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スターバックス、世界業績悪化で1,100人削減へ 北米・中国市場の不振が影響 日本は好調のなぜ?

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スターバックス 紙ストロー
スターバックスより

米コーヒーチェーン大手スターバックスは2月24日、業績低迷と組織の効率化を目的に、コーポレート部門で1,100人の従業員削減を実施すると発表した。削減対象は直営店舗以外で勤務する従業員の約7%に相当し、カフェ店舗や製造、物流、焙煎部門のスタッフには影響しない。

売上減少や利益圧迫が続く中、今回のリストラは、同社が抱える世界的な課題に対する抜本的な対応策と位置付けられる。

 

スターバックスの世界売上は微増も利益は大幅減少

スターバックスの2024年度の世界全体の売上高は361.76億ドルとなり、前年の359.76億ドルから0.56%の微増となっている。しかし、最終利益は前年の41.25億ドルから8.82%減少し、37.61億ドルにとどまっていた。売上増加に対して利益率が悪化しており、コスト増加と市場ごとの業績低迷が影響を及ぼしている模様だ。

特にアメリカ地域では、全体売上の70%を占める主要市場でありながら、インフレや消費者の節約志向が売上減少を招いている。加えて、メニューの複雑化や価格戦略の見直しが急務となっている。こうした要因がリストラの要因となっていると思われる。

中国市場の売上急減、日本市場は過去最高を記録

地域別に見ると、中国市場での業績不振が顕著だ。2024年4~6月期における売上は前年同期比14%減少し、競争の激化や消費者行動の変化が主要な要因とされている。一方、日本市場は例外的に好調で、2023年度の売上は2,894億円に達し、前年比14%増の過去最高を記録した。新規店舗展開や地域特化型戦略が功を奏した形だ。

中東市場では2024年に不買運動が発生し、売上に悪影響を与えている。地域別に見れば、世界全体では黒字を維持しているものの、中国や北米の一部地域、中東では利益圧迫が続き、グローバル経営の課題が浮き彫りとなっている。

 

組織改革と業務効率化で再建を目指す

ブライアン・ニコル最高経営責任者(CEO)は、今回の人員削減について「組織構造を簡素化し、階層や重複を排除し、機敏なチームを編成する」と強調した(ブライアン・ニコルといえば、メキシコ料理チェーン「チポトレ・メキシカン・グリル」の業績を好転させた人物として知られている)。空席となっている数百のポジションも削減対象となり、組織の合理化と効率化を一層進める方針を示している。

また、今回のリストラは業務コストの削減だけでなく、顧客体験の向上を目的とした改革の一環でもある。特にカフェ店舗でのサービス迅速化と顧客満足度向上に注力する。

日本市場が好調な3つの理由

さて、スターバックスが日本市場で好調を維持する背景には、3つの明確な理由がある。

日本独自の商品展開

日本のスターバックスは、米国本社からの指示に縛られることなく、店舗設計やメニュー開発を自由に行っている。特に看板商品「フラペチーノ」の季節限定シリーズは、1カ月に1〜2回のペースで新商品を発売。日本の四季やイベントに合わせたテーマ設定や、SNS映えを意識した商品デザインが特徴となっており、価格が1杯700〜800円近くであっても高い人気を誇る。

また、日本独自のティー専門店「スターバックスティー&カフェ」も拡大中で、全国15店舗を展開している。

立地に合わせた店舗設計

日本のスターバックスは、社内に専属の店舗設計部門を設け、約30人のメンバーが各店舗ごとのデザインを担当していると言われている。そのうち7人は一級建築士の資格を持ち、地域や利用客の特性に合わせた設計が徹底されている。利用目的や顧客のニーズに応じた空間デザインにより、多くの顧客がリラックスできる場所としてスタバを選んでいる。

日本人の嗜好に合わせたデジタル化

2016年に公式モバイルアプリを導入し、2020年には「モバイルオーダー&ペイ」を全店舗で導入。これにより、事前注文や店内での席からの注文が可能になり、利便性が向上した。さらに、2023年には「App Clip」機能を導入し、スマホをかざすだけで注文・決済が可能となった。これにより、長時間の待ち時間を嫌う日本の消費者ニーズに応え、会員数も1,500万人を超える成長を遂げている。

環境目標達成に向けた取り組みも強化

スターバックスは、2030年までに環境にプラスの影響を与える企業を目指すことを掲げている。再利用可能なカップの推進、プラスチックストローの廃止、店舗運営における環境負荷の低減といったサステナビリティ施策を強化している。

 

SNSで広がる反響と今後の展望

SNS上では「スターバックスもリストラの時代に突入した」「日本市場は好調だが、世界的に業績は厳しい」といった声が上がっている。一方で、「カフェスタッフは対象外」という発表に安心感を示す声も多い。

今後、スターバックスにとって北米や中国市場の再建が急務となる一方、日本市場での成功事例を他地域にも拡大する戦略が求められる。業績回復とサステナビリティ目標の両立を目指す同社の今後の動向に注目が集まっている。

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寒天 かんたろう

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ライター歴25年。月刊誌記者を経て独立。伝統的な日本型企業の経営や大学、高校、通信教育分野などの取材経験が豊富。

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