
株式会社FASHION Xは、2025年3月1日から8月31日まで、小田急電鉄と共同で「古着回収BOX」を設置する。リユース・リメイクを通じた資源循環を促し、廃棄物削減に貢献する取り組みとして注目される。
小田急沿線に設置される回収BOXの目的と概要
株式会社FASHION Xは、小田急電鉄株式会社および株式会社小田急SCディベロップメントと提携し、商業施設「アコルデ代々木上原」と「小田急マルシェ鶴川 1」にそれぞれ1基ずつ「古着回収BOX」を設置する。これは、東京都のイノベーション創出事業「TIB CATAPULT」のクラスター「TRIP」の活動の一環として実施される。
この取り組みは、リユースやリメイクを通じた循環型社会の実現を目指し、消費者が不要になった衣類を手軽に持ち込める仕組みを提供することで、衣類の廃棄量削減に貢献する狙いがある。
FASHION Xの独自アプローチとは
FASHION Xは、単なる古着回収にとどまらず、回収品を多様な形で活用する点が特徴だ。リユース品として販売するだけでなく、リメイクやアップサイクルによって新たな価値を生み出すほか、服飾・美術系の学生やクリエイターに無償提供し、創作活動を支援する。また、子供服は児童養護施設に寄付するなど、社会貢献の側面も強い。
さらに、今回の古着回収BOXの設置によって得られた収益の一部を、消費者の投票によって決定した団体に寄付する仕組みも導入。寄付先候補には、日本赤十字社や認定特定非営利活動法人カタリバなどが含まれており、持続可能な社会の実現に向けた包括的な取り組みが展開されている。
服の未来を考える——背景にある理念
FASHION Xの取り組みの根底には、「服を捨てるのではなく、活かす」という理念がある。現在、衣類廃棄の問題は世界的な課題となっており、日本国内でも年間数百万トンもの衣類が廃棄されている。特にファストファッションの台頭による大量生産・大量消費の流れは、環境負荷を増大させている。
こうした現状を踏まえ、FASHION Xは「必要な人に必要な形で衣類を循環させる」ことを事業の軸に据え、回収から販売、再利用、寄付までのプロセスを一貫して手がける。単なるリサイクルではなく、価値を付加することで、持続可能なビジネスモデルを確立している。
企業が学べる環境課題への取り組み方
今回の取り組みからは、企業が環境問題に対してどのように実践的なアプローチを取るべきか、多くの示唆を得られる。特に、廃棄物の削減に向けたビジネスモデルの創出や、消費者参加型の仕組み作りは、他業界にも応用可能なポイントだ。
また、企業単体ではなく、鉄道会社や行政との連携によってスケールを拡大し、より大きなインパクトを生み出す手法も参考になる。環境問題の解決には、多様なステークホルダーとの協力が欠かせないことを、FASHION Xの取り組みは示している。