2025年4月13日に開幕する大阪・関西万博(大阪市夢洲)。開幕まで3カ月を切ったが、入場券の販売が目標の半分に留まっている。
運営費の大部分を入場券収入で賄う計画の万博にとって、集客の遅れは深刻な課題だ。
販売目標の53%に留まる
万博の入場券は2300万枚の販売を予定しており、開幕までに1400万枚の前売りを目指している。しかし、1月8日時点の販売実績は約751万枚、目標の53%に留まる。特に個人購入が伸び悩み、ほとんどが企業からの購入だという。
大阪府の吉村洋文知事は「赤字を出さないよう努める」とし、万博の財務状況に懸念を示している。一方で、関西経済連合会の松本正義会長は6日の新年会で「赤字は避けなければならない」と危機感を露わにし、個人への購入を呼びかけた。
上海万博やドバイ万博など過去万博の入場券販売状況との比較
過去の万博の動向を見ても、開幕直前の入場券販売状況は重要な指標である。例えば、2010年の上海万博では、開幕当初は不入りが深刻と言われていたが、開幕1カ月で入場者数が800万人を突破し、入場券の販売枚数は1か月の時点で約3771万枚に達したことが日経新聞で報道されている。最終的な来場者数は7,308万4,400人と、万博史上最多を記録(大阪万博は6,421万8,770人)。目標を達成しているようだ。
一方、2020年のドバイ万博は、新型コロナウイルスの影響もあり、目標の2,500万人には届かず、最終的な来場者数は約2,400万人程度だった。
過去の事例を踏まえると、万博の入りは開幕当初は不入り報道が多いようだが、開催期間が長いこともあり、後半から巻き返す例が多い。はたして、大阪・関西万博も開幕後、巻き返していけるのだろうか。
展示内容のPR不足が原因か
現時点の評価は深刻だ。三菱総合研究所の調査によると、昨秋時点で「万博に行きたい」と答えた人は24%で、前年から減少。京阪神圏では36.3%が来場を希望しているが、これも7.2ポイントの減少となっている。来場意欲の低下は、前売り券購入手続きの煩雑さや展示内容の不透明さが要因として挙げられる。
展示内容のPRについて、万博協会は各国任せの方針を取っている。しかし、吉村知事は「積極的に展示内容をPRするべきだ」と各国に要請。1月13日から一部パビリオンの来場予約が開始されるが、予約制を導入する国はわずか10カ国にとどまる。
建設遅れも課題に
さらに、参加国が自前で建設するパビリオンの進捗も遅れている。参加を予定する158カ国・地域のうち、少なくとも47カ国が独自に建設するタイプAのパビリオンを計画。しかし、資材費や人件費の高騰により建設が遅れ、開幕時点で完成が危ぶまれる国もある。
万博協会によると、2024年12月時点で建物の完了検査を通過したのは、アイルランド、韓国、フィリピンの3カ国のみで、10カ国近くが内装工事に遅れを見せているという。また、簡易型パビリオンに移行したイランは12月に撤退を表明し、建設費の回収も困難な状況だ。
口コミによる集客に期待
万博協会は、早期来場者によるSNSでの口コミ拡散に期待を寄せている。開幕初期の来場者に通期パスの購入特典を設け、リピーターを増やす施策も打ち出す方針だ。これにより、会期後半に集中する来場者の平準化を図る狙いもある。
とはいえ、万博の成功には個人チケットの販売拡大が鍵を握る。展示内容や魅力的な体験の積極的な発信が今後の課題となりそうだ。
大阪・関西万博のチケットはいくら?
会期の前半に利用できる開幕券や前期券、会期中いつでも1回入場できるチケットの超早期購入割引/早期購入割引があるようだ。せっかく開幕するからには、どんなものか一度は覗いてみたいものだ。それが日本に対する失望に繋がらなければいいが……。いい意味で「日本やるじゃん」と裏切ってほしいと切に願う。