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テクノファイブ株式会社

https://techno5.co.jp/

兵庫県芦屋市浜芦屋町9-14-205

「先生」とは呼ばせない。定着する研修で人と組織を動かすテクノファイブ

ステークホルダーVOICE 経営インタビュー
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テクノファイブ 谷氏

研修をしても現場の行動が変わらない、ニーズに合った研修がない、社内研修をするにも人がいない――。多くの企業が抱えるこうした悩みに、真正面から向き合い続けている会社がある。兵庫県芦屋市に本社を構えるテクノファイブ株式会社だ。100種類を超える独自の研修コンテンツをオーダーメイドで組み替え、学びが定着するところまでを設計する。

代表取締役の谷誠之氏は、35年以上教壇に立ち続け、延べ9万人以上に研修を届けてきた。しかし、自らを「先生」と呼ばせることはない。「教育という目に見えないサービスを提供するサービス業だ」と話す谷氏に、同社の研修づくりと、その根底にある信念を聞いた。

100種類のコンテンツを組み替える、オーダーメイド研修

テクノファイブは、主にIT技術者をはじめとする技術職を対象に、法人向けの人材育成研修を提供している。扱う領域は、IT技術教育(テクニカルスキル)、対人能力育成教育(ヒューマンスキル)、仕事力強化研修(コンセプチュアルスキル)の3本柱だ。チームビルディング、リーダーシップ、ロジカル・シンキング、問題発見・解決スキル、プロジェクトマネジメント、サービスマネジメントなど、「専門知識以外のスキル」に焦点を当てたプログラムを数多く揃えている。

同社の最大の特徴は、100種類を超える研修コンテンツを、顧客のニーズに合わせて柔軟に作り替えていくオーダーメイド性にある。「2日間の内容を1日にまとめてほしい」「この研修とこの研修を組み合わせてほしい」「うちの業務に合わせて演習を作り変えてほしい」といった要望に応じて、その研修を組み立てる。既存のコンテンツで足りなければ、一から作ることもあるという。

テクノファイブ 谷氏

そもそも同社の研修は、そのほとんどが顧客の声から生まれたものだ。「こんなことはできないか」「こんな研修はないか」という問いかけに答え続けてきた結果、オリジナルのコンテンツが積み上がってきた。

だからこそ同社の研修づくりは、「何をつくるか」ではなく「何に困っているのか」を聞くところから始まる。その姿勢が最も表れるのが、ヒアリングの深さだ。谷氏は、マネージャー研修を例にこう説明する。

「たとえば、『マネージャーがよりうまく組織を動かせるようになるための研修をしてほしい』というご依頼があったとします。一見するとよくあるお悩みですが、詳しく話を伺っていくと、その中身は会社や人によってそれぞれ違います。

現場上がりで優秀な社員だが、マネジメントが初めてでやり方がわかっていない。ハイパフォーマーであるがゆえに、『部下に頼むより自分でやった方が早い』と仕事を抱え込んでしまっている。部下への依頼が具体的でないために、結果的に人が育っていない。表面的には同じ『マネージャー研修』でも、つまずいている原因が違えば、必要な内容も変わってくるんです」(谷氏)

パズルのようにメニューを組み合わせるのではなく、課題の中身まで丁寧にヒアリングしたうえで、それぞれに合った研修を組み立てる。小さな会社ならではの機動力と小回りを、そのまま強みへと転換しているのが同社のスタイルだ。

研修を支える3つの軸

それぞれ異なる課題を聞き取り、それに合わせて研修を組み立てていく。では、その中身はどのように設計されているのか。谷氏が大切にしている軸が3つある。

1つ目は、記憶に残り、定着することだ。そのために研修は、参加型かつアウトプット型を基本としている。受講者が手を動かしたり、ディスカッションしたりする時間をふんだんに設け、実践を通じて理解を深めてもらう狙いだ。

2つ目は、同社でしか体験できないコンテンツを提供することだ。たとえば、ハリウッド映画『アポロ13』を教材にしたオリジナルプログラムがある。版権管理会社と正式に契約を結んだうえで研修中に映画を視聴し、作中に描かれる障害対応や予防策を手がかりにグループディスカッションを重ね、インシデント管理、変更管理といったITサービスマネジメントの考え方を体系的に学んでいく。ほかにも、ゲームメーカーとタイアップして開発した、VRとボードゲームを組み合わせた演習もある。こうした「ほかでは受けられない」体験が、学びを強く印象付ける仕掛けとなっているのだ。

そして3つ目が、必ず振り返りを行うことだ。「面白かった」「役に立った」で終わらせず、実務に活かすとしたら何が言えるのか、明日から何ができるのかを言語化する時間を、必ず確保する。

そんな同社の研修の中でも、売上の4割を占める人気メニューが「インバスケット」だ。約70年前にアメリカで生まれた教育手法で、受講者に架空の立場を与え、過酷な条件と制限時間の中で大量の案件を処理してもらう、ロールプレイ形式の研修である。

「この研修では受講者を追い込むのですが、そうすることで普段の仕事の癖がそのまま表れるんですね。良い癖は伸ばしていただくとして、問題は悪い癖をどう克服するか。どういう悪い癖を持っていて、それをどういう考え方で、どう変えていったら良くなるかを、その後の講義や演習を通じて腹落ちさせていきます」(谷氏)

追い込むからこそ、自分の強み・弱み、できること・できないことが如実に表れる。それを目の当たりにして、ショックを受ける受講者も少なくないという。だが、その体験を出発点として本格的な学びに入るからこそ、講義の内容が他人事ではなくなり、受講者本人の意欲と改善につながっていく。こうして実感を伴う学びを届けてきたからこそ、多くの企業から選ばれ続けているのだ。

テクノファイブ 谷氏

司会者への憧れから「研修講師」への道

「子どもの頃、私にとってのヒーローは司会者だったんです」と話す谷氏。もともと憧れていたのは、テレビ番組の中で場を仕切っている司会者の姿だったという。

しかし、子どもながらに芸能界へ進むことの難易度の高さを漠然と感じてもいた。中学時代からコンピュータに親しんできたことから、プログラマやエンジニアという道も一度は考えたというが、自分の志向とは違う気がしていたと振り返る。

転機が訪れたのは、大学へ進み、就職を考え始めた頃だ。友人から「谷くんは声がいいね」と褒められ、「声を仕事にしよう」と漠然と思いはじめる。ほどなくして、その友人に誘われ、ある外資系企業が学生向けに開いていた企業研修に同行することになった。

「そのときに、社会人向けの企業研修というものがあることを初めて知り、講師の姿を見て『これだ』と思ったんです。声を仕事にできて、全体をファシリテーションする立場でもあるし、コンピュータの知識も活かせる。それで一気に引き込まれ、その場で『どうやったら講師になれますか』と聞いていました」(谷氏)

そして大学を卒業してからは、外資系コンピュータメーカーの教育部に入社。IT技術教育における講師としてキャリアをスタートさせ、1997年からは対人能力育成教育にも領域を広げた。OS管理、ネットワーク、データベース、プログラミングといった技術分野から、コミュニケーション、プレゼンテーション、交渉術、リーダーシップ、さらには講師養成まで幅広く経験を重ね、「教える」ことを軸にキャリアを積み上げていった。

次なる転機は、社会人13年目に訪れる。当時、人の下で働き続けることへの疑問と、独立したいという思いを抱くようになっていた谷氏。とはいえリスクもあり、踏み切れずにいたそのとき、学生時代にアルバイトをしていたテクノファイブの創業者からとある話が持ち掛けられた。

「『そろそろ独立しようかと思っているんです』とお話ししたら、『後継ぎもいないし、会社を継いでくれないか』と言ってくださったんです。私にとっては願ってもないお話でした」(谷氏)

その話を受けた谷氏は、2007年にテクノファイブへ入社。同社はもともと計測機器を販売する会社として創業し、その後は学習塾やアンケート集計業などを生業としていた。谷氏の入社後は、創業者がそれまでの事業を、谷氏が教育事業を推進するという2本柱の体制が続いた。そして2013年、創業者の引退にあわせて事業を整理し、現在の教育事業へと一本化。世代交代とともに会社の事業を転換して歩みを重ね、同社は2025年、創立40周年を迎えた。

「教えるプロ」に任せるという選択

―社内で研修を内製化する企業もある中、外部の専門家に依頼する意義はどこにあると考えていますか。

谷:最大のメリットは「教えるプロ」が教えることだと思っています。

教えるプロでないと、何をどういう順番で、どんな言葉や柔らかさなら相手に伝わるかもわからないまま進んでしまいます。そのため、つい専門用語を使ってしまったり、業務に必要だからという理由で難しい内容から始めてしまったり、理解度を確かめないまま進んで「どうしてわからないの?」と言ってしまったりする。それでは、聞く側の学習意欲も学習効果も下がってしまいます。

私たちは、どれくらいの難易度から始めて、どうステップアップしていけば受講者の学びが最大化されるか、といったノウハウを持っています。そのため、誰が教えるかによって、同じ内容でも身につき方も効率もまるで変わってくるんです。

もう一つは、現場の方に本来の業務へ専念していただけることです。内製化すると社内講師を務める方が準備や実施に時間を取られて、本来の業務が回らなくなってしまいます。そこで、研修そのものは「教えるプロ」である私たちにお任せいただき、現場ならではの質問や学びに対して「現場のプロ」としてお答えいただく。そう役割を絞ることで、現場の仕事も回りますし、講師役になるはずだった方の業務効率が落ちることもありません。

また副次的なものとして、私たちも日ごろから勉強していますので、差し支えない範囲で他社事例や業界の動向をお伝えできます。それにより、受講者の知識の幅が広がる、という効果もありますね。

―数ある領域の中で、谷社長が特に得意とする分野は何ですか?

谷:「仕事の効果性の高め方」は特に得意な分野です。仕事に優先順位をつける、問題を深掘りして本質にメスを入れる、新しいアイデアを考えるなど、これまでと同じやり方ではうまくいかなくなったときに、別の手を考えるための研修です。

そのなかでよくお話しするのが、「創造的破壊」と「創造的模倣」です。新しいものをもう一度生み出すために、これまでのやり方を壊すのが創造的破壊。一方で、ゼロから一を作り出すのは本当に難しいので、自分たちとは違う領域から優れたやり方を借りてくるのが創造的模倣です。

自分の業界や職場の外にあるやり方を真似てみたり、それを身近なものと組み合わせてみたりすると、意外と面白いものが生まれます。映画を題材にした研修も、VRの研修も、そういう発想から生まれたワークショップの一つなんです。

テクノファイブ 谷氏

人・社会を変える可能性をもつ「講師」という仕事

―教える立場として、受講者と向き合ううえで大切にしていることを教えてください。

谷:受講者の皆さんには「私は先生ではないので、先生と呼ばないでください」とお伝えしています。

私は皆さんより偉いから教えているわけではありません。これまでより少しでも仕事の成果が上がるように、そのお手伝いをする立場です。ですから、受講者の方々とはできるだけフラットで対等な立場でいることを一番心がけていますし、必ずお伝えしています。

根っこにあるのは、「我々は教育という目に見えないサービスを提供するサービス業である」という考え方です。私たちは提供する側であり、受講者の皆さんはそれを受け取る側。そこは常に意識していますね。かといって「お客様は神様だ」とするのではなく、サービス業でありながらも、心の距離が縮まるようなフランクさを大事にしています。

心の距離が縮まると、質問しやすい雰囲気を作ることにもつながります。「こんなことを聞いてもいいのかな」「恥ずかしい」「怒られないだろうか」といった心理的なハードルをできるだけ下げることは、学びの場をつくるうえでとても大切です。

また、距離が近ければ、受講者それぞれが抱える悩みや思いも率直に話していただけます。そうすれば、その解消に向けてできる限りのお手伝いができる。信頼関係を築くという意味でも、心の距離は近いに越したことはないと思っています。

―研修講師業界では、若い世代の担い手が育ちにくいことに課題を感じていると伺いました。研修講師という仕事の魅力や、この業界を目指す方へのメッセージをお聞かせください。

谷:研修講師は、人や社会を変える可能性がある仕事だと思っています。

働く人たちの仕事ぶりを変えたり、生産性や効率を上げたりするためのテクニックやノウハウは、世の中にごまんとあります。しかし、それが世の中に十分に浸透しているかというと、そうでもないんです。だからこそ、研修講師はそこに一石を投じることができる仕事だと思います。

そして、講師としての実績をあげるほど、頼ってくれる人や慕ってくれる人は増え、影響を与えられる範囲も広がっていきます。そうして少しの変化が大きな変化をもたらすようになった暁には、人、そして世の中を変える一端を担うこともできるでしょう。

だから、人を育てたいと思う方はもちろんのこと、世の中を変えたいと思っている方にとっても、非常に面白い仕事だと思います。

◎企業情報
会社名:テクノファイブ株式会社
設立:1985年3月
代表者:谷 誠之
所在地:兵庫県芦屋市浜芦屋町9-14-205
URL:https://techno5.co.jp/

◎インタビュイー
テクノファイブ株式会社
代表取締役 谷 誠之
1991年にIT技術教育、1997年に対人能力育成教育を始め、その実績は30年を超える。近年ではIT技術系の研修に加え、主に技術者を対象としたチームビルディング、リーダーシップ、ロジカルシンキング(論理的思考)、ラテラルシンキング(水平思考)、クリティカルシンキング(批判的思考)、プロジェクトマネジメント、サービスマネジメント、仕事の効果性を高めるためのインバスケット手法、講師としての立ち居振る舞いを学ぶ講師養成講座などの研修が多い。毎年200日近く教壇に立ち、延べ9万人以上にさまざまな研修を提供し続けている。2020年からは社内に配信スタジオを設置し、オンラインによるリモート研修を年間100〜150日程度実施中。

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ライター:

取材ライター。より伝わりやすい言葉で、目で見て、耳で聞いて分かりやすい文章を書くことをモットーに執筆している。自然や地域、文化が大好きで、全国各地に赴いて書く仕事をすることが目標。

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