
しまむらグループのアベイルと名前を並べるインフルエンサーが、自社ブランドでは注文から数か月商品を届けられず、告発した購入者には投稿の削除を求めていた。
2026年10月に広がったHANNAとMEJUNAの騒動は、単なる発送遅れでは終わっていない。
未着、返金の放置、法的対応を示唆したメール、親しい友達限定のストーリー流出。
顧客が問題にしたのは、届かない服そのものより、声を上げたあとの向き合い方だった。
5月の注文が10月も届かない MEJUNA炎上の発端
起点は2026年5月11日の注文だ。
購入者はHANNAがプロデュースするアパレルブランドMEJUNAで商品を買い、7月を過ぎても発送連絡がないため、公式サイトのメール、公式LINE、Instagramから繰り返し問い合わせた。
満足な返答は得られず、消費生活センターに相談したところ、センター経由の連絡のあとでキャンセルのメールが届いた。
ただし返金は10月に入っても確認できないままだった。
この経緯を「同じ思いをする人が出ないように」とThreadsに書いた投稿が拡散し、騒動が表面化した。
別の申告では、6月15日の注文も公式LINEや本人のInstagramに連絡したあと、「もう少し待ってください」という8月6日の返信以降、進展がないとされている。
それでも、サイト上の発送目安が長いものでも予約商品で最長約2か月程度とされるなか、5月から10月までの空白は通常の遅延では説明しにくい。
HANNAは10月8日前後の謝罪で、数か月前から運営体制の問題を認識して販売を一時停止していたこと、問い合わせ対応が行き届かなかったこと、7月に返金処理をしたつもりが完了しておらず、告発投稿で初めて気づいたことを認めている。
返金ボタンを押したつもりでお金が戻っていなかった、という説明である。
削除要求と法的対応メールで火が広がった理由
炎上を決定づけたのは、未着そのものよりその後のメールだった。
投稿が広がったあと、返金に関する連絡に続き、「10月7日23時59分までに投稿を削除してほしい」「削除されない場合や拡散が続く場合は、弁護士への相談や法的対応を検討する」という趣旨の文面が届いた、と購入者が公開している。
長期間待たされ、消費生活センターまで頼った相手から最初に来たのが削除の期限だった、という受け取り方が批判の核になった。
HANNAは謝罪のなかで、弁護士への言及は購入者を訴える意図ではなく、騒動をきっかけに届くようになった第三者の暴言や誹謗中傷について相談するつもりだった、と説明している。
意図の説明と、届いた文面の読まれ方は別である。
事実に基づく体験の投稿に対し、消さなければ法的対応と読めるメッセージを期限つきで送れば、圧力と受け止められて当然だ。
弁護士に相談すると伝えること自体が直ちに脅迫罪になるわけではない。
それでも社会的な評価としては、火消しが先に見えた。
HANNAとは何者か
HANNAは「ぽっちゃり代表」を名乗るファッション系インフルエンサーで、主なアカウントはInstagram、TikTok、Threads、Xのhanna_dayo14である。
2001年生まれ、身長153センチ、体重67から69キロ前後、骨スト女子と表記し、「ぽっちゃりだってお洒落は無限大」を掲げている。
発信は着痩せコーデ、メイク、垢抜け、ライブコマースが中心だ。
TikTokは約13.1万フォロワー、いいね累計約210万。本人は各SNS合計で約25万フォロワーと書いている。
商業的な実績はフォロワー数以上に目立つ。
しまむらグループのアベイルと複数回コラボし、全店販売や公式ライブに出ている。
2026年6月には本人がコラボ第2弾のオンライン販売開始を告知し、アベイル公式も同日のライブを案内した。
10月に入っても、公式が10月1日のライブにスペシャルゲストとして名前を出し、スニーカー「HANNA×SUREVE」の予約受付を10月1日開始、発送予定を11月上旬から下旬としている。
全国チェーンが名前を出す相手としては、ニッチでも購買層がいると判断された位置にいる。
一方で、一般層に広く知られた著名人ではなく、今回の炎上で圏外にも名前が広がった、という規模感である。
限定ストーリー流出と謝罪文が逆効果になった点
未着と削除要請に続き、Instagramの親しい友達限定ストーリーがスクリーンショットで出回った。
内容は、自分にもミスはある、返金して謝ったのになぜ犯罪者のように扱われるのか分からない、といった不満だったとされる。
HANNAは後に、精神的に追い詰められたなかで心を許した友人だけに向けたものだと説明し、外部に送られたことを悲しかったとも述べている。
購入者から見れば、5か月近く届けず問い合わせに応えなかった事態をミスの一言で片づける構図に見える。
10月8日の長文謝罪も逆効果になった。
管理不足の反省とあわせ、第三者から受けた暴言や精神的苦痛に詳しく触れたため、謝罪なのに自分がつらいかの主張が前に出ている、被害者側に立っている、と受け取られた。
本人はその後、文面の差し替えに至っている。
中国アパレルを高額で転売しているのではないかという指摘も同時に広がり、商品ページが削除されたとも言われている。
これは現時点では疑惑の段階で、本人が最初から渡す意思がなかった詐欺を自認した事実はない。
認めたのは運営管理の不備、返金確認の不足、問い合わせ対応の不足である。
インフルエンサーブランドに起きやすい未着と返金の穴
この一件は個別の失態であると同時に、個人ブランドで繰り返されやすい穴も示している。
Shopifyなどで店はすぐ開ける一方、在庫、発送、返金、問い合わせを少人数で回す体制が追いつかない。
届かない、返金されない、声を上げると削除を求められる、という並びは、顧客からは詐欺まがいと区別しにくい。
刑法上の詐欺には、最初から渡す意思がなかったことの立証が必要で、管理ミスと故意の詐取は別である。
ただ、お金を預かった側の説明責任は、知名度や体型の話とは切り離される。
消費者庁の白書では、SNSが関係する消費生活相談が2025年に10万1045件となり、前年の8万7219件から増え、2021年の約5万件と比べ約2倍になった。
インターネット通販全体の相談も2025年に26万6734件で前年を上回っている。
国民生活センターは2026年5月、インフルエンサーが定期縛りなしと勧めた商品が実際には定期購入になっていた事例も注意喚起した。
なりすましによる情報商材詐欺とは別系統だが、SNS上の肩書きと金銭のやり取りがずれやすい構図は共通している。
MEJUNAの購入を検討するなら、特定商取引法の表記、発送目安、返金の実績を先に確認し、長期未着ならカード会社や消費生活センターへ早めに相談する方が、後からの謝罪を待つより確実である。



