
買い物で受け取った袋を、使い終えたら郵便ポストに入れて返す。リユース梱包を手がける株式会社comveyが、郵便ポストに投函して返却できる循環型のショッパー「comvey shopper」を始めた。
9月から、「生活の木」の店舗で初めて導入されたものだ。繰り返し使える袋で、使い捨てを減らそうという試みである。
使い終えたらポストに投函
同社によると、「comvey shopper」は、使用後に郵便ポストへ投函して返却できる循環型のショッパーだ。店で商品を持ち帰った後、不要になった袋をポストに入れるだけで返却が完了する。返却されたショッパーは、クリーニングや修繕を施したうえで、再び使われる。買い物のたびに捨てられてきた袋を、何度も循環させる仕組みだ。
買い物でもらう袋や包装材は、受け取ったその日に捨てられることが多い。便利な一方で、使い捨てを前提とした仕組みが、大量のごみを生んできた。使い終えた袋をポストに入れるだけという手軽さは、返却のハードルを大きく下げる。店まで返しに行く特別な手間をかけずに、誰もが循環に参加できる点が、この仕組みの肝といえる。郵便ポストという、全国どこにでもある身近なインフラを活用したことも、広がりやすさにつながる。
「生活の木」11店舗が返却に対応
導入は、ハーブやアロマを扱う「生活の木」で始まる。同社によると、9月14日から、生活の木原宿表参道店で運用が始まった。返却に対応する店舗は、原宿表参道店をはじめ、東京スカイツリータウン・ソラマチ店、たまプラーザテラス店、グランツリー武蔵小杉店、テラスモール湘南店など、全11店舗にのぼる。買った店とは別の対応店舗でも返せるため、消費者は生活の動線に合わせて返却しやすい。
対応する店舗は、都心の商業施設から郊外のショッピングセンターまで幅広い。日常的に立ち寄る場所に返却先があることが、仕組みを続けやすくする。まず知名度のある店舗で導入することで、循環型のショッパーという考え方そのものを、多くの買い物客に知ってもらう狙いもある。対応する店舗が増えれば、返しやすさはさらに高まり、仕組みの輪も広がっていく。
「我慢」ではなく「楽しみながら」
この仕組みが目指すのは、無理のない環境配慮だ。生活の木マーケティング本部の中村佳央氏は「環境のために我慢をするのではなく、日々のお買い物を楽しみながら、自然と環境にやさしい選択ができる仕組みをつくりたい」と語る。クーポンという特典があることで、返却そのものが、消費者にとって得のある行動になる。環境への配慮を、負担ではなく楽しみに変える。がまんを強いるのではなく、自然と選びたくなる形にした点に特徴がある。買い物のたびに小さな得があり、しかも環境に良いとなれば、続ける動機になる。良いことをしているという実感も、返却を後押しする。
使い捨てを減らす、買い物の新しい形
comveyは、2022年に設立された会社で、リユースできる梱包の仕組みを手がけてきた。使い捨ての包装材を、繰り返し使える形に置き換えることで、ごみの削減に取り組んでいる。今回の「生活の木」での導入は、その仕組みを実際の店舗で広げる一歩だ。
通販や店頭での買い物では、大量の包装材が一度きりで捨てられている。便利さの裏で生まれるごみをどう減らすかは、小売業に共通する課題だ。繰り返し使える袋を、無理なく返せる仕組みに乗せることが、その解の一つになりうる。レジ袋の有料化などで包装への意識が高まる中、袋そのものを繰り返し使う発想は、次の一歩として広がる可能性がある。
返却されたショッパーの修繕を特例子会社が担う点も、この取り組みの特徴だ。環境への配慮と、働く場づくりを両立させている。返す場所が身近にあり、手間もかからず、特典もある。使い捨てに代わる選択肢が、日常の買い物の中に用意されつつある。ポストに返すという身近な行動から始まる循環が、買い物の形をどう変えていくのかが注目される。



