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法人のサステナビリティ情報を紹介するWEBメディア coki

マテックス株式会社

https://www.matex-glass.co.jp/

〒170-0012 東京都豊島区上池袋2-14-11

03-3916-1231

大学生と考えるマテックスのマテリアリティの特定①

ステークホルダーVOICE 未来世代
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マテックス学生対話会1日目集合写真

窓の専門商社マテックス(東京・池袋)はサステナビリティ対応に真摯に取組む会社。今回は同社が重点課題(マテリアリティ)を特定していく過程でステークホルダーにヒアリングした模様を紹介する。ヒアリングした相手は大学生たち。

さて、なぜ大学生たちなのか?

マテリアリティの特定に大学生の意見を取り入れる背景

マテックスは2028年に100周年を迎える長寿企業。長寿企業は一般企業と比べて、多様なステークホルダーとの互恵関係を重視する経営を行う企業が多い。

マテックスもまた、サステナビリティ経営に長年注力してきた会社であり、サステナビリティレポートを作成するにあたって、今回マテリアリティの特定を行うことにしたそうだ。その過程で、対話を行う相手のステークホルダーとして、でてきたのが大学生たち。社員や取引先以外にも、せっかくなら自社の長期的視点からも未来にステークホルダーとなりうる大学生たちの意見も聞きたいという考えからの発案だった。

そのため、まずSDGsなどの国際的なガイドラインの要求項目を参考にリストアップし、重要度を社内で検証したうえで、大学生をはじめとした多様なステークホルダーとの対話から客観的な視点を取り入れることに。そのうえで、事業モデルや事業環境に即して重点課題を抽出し、マテリアリティとして特定しようという流れをとった。

マテックス マテリアリティ特定プロセス
マテックス マテリアリティ特定プロセス


マテックスの取組みを通して学べること

加藤 俊

株式会社Sacco 代表取締役。一般社団法人100年経営研究機構参与。一般社団法人SHOEHORN理事。週刊誌・月刊誌のライターを経て2015年Saccoを起業。社会的養護の自立を応援するヒーロー『くつべらマン』の2代目。 連載: 週刊エコノミスト 『SDGs最前線』 日本経済新聞電子版『長寿企業の研究』

マテックスの今回の取組みを通して学べることは、長寿企業ならではの長期的な視点だと思います。

ステークホルダーを大切にする経営を実践するためにも、未来世代というステークホルダーである学生達もまた大切なステークホルダーと考え、意見を取り入れる様は、多くの企業にとって参考となるのではないでしょうか。

また、マテックスは非上場の会社です。任意開示について、株主やESG評価機関などの声を過度に気にする必要はありません。そのため、マテリアリティの表現の仕方については、社員一人ひとりに深く理解してもらうことを優先することができました。おかげで、マテックスならではの文化を体現する独自の言語を活用することができました。

※マテックスについて詳しく知りたい方は、私が前に書いた、日経新聞のこちらの記事をお読みください。
建材卸売業のマテックス、自社の知見業界で共有

ヒアリングはダイアローグとして、2023年9月27日と10月2日の2日間をかけて大学生計10名の方々に集まってもらい、実施した。本記事は、その模様を紹介するもの。

議題のテーマはマテックスのマテリアリティにおける4つのキーワード。
この4つのキーワードは、SDGsなどの国際的なガイドラインの要求項目を参考にリストアップし、重要度を社内で検証したうえで、マテックスの取組みと解決すべき課題感をまとめ、落とし込んだものだ。

この4つのキーワードを元に大学生と対話会を展開した。

マテックス マテリアリティ 4つのキーワード
マテックスのマテリアリティ 

以降は2023年9月27日の対話会初日の内容をレポートする。

<対話会に参加した学生達>

※本記事における学部学年は取材当時のものです。

斎藤日向子さん(法政大学国際文化学部1年生)
斎藤 日向子さん(法政大学国際文化学部1年生)
藤田ももさん(法政大学グローバル教養学部1年生)
藤田 ももさん(法政大学グローバル教養学部1年生)
吉田麻衣さん(法政大学グローバル教養学部1年生)
吉田 麻衣さん(法政大学グローバル教養学部1年生)
齊藤 真尋さん(法政大学グローバル教養学部2年生)
齊藤 真尋さん(法政大学グローバル教養学部2年生)
森田 彩月さん(法政大学社会学部1年生)
森田 彩月さん(法政大学社会学部1年生)

トークテーマ:「自分ごと化」

最初に討論してもらったテーマは、「自分ごと化」。抽象的なテーマだが、例えばこんな事象に心当たりはないだろうか。

世の中で何らかの事件が起きるとする。連日メディアで報道され、世間が騒がしくなる。騒動の渦中、世間は「悪者」を探して糾弾する。ひとしきり騒がれたら事件は忘れ去られ、問題は解決されないまま、また別の事件が起きる。この社会で、そんなループが繰り返されている。

問題の本質はどこにあるだろう?社会課題の本質に触れるための第一歩は、事件を「他人ごと」で片づけるのではなく、できる限り「自分ごと化」してみることではないか。

マテックスでは、社会課題に対しても、また、仕事に取り組むうえでも、まずは起きている事象を「自分ごと化」して、自分を重ねて考えることを大事にしている。

「自分ごと化」というキーワードのイメージはつきますか?

齊藤真尋さん(法政大学グローバル教養学部2年生)対話会中の写真
齊藤 真尋さん(法政大学グローバル教養学部2年生)
斎藤 真尋(以下、斎藤(ま))

今「SDGsに力を入れてます」という企業が多いと思うのですが、「会社が動いてくれているから自分は別にいいや」ではなくて、自分個人でも考えるという意味なのかなと思いました。

斎藤 日向子(以下、斎藤(ひ))

そうですね。組織の上層部にいる人たちが取り組んでいることを「何かやってるな」と他人目線で見るのではなくて、自分も主体的に考えるってことなのかなと。

森田

自分にできることは小さいかもしれないけれど、「自分なら何ができるかな。できることからやってみよう」と前向きな姿勢を持つことで、その小さなことが大きな組織に波及していく、みたいなイメージを持ちました。

もしご自身がマテックスの社員だったら、「自分ごと化」というキーワードに関してどのようなことができると思いますか?

左:藤田ももさん(法政大学グローバル教養学部1年生)対話会中の写真
左:藤田ももさん(法政大学グローバル教養学部1年生)
藤田

SDGsで言うと「ジェンダー平等を実現しよう」につながることで、例えば職場で男性も育休をとれるように働きかけることなどは、SDGsが自分ごとになるきっかけかなと思いました。

森田

「窓を扱う企業」という点で言うと、脱炭素とか環境負荷の小さい素材を活用するとか、そういった課題について何ができるか、社員みんなで考えることが「自分ごと化」だと思います。また、例えば環境負荷の小さい素材を周辺地域の方々から提供してもらったりできれば、地域も巻き込んで横のつながりをつくることもできます。窓を通してできる環境活動について話し合える場を設けることも、自分ごと化のひとつかもしれません。

たしかに、環境問題を自分ごと化してみることで、長年慣習的に行ってきた「当たり前」を再考して、「地上にある素材を循環させる方法を探る」という発想も出てきますね。他にも、マテックスが「自分ごと化」をテーマとしたときに解決できそうな社会課題は思い浮かびますか?

斎藤(ひ)

特定の社会課題というよりかは、意識を変えることにつながると思います。

斎藤(ま)

SDGsの目標のひとつ「質の高い教育をみんなに」につながると思うのですが、今回の討論会のように、社会課題について学んだり考えたりする機会を提供することも、課題解決に直結すると感じています。

マテックス 松本代表の対話会中の写真
マテックス 松本代表
松本

ビジネスをしていると、ともすると近視眼的になってしまいます。特に競争にさらされていると、今月の数字、今週の数字、今日の数字と短期的な成果をあげたくなるものです。しかし企業にもやはり「長期的に考えてこうありたい」という将来像はもちろんあって、短期、中期、長期といろんなスパンで物事を捉える視点が、社会課題を対処する上で大事な視点なのだと思います。その視点を持ち続けるためにも、「自分ごと化」はマテックスの根底を流れる重要なキーワードです。

トークテーマ:「依(よりどころ)」

続いてのテーマは、「依(よりどころ)」。

「衣食住」は、生活の基礎となる3要素を表す、江戸時代の『浮世草子』に登場した言葉だ。社会構造が大きく変化した今の世において、この言葉の「衣」の部分を「依」に置き換えてみてはどうだろうか。

ファーストプレイスとしての家、セカンドプレイスとしての会社、そしてサードプレイスとなる「依(よりどころ)」。家と会社の往復から一歩外れたサードプレイスに、ほっと一息つける人間関係や、刺激を受け、成長を実感できるコミュニティが見いだせるかもしれない。

マテックスは、この「依(よりどころ)」こそが、心身の健康や良好な人間関係、社会とのつながりを感じられるウェルビーイングの鍵になると仮定し、サードプレイスとなる環境構築や機会創出に励んでいる。

「依(よりどころ)」という言葉のイメージはわきますか?

斎藤 日向子さん(法政大学国際文化学部1年生)の対話会中の写真
斎藤 日向子さん(法政大学国際文化学部1年生)
斎藤(ひ)

「サードプレイス」と捉えると、イメージしやすかったです。この言葉で連想したのが、不登校の課題です。不登校の子どもの教育面でも、いろんなところに居場所があることが大事で、それは小学生だけじゃなく大人にとってもきっとそう。大人のほうがむしろ、よりどころが少なくなるんじゃないかな。なので、重要なテーマだと強く共感しました。

吉田

わたしはまだ、「依(よりどころ)」の定義がよくわかりません。精神的なものなのか、身体的なものなのか、どんな環境を提供できれば「依(よりどころ)」といえるのか……

「依(よりどころ)」とは、「それがあるから安心できる」と思えるような、心の支えになる人、コミュニティ、時間だったり、「これがあるから頑張れる」と思えるような、元気や刺激をくれる場だったり。いろんな枠組みをこえて、越境型の学びや安らぎをくれるサードプレイスというイメージです。そんな「依(よりどころ)」というテーマで、マテックスが解決できそうな社会課題はありますか?

森田 彩月さん(法政大学社会学部1年生)の対話会中の写真
森田 彩月さん(法政大学社会学部1年生)
森田

問題を抱えているご家庭の、お子さんだけでなく親御さんにも支援を提供できるんじゃないでしょうか。ただ、それは自社の領域で余裕のある事業をできているからこそ、だとは思いますが。

藤田

私はどうも、「ファーストプレイス=家庭」「セカンドプレイス=職場」「サードプレイス=よりどころ」という捉え方がピンとこなくて……優先順位の話ではないのかもしれないけれど、1、2、3の順ではなく横並びならいいのになって。そうすれば、いわゆるワークライフバランスもうまくとれて、働く人のやる気や会社への忠誠心も上がるんじゃないかと。そういうバランスのとれた会社は、いい会社だと思います。

松本

サードプレイスというテーマは、「共創」というキーワードとも親和性の高いテーマです。社会課題の中には、自社が直接的に解決に乗り出せる領域のものもあれば、そうでないものもあります。なので、限界を感じるときには、他社や他団体、ときには自治体とも組んで、問題解決に取り組みます。そういう共創がやりやすい時代になっていると思いますし、この先ますます進むだろうと期待しています。

トークテーマ:「脱炭素」

2010年から自社のCO2排出量の数値化に着手したマテックス。製品の輸送プロセスの効率化などによって排出量削減に向けた努力を重ねた結果、例年右肩下がりでCO2排出量の削減に成功。2022年の排出量は630tまで抑えられた。

さらには、各家庭に断熱性の高い特殊な窓を普及させることで、年間3,000t弱のCO2削減に貢献している。通常、60~70%の熱の出入りは窓から生じる。これでは、冷暖房器具で室内を冷やしたり温めたりしても、穴のあいたバケツに水を注ぎ続けるようなもの。いくらクリーンなエネルギーを使って室内を温めたり冷やしたりしても、それが窓から漏れ出してしまっては、意味がない。

窓を扱う企業として、家庭における消費電力の削減に貢献する意義は大きい。

「脱炭素」というテーマ、みなさんは普段、意識することがありますか?

藤田

プラスチックを極力使わずに、紙ストローを使っている会社を選ぶとか、エコバッグを持ち歩くとか、小さなことですけどそういうスタンスは意識しています。最近はEVの話なんかも盛り上がっていて、意識にのぼるタイミングは多いと思います。

斎藤(ま)

私は常にエコバッグを持ち歩いているわけじゃないし、お店でも「ビニール袋ください」と言ってしまうタイプです。意識していることはしているけれど、自主的に脱炭素を意識して何かしたり、周囲に脱炭素に向けた行動を促したりするわけではありません。

マテックスが「脱炭素」に取り組む意味はあると思いますか?

吉田

私1人がやらないのと企業がやらないのとでは、影響の規模が違うと思うから、企業はやるべきだと思います。

藤田さんと斉藤さん
藤田

「CO2の排出量を減らそう」と取り組んでいる企業があることを、消費者をはじめとするステークホルダーに知らせるだけでも、十分意味があると思います。

「うちもやったほうがいいんじゃないか」と取り組みを始める取引先なども出てくるでしょうし、行動の連鎖を起こすという意味で、意義があると思います。

行動の連鎖の方法としても、直接的に窓を売ることを通じてというよりは、例えば途上国にサステナブルな製造方法の技術を伝えることのほうが、その土地の人々にとって意味があるように思います。

松本

松本:脱炭素や環境に対する取り組みは壮大なテーマで、何が本当の解決になるのかはまだ分かりません。

エコバッグ1つを作るプロセスと、プラスチックバッグ50枚を作るプロセスとで、CO2排出量はほぼイコールという話があったり、クリーンエネルギーと言われる風力発電所に巻き込まれたシマフクロウやワシが犠牲になっているという話があったりと、本質をつきつめると何が正解か分からない部分もあります。

結局は、「自分はどう参画できるだろう?」と考えながら、周囲を巻き込みつつ一緒に解決方法を模索していくことが重要なのだと思います。

トークテーマ:「経済成長至上主義からの脱却」

「経済成長至上主義からの脱却」とは、「利益をあげないこと」とイコールではない。営利企業である以上、未来に存続するために利益をあげ続けなければならない。

ただ、ここで立ち止まって考えたい。

「その利益の出し方は適正か?」

低価格の背景には、踏みつけられている誰かがいるかもしれない。地球環境に多大な負荷が生じているかもしれない。利益を生む背景に、そんな光景が広がっていないか、目を向けたい。

「先義後利」、創業者の松本義雄の経営哲学であり、現在のマテックスにも承継される価値観だ。社会のために尽くし、お客様に喜ばれ、従業員が安心して働ける信頼関係があれば、利益は自ずとついてくる。

闇雲に利益の最大化のみを目指す事業に、持続可能性はない。未来に存続するビジネスであるために、マテックスは敢えて、経済成長至上主義からの脱却を掲げている。

「経済成長至上主義からの脱却」というテーマで、マテックスは何ができるでしょうか?

斉藤さんと森田さん
斎藤(ひ)

私は自分自身が「競争したい」とか「めっちゃお金が欲しい」とか思っているわけではないので、このテーマにすごく共感しました。元々、「お金を稼ぐ目的のために広告などに高いお金を費やす」みたいなことに違和感を抱いていることもあり、本来の目的に沿って行動しようとしているマテックスの姿勢に共感を覚えました。

また、これは取引先企業とも関係が深いテーマだと思うので、製品とともに「経済成長至上主義からの脱却」という意識も卸していくことが大事だと思います。

藤田

「経済成長至上主義からの脱却」を掲げているということは、上司と部下の関係にしても意見を言いやすかったり、話が通りやすかったりと、風通しの良い会社なのかなという風に感じました。働く場所にしても家や会社の外で仕事ができて、場所を変えることで発想力が広がるような、そんな印象を持ちました。

左:右:吉田麻衣さん(法政大学グローバル教養学部1年生)の対話会中の写真
左:齊藤 真尋さん(法政大学グローバル教養学部2年生)右:吉田 麻衣さん(法政大学グローバル教養学部1年生)
斎藤(ま)

私はむしろ、社長を含め上司と部下が対等な関係であるべきなのか、正直疑問に感じています。意見が言えて風通しの良い会社になるのかもしれないけど、対等がいいのかどうかは……難しいところですよね。

この場で言うのもなんですが、私は「SDGsに積極的に取り組んでいます」という会社よりも、自分がやりたいことに挑戦できて成長を感じられる会社のほうが「いい会社」だと思っていて、平等よりも成長実感を重視しています。

松本

おそらくSDGsがどこか広報活動的になってしまっているせいで、「いい会社」に違和感を覚えるのかもしれません。でも実際、本気でそれを実現しようと格闘している企業もあるので、学生の皆さんもそこは見抜けるようになるといいですね。

よく、経営の3大資本は「人・物・金」と言われます。「あれ?」と思われるような会社は往々にして、この順序が「金・物・人」になっています。経営がうまくいかなくなると、すぐに人を調整弁のようにして減らしてしまいます。マテックスは、そういう会社にだけはなりたくないという決意も込めて、「経済成長至上主義からの脱却」を掲げています。

人にフォーカスした経営をしている会社は、物もお金も大事にしつつ、社員1人1人が成長実感を持てているかも重要視します。例えば、自分が考案した企画でお客様や生活者の方々から感謝いただいたら、「貢献できている」と感じられますし、成長実感も得られます。一方で、安値追求やシェアの拡大ばかりを主眼にして企業活動をしていると、偽装事件や不正の温床になりかねません。

マテックスは、ゆくゆくは業界の文化にも変化をもたらせるよう、引き続き「経済成長至上主義からの脱却」に挑戦し続けます。

4つのテーマを振り返って

これまで4つのテーマについて討論してきました。振り返ってみて、いかがでしたか?

斎藤(ひ)

個人的には、先義後利の考え方を今後も継承しつつ、世の中に浸透させていって欲しいと思いました。それが「自分ごと化」にもつながるような気がします。

森田

今日この場で初めて知ることが多く、特に「依(よりどころ)」の考え方は新鮮に捉えられました。また、私は途上国の問題に興味があるので、「自分ごと化」のテーマも「離れた国のことも自分ごととして考えられる社会づくり」につながる考え方で、すごくいいと思いました。

ただ、せっかくいい取り組みをされているので、もっと情報発信に注力されたらいいのかなと感じました。今の世の中の潮流を見ると、「SDGsやってます」という発信はどこの会社もしているので、今日伺ったみたいな根拠や具体的なエピソードとともに、これまでの取り組み実績を発信していかれてはいかがでしょうか。

情報発信は、自社の取り組みを広める意味でも、お客さんや消費者が「社会貢献している会社を選ぶ」という意味でも、意義のあることだと思います。消費者の考え方も、「お金を使う先を選ぶことは未来への投資」というような姿勢に変わっていくといいですね。

斎藤(ま)

私も、今回のような「知る機会」はすごくいいプロモーションになると感じました。それぞれのテーマに手厚く本気で取り組んでおられる印象だったので、マテックスのオリジナリティをもっと発信していかれるといいと思います。ただ、「SDGsやってます!」と前面に出すと他の企業と同じになってしまうので、発信の仕方には工夫が要りそうです。

それと、「自分ごと化」や「よりどころ」のお話を聞くなかで、長期的な視点でテーマ設定されていると感じました。長期的という意味では、次世代の私たちであったり、これから就職活動を迎える人たちだったり、未来世代のステークホルダーを大事にされている企業という感じがして、好印象でした。

最も共感できたテーマはどれでしたか?

斎藤(ま)

「依(よりどころ)」ですね。あまり耳にすることのない概念で新鮮だったというのもありますし、敢えてサードプレイスの提供をウリにしている会社にも出会ったことがなかったので、個人的には一番推しのキーワードでした。

吉田さん
吉田

私は「自分ごと化」ですね。SDGsで目指す最終目標って壮大なので、他人ごとになりやすいと思うんです。それに、仕事や生活において自分が満足した状態だったり、「こういうことのために仕事しているんだ」という認識があったりすることで初めて、本来の持続可能な目標に迎えるのかなと。

なので、短期的な売り上げとか目の前の現実がありながらも、同時並行で環境問題や社員1人1人が仕事に誇りを持てるようなテーマを掲げて社会課題に向き合おうとしているマテックスは、率直にすごいなと思いましたし、着実に最終目標に歩み寄っていると感じました。

学生の皆様、素晴らしいご意見をありがとうございました。最後に松本社長、今回の対話会について如何でしたでしょうか?

松本

これまで対外的に「あれもこれもやってます」と発信することに抵抗があったのですが、本日皆さんのお話を伺っていて、「自分たちをPRする」というよりは、自分たちが重要視する考え方を「広めていく」ことの大切さに気付かされました。本日話し合っていただいたテーマをどう世の中に広めていけるか、そんなところにも、マテックスらしい価値があるのかもしれません。貴重なご意見を、ありがとうございました。

松本代表

他の大学生たちとのダイアローグは以下から読むことができます。

SDGsツヅケルのメディアでも今回の取り組みが紹介されています。
是非、ご一読ください。
【企業と学生の対話会レポート】企業の取り組み、どこまで共感?「マテリアリティ」策定とSDGsへの貢献

◎会社概要
マテックス株式会社
所在地: 〒170-0012 東京都豊島区上池袋2-14-11(本社)
TEL:03-3916-1231
資本金:1億円
URL:https://www.matex-glass.co.jp/

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ライター:

1985年生まれ。米国の大学で政治哲学を学び、帰国後大学院で法律を学ぶ。裁判所勤務を経て酒類担当記者に転身。酒蔵や醸造機器メーカーの現場取材、トップインタビューの機会に恵まれる。老舗企業の取り組みや地域貢献、製造業における女性活躍の現状について知り、気候危機、ジェンダー、地方の活力創出といった分野への関心を深める。企業の「想い」と人の「語り」の発信が、よりよい社会の推進力になると信じて、執筆を続けている。

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