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フジテレビ株主総会 中居正広問題で謝罪、堀江貴文・田端信太郎が質問 ダルトン提案は失速、ガバナンス改革に試練

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異例の厳戒態勢と緊張感の中で開催 ホリエモン登壇やコンプライアンス追及に揺れるフジHD

フジテレビ株主総会

6月25日、フジ・メディア・ホールディングス(以下、フジHD)は東京都内で定時株主総会を開催した。性加害問題への不適切対応で批判を浴びた同社は、会場前から1時間以上待機列ができるなど過去に例のない緊張感に包まれた。会場では金属探知機による持ち物検査も実施され、怒号が飛び交うなど異例の進行となった。

金光修社長は冒頭、「フジテレビの問題でご迷惑とご心配をおかけしたことを心よりおわびします」と謝罪。経営混乱の責任を明示した上で、清水賢治専務の社長昇格を含む新経営陣11人の取締役選任案を株主に諮った。

 

ダルトン提案は辞退で失速 「敵前逃亡」との声も

株主総会のもう一つの焦点は、米投資ファンド「ダルトン・インベストメンツ」による対抗提案だった。フジHD側はダルトンに対して、提案趣旨の説明機会を公式に申し出たが、ダルトン側はこれを辞退。金光社長が議長としてこの事実を明らかにすると、SNSでは「敵前逃亡」「情けない」といった批判が相次いだ。

ダルトン共同創業者のローゼンワルド氏も「1人も選ばれないだろう」と語り、実質的に“白旗”を上げる形となった。

 

日枝久氏が正式退任 慰労金は「0円」と説明

今回の取締役案では、ファミリーマート元社長の沢田貴司氏を含む社外取締役が6名と過半を占め、長年の“内向き体制”からの脱却を印象づけた。特に注目されたのは、フジテレビ時代から40年以上にわたって影響力を保持してきた日枝久氏の退任である。

日枝氏の退職慰労金に関しては、株主から金額開示の要請があったが、深水常務が「記載されている金額は0円。個別の支給についても開示していない」と説明した。

 

中居正広氏への賠償請求は? 会場で拍手も

性加害疑惑が報じられた元タレント・中居正広氏への対応をめぐり、株主からは「損害賠償請求は行うのか」との質問が飛んだ。会場からは拍手が起き、注目度の高さを示した。

これに対し、清水専務は「民事・刑事の検討は専門家を交えて協議していく」と述べ、訴訟も選択肢に含めた検討中であることを明かした。

 

堀江貴文氏、認定放送持株会社制度に異議 連携の可能性には含み

大きな注目を集めたのは、実業家の堀江貴文(ホリエモン)氏の登壇だった。堀江氏は、フジHDが維持する「認定放送持株会社」制度について、「単なる買収防衛策となっており、今後の株価上昇や成長の観点から見ても、制度を廃止すべきではないか」と質問した。

特に「Netflixのようなプレーヤーと戦うには、この制度はむしろ足かせになっている」との指摘に、会場は静まり返った。

清水専務は、「放送の公益性の観点から一定の制限があると理解しているが、堀江氏のご指摘にも理解できる部分はある」と述べたものの、制度見直しについては明言を避け、株主の一部からは「煮え切らない回答」とする評価も上がっている。

また、別の株主から堀江氏との協業可能性について問われた際、清水専務は「社外取締役に就任いただく予定はないが、知見は取締役でなくても活かせる。アドバイスを受ける可能性はある」とし、一定の距離感を保ちながらも連携の余地を残した。

 

田端信太郎氏「AI・デジタルを軽視している」 構成人材に懸念の声

さらに、株主として登壇した元ZOZO広報の田端信太郎氏も、フジの経営方針に疑問を呈した。田端氏は「フジテレビが今後発展していくには、デジタルやAIの強化が不可欠だ。だが、今回の取締役構成からは、それらを軽視しているように見える」と鋭く指摘した。

これに対し、会社側は「法務やコンプライアンスを最優先に構成した。人数制限の関係でバランスを取った結果である」と回答し、現時点での限界をにじませた。だがSNSなどでは「戦略的に時代遅れ」との批判も見られ、経営構造のアップデートを求める声が広がりつつある。

 

フジHDは信頼回復できるのか 株主の評価は二分

株主からは清水体制を評価する声とともに、「ガバナンス改革を進めるには外部からの圧力が必要」とする声も根強かった。一部では会社案に対する一定の評価が見られたが、同時に株主提案に理解を示す意見も交錯していた。

新体制は「脱・日枝体制」を象徴する構成となったが、今後の信頼回復には、経営陣がいかに改革を「実行」するかが問われる。社員によるオンラインカジノ問題など、新たなコンプライアンス事案も浮上しており、「改革」は今まさに“試される段階”にある。

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寒天 かんたろう

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ライター歴26年。月刊誌記者を経て独立。企業経営者取材や大学、高校、通信教育分野などの取材経験が豊富。

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