
会計責任者の男性事務局長が数年間にわたり着服を繰り返した疑いがあり、刑事告訴を検討中だ。
国税局の強制調査で発覚した内部管理の杜撰さが、市民の募金離れを加速させる可能性が高い。
1億円超の使途不明金が発覚
北海道共同募金会(札幌市)では赤い羽根共同募金や歳末たすけあい募金などで集めた寄付金が同会名義の口座に保管されていた。
しかし会計責任者である男性事務局長が1人でこれを管理する体制だったため、長期間にわたる不正が放置された可能性が高い。同会によると事務局長が数年間着服を繰り返した疑いがあり、現在事実関係の詳細調査を進めている。
使途不明金の正確な着服額や具体的な期間は調査中だが、少なくとも1億円規模に上るとみられる。
国税局の所得税法違反をめぐる強制調査がきっかけとなり内部の実態が表面化した。
年間6億円超の寄付が福祉支援に充てられるはずだった
同共同募金会の年間寄付金額は例年6億円から7億円程度で、2025年度は約6億7314万円に達した。
これらの資金は道内193の共同募金委員会を通じて、高齢者支援、障害者福祉、子どもの居場所づくり、孤立防止などの民間福祉活動に対する助成金として分配される予定だった。
毎年4月に分配が行われる仕組みだが、今年度は調査の影響で遅れが出ており助成金額の減額も懸念されている。
赤い羽根共同募金は社会福祉法に基づく公的性格の強い運動で、街頭募金、企業・学校・町内会を通じた集金、インターネット寄付などが主な方法だ。
集まった善意の浄財が地域福祉の重要な財源となっているだけに、今回の事件の影響は大きい。
1人管理のずさんな体制が不正を許した
最大の要因は内部統制の欠如にある。寄付金を事務局長1人が独占的に管理し、二重チェックや定期的な外部監査が十分に機能していなかった。
国税局の強制調査でようやく発覚した点からも管理体制の甘さが長期化を招いたことがうかがえる。
寄付金は現金や口座管理が中心となりやすい特性があり、小規模な地方組織では1人会計が残りやすい構造的問題も指摘される。善意の寄付を預かる組織として、再発防止に向けた抜本的なガバナンス改革が求められている。
同会は調査結果を踏まえ管理システムの見直しやチェック体制の強化を急ぐ方針だ。
類似不正事件が絶えない実態 過去にも数百万円規模の着服相次ぐ
北海道の1億円規模事件は突出しているが、赤い羽根共同募金や社会福祉協議会関連の不正は全国的に散発的に発生している。
静岡県小山町社会福祉協議会では30代男性職員が赤い羽根募金など約300万円を着服し懲戒解雇処分となった。
岩手県宮古市では職員による約255万円の着服事例があり、全額弁済後に警察捜査依頼を取り下げた。
青森県田舎館村では約20万円が行方不明となり元職員を書類送検。
宮城県岩沼市でも担当課長による約500万円着服事件が報じられた。
これらの事例に共通するのは1人管理体制や発覚の遅れで、中央共同募金会はガバナンス強化を繰り返し呼びかけているが、根本的な解決には至っていない。1953年の古い横領事件など歴史的に同様の問題が指摘されてきた。
寄付したくない声が拡大 直接支援や募金離れの動き
事件の報道を受け、SNSやネット上では「もう赤い羽根には寄付しない」「町内会や学校の集金を拒否したい」「直接信頼できるNPOに寄付する」といった声が相次いでいる。
半強制的な集金への不満、事務費率10パーセント前後の中抜き疑惑、過去のColabo助成問題なども不信を増幅させた。
善意を裏切る行為が続けば地域福祉活動全体の財源が細り、支援を必要とする高齢者や子どもたちに悪影響が及ぶ恐れがある。
一方で寄付を検討する人々の間では、各共同募金会の財務公開を確認したり使途を指定できる直接支援を選ぶ動きが広がりそうだ。信頼回復のためには透明性の高い情報公開と再発防止策の実行が不可欠となる。



