
女性だけの宇宙旅行が現実のものとなる。米航空宇宙企業ブルーオリジンが、新たな宇宙旅行ミッションとして女性クルーのみを搭乗させる計画を発表した。ジャーナリストのゲイル・キングや歌手のケイティ・ペリー、さらに創業者ジェフ・ベゾス氏の婚約者であるローレン・サンチェスも参加するこの歴史的な飛行。その詳細と、ブルーオリジンが切り開いてきた宇宙旅行の軌跡に迫る。
女性だけの宇宙旅行が実現!ブルーオリジンの最新ミッションとは?
米航空宇宙企業ブルーオリジンは、2024年春に女性クルーのみを乗せた宇宙旅行を計画している。観光用ロケット「ニューシェパード」に乗り込むのは、ジャーナリストのゲイル・キング、歌手のケイティ・ペリー、そしてパイロットでジャーナリストのローレン・サンチェスを含む6名の女性クルーだ。
今回のミッションは「NS-31」と名付けられ、ブルーオリジンが開発したサブオービタル(準軌道)飛行用のロケット「ニューシェパード」を使用する。このロケットは約11分間の無重力体験を提供するもので、地球の大気圏を超えた高度100km以上の「カーマン・ライン」を越えることが目的となる。
ブルーオリジンとは?民間宇宙旅行を牽引する企業
創業者ジェフ・ベゾスが掲げるビジョン
ブルーオリジンは、Amazon創業者であるジェフ・ベゾスによって2000年に設立された宇宙開発企業だ。ベゾス氏は、「地球を守るために宇宙へ」というビジョンを掲げ、民間宇宙旅行の普及を目指している。
同社のミッションは、宇宙旅行をより手軽なものにし、最終的には人類が宇宙で生活し、働ける環境を整えることにある。これまでにも複数回の試験飛行を行い、着実にその技術を向上させてきた。
「ニューシェパード」 11分間の宇宙旅行
ブルーオリジンの主力ロケット「ニューシェパード」は、地球低軌道へ短時間の宇宙旅行を可能にするサブオービタルロケットだ。完全自動運転で打ち上げられ、カプセルに搭乗した乗客は高度100kmを超える宇宙空間で数分間の無重力体験を楽しむことができる。
また、「ニューシェパード」は再利用可能な設計となっており、環境負荷を軽減しながら宇宙旅行のコストを下げる狙いもある。
「NS-31」ミッションに参加する女性クルーたち
今回の女性クルーのみの宇宙旅行に参加するのは、各分野で活躍する6名の女性たちだ。
この歴史的な宇宙飛行に挑む彼女たちのプロフィールを紹介する。

・アイシャ・ボウ(Aisha Bowe)ー 元NASAロケット科学者
元NASAのロケット科学者であり、現在は起業家として活躍。
彼女の科学技術への貢献と宇宙への情熱が、今回のミッション参加につながっている。
・ケリアンヌ・フリン(Kerianne Flynn)— 映画プロデューサー
映画プロデューサーとして活躍する彼女も、今回の宇宙飛行に参加する。
彼女のクリエイティブな視点が、宇宙からの新たな物語を生み出すことが期待されている。
・ゲイル・キング(Gayle King)ー ジャーナリスト
米CBSの有名ニュースキャスター。CBSニュースの司会者として知られる彼女は、今回の宇宙飛行に参加することを発表した際、「恐怖と興奮を同時に感じていて、どう説明したらいいか分からない」と心境を語っている。宇宙旅行の体験をジャーナリストの視点でどのように伝えるのか注目だ。
・アマンダ・グエン(Amanda Nguyen)— 人権活動家
生物宇宙学の研究者であり、人権活動家としても知られる彼女は、性暴力被害者の権利擁護に尽力してきた。
彼女の多岐にわたる活動が評価され、今回のミッションに招待された。
・ケイティ・ペリー(Katy Perry)ー 歌手
世界的なポップスターであり、これまでにも社会問題に積極的に関与してきた。このミッションに参加するにあたり、彼女は自身のInstagramで、「子どもの頃、私の想像を超えるものは何一つなかったです。私たちは大したことは何もしていませんでした。しかし、私は希望と驚きを持って世界を見ることを決してやめませんでした!」と述べ、宇宙への期待を語っている。彼女には、今回の宇宙旅行を通じて新たなインスピレーションを得ることを期待したい。
・ローレン・サンチェス(Lauren Sánchez)ー パイロット・ジャーナリスト
元ニュースキャスターであり、パイロットとしても活動。
彼女はブルーオリジンの創業者ジェフ・ベゾスの婚約者でもあり、宇宙飛行への情熱を共有している。
また、今回のミッションのクルーをまとめる役割を担っている。
これら6名の女性クルーは、それぞれの分野で卓越した実績を持ち、宇宙への探求心を共有している。彼女たちの挑戦は、女性の宇宙進出に新たな一歩を刻むものとなるだろう。
ブルーオリジンの過去の宇宙飛行と著名な搭乗者
ジェフ・ベゾスも体験した初の有人飛行
ブルーオリジンは、2021年7月に初めての有人宇宙飛行を成功させた。この時の搭乗者には、創業者ジェフ・ベゾスのほか、彼の弟マーク・ベゾス、82歳の元女性宇宙飛行士候補ウォリー・ファンク、そして18歳の学生オリバー・デーメンが含まれていた。
俳優ウィリアム・シャトナーが90歳で宇宙へ
2021年10月には、SFドラマ『スター・トレック』のカーク船長役で知られる俳優ウィリアム・シャトナーが90歳で宇宙旅行を体験し、史上最高齢の宇宙飛行者となった。
NASAの女性宇宙飛行士たちの歩み
また、NASAはこれまでに60人以上の女性宇宙飛行士を輩出し、2019年には女性だけの宇宙船外活動も成功させている。こうした流れを受けて、今回の女性クルーのみのミッションは新たな歴史の1ページを刻むものとなる。
宇宙旅行の未来とブルーオリジンの展望
ブルーオリジンの「ニューシェパード」による宇宙旅行は、富裕層を中心に広がりを見せているが、今後の課題は価格の引き下げと安全性の確保だ。
同社は現在、より高度な宇宙開発にも取り組んでおり、月面着陸船「ブルームーン」の開発や、宇宙ステーション建設プロジェクトにも参画している。こうした取り組みは、将来的な宇宙居住への足がかりとなる可能性がある。
まとめ:女性クルーのみの宇宙飛行が示す新たな可能性
今回のブルーオリジンによる女性クルーのみの宇宙旅行は、単なる観光旅行にとどまらず、女性の宇宙進出の新たな象徴となる可能性がある。今後、民間宇宙旅行がどのように発展し、多くの人々にとって身近なものになるのか、その動向に注目が集まるだろう。
【参照】Blue Origin Announces Crew For New Shepard’s 31st Mission(Blue Origin)