「ワカ製作所さんがいなければ、弊社の誠実なモノづくりができない」。
アンリツ株式会社資材調達本部長の竹内健喜さんは、株式会社ワカ製作所との関係性をそう語ります。
株式会社ワカ製作所は、精密機器に欠かせないコネクタなどを製造する電子部品メーカー。人工衛星に搭載可能な同軸コネクタとして国内初のJAXA(宇宙航空研究開発機構)認定を受けた「高周波同軸コネクタ」をはじめ、高い技術力で日本のモノづくりに貢献しています。
ワカ製作所と30年にわたる取り引きがあるのがアンリツ株式会社。126年の歴史を持ち、スマホの開発・製造に欠かせない通信用計測器や品質保証検査機器のリーディングカンパニーです。
今回は、アンリツ株式会社資材調達本部長の竹内健喜さんに、株式会社ワカ製作所とのつながりと今後の展望について聞きました。
高周波分野の電子部品のサプライヤーとして欠かせない存在
株式会社ワカ製作所代表取締役社長 若林佳之助さんからアンリツ株式会社さんへのメッセージ
アンリツさんからはサプライヤー表彰を受けるなど長年にわたり重要な取引先になっており、現在、当社もサプライヤー会の副会長を拝命しています。
アンリツさんには長年にわたる多品種・短納期生産への貢献を評価いただいています。納期前倒しの要求にもできるだけお応えできるような体制を整備しています。
そのためには常に適正在庫を確保するなどの在庫調整や部材調達などのさまざまなサプライチェーンマネジメントが要求されます。この分野は長年の経験がものを言いますので、そうした当社の実績を評価いただいているものと考えています。
アンリツさんはサプライヤーを本当に大事にしてくれる会社です。コンペによる価格だけで納入先を選定するわけではなく、サプライヤーを育てながら共に関係を築いていくという考え方が強い会社だと感じています。本当に感謝しています。
―以上のメッセージをワカ製作所の若林社長からいただいています。
若林社長からたいへんありがたい言葉を頂戴し、弊社としても大変うれしく思います。ワカ製作所さんとは、先代の社長の時代から30年にわたるおつきあいです。弊社の通信用計測器に欠かせないコネクタやケーブルなどの電子部品を調達させていただいており、とりわけ高周波の無線で使用するコネクタにおいてワカ製作所さんのコンポーネントは非常に優れています。
サプライヤーとしてだけではなく、弊社では、ワカ製作所さんが製品開発や製造に用いる計測器を納めており、お客様としても取り引きをさせていただいています。弊社は数多くの企業と取り引きがありますが、資材調達部・営業部ともに濃密な関係を築いている企業は多くはありません。さまざまな接点を持ち、貴重なおつきあいをさせていただいているのがワカ製作所さんです。
5Gの通信規格をリードする新技術の共同開発パートナー
―具体的にはどのような連携をされているのでしょうか。
たとえば、弊社は5Gという通信方式でビジネス拡大を進めています。競争が激しい分野ですから、規格が決定する前の段階で製品の開発をされているお客様もいらっしゃいます。その場合、規格がこうなるだろうという予測の元に製品の開発を進めたり、交付されたレギュレーションにいち早く対応したりする必要があり、サプライヤーさんにも協力を仰ぐことになります。
世の中にまだ出ていないものに対応し、モノづくりをしていくのですから、場合によっては途中で仕様が変わる、ということもあります。そこで力をあわせて要求仕様を実現することに価値があり、もっと言えば協力いただけないとモノづくりができない。
若林社長には、そうした事情をご理解いただき、最先端のモノづくりに貢献するという高い意識の元にご協力いただいています。いち早く最先端の製品を世の中に出せるのは弊社にとってメリットなのはもちろん、ワカ製作所さんにとっては、新技術に対応したコンポーネントが世の中に認められ、多くの製品に活用されていくことにもなります。このように、互いに切磋琢磨してモノづくりをし、双方の事業拡大にも役立てるパートナー関係だと思っています。
調達のQCD、環境への取り組みで高い評価、総合評価で高い安定感
―ワカ製作所さんが授与された「サプライヤー表彰」ですが、どのような点が評価されて表彰されたのでしょうか。
調達のQCD(クオリティー・コスト・デリバリー)に加え、サプライヤー企業が生産活動などにおいてどれだけ環境を意識した取り組みをしているかが評価基準となります。品質と価格、納期は実績から判断できますが、環境に負荷をかけない、貢献する取り組みについては各企業にアンケート調査を実施し、その結果を元に総合評価の上で表彰する仕組みです。ワカ製作所さんは毎年高い目標をクリアされ、これまでに数回表彰させていただいています。
―ワカ製作所さんは御社のサプライヤー会の副会長を務められています。多くの企業さんに取材させていただくと、サプライヤー会をとりやめる大手企業も増えていると伺います。御社はサプライヤー会をどのように位置付けておられるのでしょうか。
少量多品種の製品を幅広く扱っている弊社では、多くのサプライヤーさんに長くおつきあいただく必要があり、サプライヤー会は重要であると考えています。
サプライヤー会を通じて、弊社トップのメッセージをお届けしたり、懇親の場を通じて業界を盛り上げていくことができます。また、CO2削減など環境の取り組みへのご協力も、コミュニケーションをとっていくことで理解を深めていただけます。
現在、弊社のサプライヤー会に加盟しているのは約100社で、電気部品から材料、加工品まで業種はさまざまです。そのなかから役員会社になっていただくサプライヤーさんがありますが、ワカ製作所さんには昨年、役員の副会長に就任いただき、会の運営や業界の活性化にご尽力いただいています。
通信機器のキーコンポーネントを提供するキーカンパニー
「ワカ製作所さんがいなければ、弊社の誠実なモノづくりができない」
―ワカ製作所さんとは御社にとってどういう存在でしょうか。
ワカ製作所さんが作るのはピンの先1mm以下のコネクタなど非常に繊細なもので、携帯電話や通信インフラを支える重要なコンポーネントです。通信機器という、生活に欠かせないインフラであり、世の中を動かすためのキーコンポーネントを提供するキーカンパニーです。そういう会社と取り引きできているのは我々にとって幸運なことです。
弊社は「はかる」をキーワードに発展してきましたが、機器内部や測定対象のDUTと計測器をつなぐコンポーネントがないと測ることはできません。「つなぐ」コンポーネントを提供いただいているワカ製作所さんがいなければ、弊社のモノづくりができないと言えます。
日頃若林社長とお話ししていても、弊社とワカ製作所さんは生産資材の調達を手段としたつながりだけではなく、企業と企業としてのつながりを感じられる取引先です。とてもまじめな会社で、こちらが要求することに真摯に取り組んでいただけると同時に、新しいことにもチャレンジされています。非常に信頼を置いています。
持続可能な社会に貢献するパートナー企業として共に成長したい
―最後にワカ製作所さんへの期待を伺わせてください。
弊社は今年、「『はかる』を超える。限界を超える。共に持続可能な未来へ。」という新たな経営ビジョンを掲げ、「これまでの殻を破っていこう」というメッセージを会社として出しています。従来の「はかる」を超え、外部の異なる発想や技術をさらに掛け合わせて新たな事業を開拓し、領域を拡大し、持続的に社会に貢献していくという想いをビジョンに込めています。
ビジョンを進めるには、関係するすべての方、企業のお力が必要です。ワカ製作所さんにもこれまでの枠を超えたアイデアを出していただき、一緒になって殻を破っていただきたい。これまで以上に世の中に新しいものを打ち出していくパートナーとして、一緒に成長していきたいと思っています。
<プロフィール>
竹内健喜さん
アンリツ株式会社資材調達本部長
<会社概要>
アンリツ株式会社
https://www.anritsu.com/ja-jp/
設立年:1895年
〒243-8555 神奈川県厚木市恩名5-1-1