている。前者の代表取締役は森本一平氏、後者の代表取締役は溝口氏だ。
HERO’ZZは複数の企業と講師陣が関わる事業として運営されている。ヴァンビが代表を辞任した後も、新社長の森本氏を中心に教育サービスは継続され、公式サイトでは新規入学相談も受け付けている。ただ、受講生にとって重要なのは経営者の名前よりも、契約した講義やサポートがこれまでどおり受けられるかどうかだ。森本氏ら経営陣が、教育の質を維持できるかが今後の焦点となる。
ヴァンビの退任で変わるHERO’ZZ 人気者の看板から教育の実力へ
人気YouTuberの成功体験を強みにしてきたHERO’ZZは、中心人物の退任によって転機を迎えた。これまではヴァンビへの憧れが入学のきっかけになった受講生もいた。今後は、講師陣による指導内容や受講生の成長実績が、スクールの価値を支えることになる。
公式サイトでは、受講生がチャンネル登録者数を伸ばした事例や、SNSを活用して収益化に成功した事例を紹介している。こうした実績を積み重ねられれば、特定の人気者に依存しない教育事業として評価を高めることもできるだろう。
ヴァンビが築いた知名度をきっかけに入学した人たちが、これからも学び続けたいと思える環境をつくれるか。HERO’ZZにとって、今後の講義内容と受講生へのサポートが、スクールの実力を示すことになる。



